きみの友だち~BOOK REVIEW⑳ | 特別支援学級教員のブログ~人生、何事も勉強~

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3浪した大学受験、充実した大学時代を経て、小学校特別支援学級の先生になりました。
そんな日々に思ったことについて、たまに更新していきます。
コメントとか待ってます。

新潮文庫
重松清

「友だち」の定義は、人によって違うと思います。
誰もが、「「友だち」ってどんなものだろう?」と考えたことがあるのではないでしょうか?
そんな、大半の人が歩んできた友人関係に対する悩みへの色んなメッセージが含まれている気がします。

形態は、短編連作。
主人公の姉弟を中心にした思春期の人間関係を、何人もの登場人物の目線から書かれています。

その中には、「あぁ、こんなヤツいたなぁ」「うわぁ~、あの時の自分を見ているみたいだ」というキャラクターが必ず居るはずです。
心情描写が巧い重松清さんの良さが、特別引き立っている作品です。

沢山の友だちのカタチが描かれていて、どのキャラも一生懸命生きています。どの生き方が正解だとかは決してありません。

私が気に入っているセリフはこれ。

「友だちになるときって・・・その子とずぅーっと一緒にいたいから、だから、友だちになるんじゃないの?そういう子のことを友だちっていうんじゃないの?それが親友なんじゃないの?」
という問いかけに対する主人公の一人恵美ちゃんの一言。


「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど。」

・・・私が初めてこれを読んだのは、大学浪人生の頃。
高校時代の友だちにはなかなか会えず、かと言って新しい出会いがあるわけでもなく、とっても辛くて、「友だち」のイミを本気で模索していた頃でした。
そんな時だからこそ、そのセリフがじ~んと胸に染みてきました。

特に、友人関係に悩んでいる中高生辺りに読んでもらいたいです。
大人が読んでも、センチメンタルな気持ちになったりハッとさせられたりすると思います。