「続・嫌われ松子の一生」
この本を読むのを忘れていた事に気づきました。
【その前に嫌われ松子】
「嫌われ松子の一生」は、ちょっとずつ変な松子(変態と言っているのではない)が、おそらくは愛とやすらぎを求めて生きてゆくけれど、どんどん自分が思っていない人生へと向いてゆく一人の不器用な女性を描いた作品だとわたしは思っています。
そして、この松子の男版みたいなものが、ひょっとして私ではないだろうか・・・なんて考えた人も結構いたりして。
・・・すんません。他人事のように言いましたが・・・私がそうです。![]()
松子は真面目で実直で善人なのです。なのに殺人まで犯して刑務所に入って・・・それでも普通の愛を求めて生きるわけです。松子が求めている愛は劇的なものでもなくて単なる普通の愛なのです。なのに松子から見れば裏切られたり突然怒られて殴られたり何とも思われていなかったことが解ったり・・・そしてどんどん愛を求めることに疲れて行くわけです。
「なんで?」
彼女はいつもそう思って傷ついてゆく。
男から見た松子はどうでしょう。
飛び切り美人でもないがブスでもない。気立てはいいし真面目だしひねくれてもいない。自分のことをちゃんと見てくれるし、信用も出来る。
なのに、ずっと傍にいるとなんだか腹立たしくなる。
男が持つ痛いところ、痒いところに手が届くけれど、もう一歩だけ踏み込んでくる。
たった一歩だけ。
男はなぜかそれにイラつく。そして爆発。![]()
しかして、彼女は「なんで・・・」と思いながら生きてゆくことになる。
現実にそんな女性は・・・・・いるのだ。
純粋な心をもてあそばれる。と言う風に言う人もいるが、男の方はべつに最初から弄んだわけでもないだろう。
たとえば、毎日放送でやっているさんまのカラクリテレビで田中みなみアナウンサーが具志堅さんに挨拶するときに近づきすぎて「ちょっと近すぎない?」と言われるような感じに近いだろうか。
浮気をして付き合う時に、浮気のルールを一歩だけ踏み出してしまう。
正直に言わなければいけないところで誤魔化してしまう。
愛を確かめ合う時に、彼氏の愛の言葉をちょっとだけ求めすぎてしまう。
遠慮しすぎると浮気されてしまう。
「どうしたらいいのよぉ」
彼女は叫んだ。
そうなんだよね、女性が男性と話すときに一番恐れていることは「みじめな自分」を見てしまう事なのかもしれません。だから「軽くは見られたくない」わけなのでしょうね。松子は・・・軽くは見られまいとしていましたよ。しかし・・・。
男と女も営業マンの商談の駆け引きそして会社や仲間内での友人知人に対する自分の立場を考えるとき・・・みんな考えるけれど、時には自分を落として「何でもいいからよろしくお願いします」とやってしまう。
その時点で相手との間に上下関係が出来る。
一旦できると逆転は難しいことになる。
松子は、いやなんだよ。こういうことを考えて人と付き合うのが。
二人の間では、尊敬と軽蔑、信頼と不審、えっと他にあったっけ・・・。まあそんな関係が8:2(8対2)位になってしまうと人間関係が崩れちゃうのでしょうかね?
夫婦でもアベックでも互いにちょっとづつ遠慮し合ってだんだんと積もってきてばぁ~~~ん。
そんなことの一度や二度くらいあるでしょうね。
けれども、不思議なもので相手が何をやっても全く腹が立たないってこともありますよね。私の経験では後者はうまくいったことが無かったけれど、現実にそんな夫婦を知っています。その二人は全く喧嘩しないの。それが当たり前なのかもしれないけれど、嫌われきんのすけには不思議に映るんだよねぇ・・・。
【そして続・嫌われ松子】
そんな松子が死んでしまって、甥の笙(しょう)と元彼女の明日香の人生が始まった。
明日香は自分の道をしっかりと見据えて生きた。
笙は、自分がどうしてゆけばいいかという所から探さねばならなかった。
別々の人生を歩んでいったはずなのに、二人は松子の人生を忘れてはいなかった。
もう読んだ人も多いでしょうね。私が一番遅かったくらい(笑)
私は男だから笙のことを書きますが、多くの男は笙と同じようなことを考えていたのではないでしょうか。
私はそうだった。
何かをしたいのに、何がいいのかわからない。
何をすべきかを見つけるために、やたら何かに必死になってみた。
そのくせ、頭の中は女とセックス。
これを読んだ女はきっと「どーしようもないね」と言うでしょうが
男はみーんなこんなもんだって![]()
たまに何かを見つけてしっかり生きて行くやつもいるけど、そいつらは何か大事なものを忘れてきてるよ。
嫌われ松子にきらわれきんのすけ。
「本当は、私は嫌われ者なんだ・・・・」
これが人間の原点なのでしょうかね?
