砂坂を這う蟻の由来とベンベコ(蜉蝣) |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

 私のブログの名前は今では「きんぱこ」ですが元々は「砂坂を這う蟻


 昔書いた記事ですが、再度書き直します。(ちょっと忙しくて・・・あせる


 今日は、その命名の意味を説明します。


 砂坂を這う蟻と言えばなにか暗く険しいイメージでしょうが、まさにその通り。

 砂坂と言うのは蟻地獄の事を指しています。


砂坂を這う蟻-1


 山のお寺や古い家の軒下を覗くと、このような穴が沢山あります。

 これが蟻地獄ですが・・・。(都会の人や若い人は知らないかも・・・)

 蟻地獄に滑り込んだ蟻が、助かろうと必死で這い上がろうとしている姿。

 ・我が道を強引に歩もうとして滑り込んだ者

 ・好奇心でうっかりと滑り込んだ者

 ・「こんな坂」となめてかかって滑り込んだ者

 ・風に吹かれて転がり込んだ者

 ・他人に蹴落とされて入った者

 ・落ちた者を助けようと入った者

 ・目が見えなくなって落ちた者

 みんな這い上がろうと必死で頑張る。

「なんでこうなったの」

「なんでこんな目に遭わなければならないの」

「失敗した!」

 いろんな思いを抱いて這い上がろうとするわけです。あきらめると終わり。

 自業自得でもこのまま終わりたくない、自分のせいではないのに終わってたまるか、こんな終わり方だけはいやだ、大切な人の為に終わるわけにはゆかない。

 そんな様々な気持ちを持ちながら頑張っている姿。


 「砂坂の向こうに見えるもの」


 砂坂の向こうに見えるものは

 真っ青な太陽?

 軒裏に棲み付く蜘蛛の巣?

 何か一点が、ジッと見えているはず。

 ジッと見ている時は危険信号。

 マイペースで這い上がれ。

 足元を見て這い上がれ。



 何を求めて這い上がる

 夢?

 欲望の結果?

 快楽?

 それとも

 やすらぎ?

 いや、とにかく這い上がれ。


 這い上がった後は、どうやって生きる?

 石橋をたたいて生きてゆく?

 やすらぎを求めて。

 危険を冒して歩き出す?

 夢や欲しい物事を求めて。

 自分を捨てて生きてゆく?

 大切な人の為に。


 止まったって構わないよ。
 けど私は……後ろ向きだけはつまらない。

 


 それで、「砂坂を這う蟻

 


 さて、この蟻地獄には何が居るのでしょう。

 実はこんな虫ですよね。叫び


砂坂を這う蟻-1


 なんともグロテスクで恐ろしそうな虫ですね。これが蟻地獄。見たことありますか?

 砂の中にいるので写真よりもっと砂まみれになっています。

 普通は全身砂色。

 手に取るとふにゃふにゃの虫で、背中を押すと「やめろー!」といわんばかりにえびぞります(笑)

 噛まれたら痛たそうだけど噛みませんし顎も柔らかいです。

 獲物が落ちてくると、二本の顎で「落ちて来い」と言わんばかりに、穴の底から砂をボーィボーィと放り上げますます。獲物が下まで落ちてくると顎で挟んで砂に潜ります。この虫、後ろにしか進めないんですよ。むっ

 そして獲物に唾液を注入して内臓を溶かし、溶けた内臓を吸い取ります。ドクロ

 最後に抜け殻になった獲物を、この顎でポイっと穴の外へ放り出します。

 こう書くと恐ろしいですね。

 実際に手にとると、ヘコヘコして愛嬌があるのですが。


 みなさんは、蟻を退治する蟻地獄が好きですか、それともこの虫は蟻を殺す悪魔に見えますか?


 私の親元(京都の北部)では、「ベンベコ」と呼ばれています。


 変わった昆虫で、後ろにしか進めないし、驚いたことに肛門がないのです。餌は月に一度位でも生きてゆきます。(餌も水も一切食べずに4ヶ月も生きた例があるそうです)そしてやがて蛹(さなぎ)になって、皆さんがご存知の成虫に変体します。

蛹になるときに変体するので、そのときにウンコをドバッとするそうです。(^^;)


 成虫はなんだと思いますか?


 薄羽蜉蝣(ウスバ カゲロウ)。



 別称、極楽トンボとも言います。



砂坂を這う蟻-1

(リンク、画像お借りしました)


 トンボに似ていますが、ヒラヒラフラフラと頼り無く飛びます。枝に止まるとトンボとは違って羽根をたたみます。そして2ヶ月ほどで死んで行きます。

 陽炎、蜻蛉、蜉蝣と色々な漢字がありますが、平安時代に書かれた藤原道綱母の『蜻蛉日記』(かげろうにっき)の題名は、「なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心ちするかげろふの日記といふべし」では蜻蛉。この漢字はトンボなのですが文の内容からは蜉蝣のことですよね。

 空気が揺らめいてぼんやりと見えるのは「陽炎(かぎろひ)」。

 良くは知りませんでしたが、ウスバカゲロウと蜉蝣とは種類が少し違うみたいですね。蜉蝣の幼虫は俗にハムシとか言われて、蜻蛉(トンボ)のヤゴと同じように水中の岩の後ろや川辺で生活しています。

 しかし良く見ると体系は蟻地獄と似ています。蟻地獄は糞をしないせいかボテッとして見えますが・・・・。

 ウスバカゲロウ(極楽トンボ)の寿命は2ヶ月ほどあるのに対して、蜉蝣はせいぜい二日で、ご指摘の通り口もなく内臓もほとんど無く卵だけをしっかりと抱えて二日だけ子供に夢を託して飛び回ります。

 田舎でも、蜉蝣が大量発生することは多くて、夜中の街灯に集中してそこで死に、道に蜉蝣の死骸が初雪のごとく降り積もり、その油で車がスリップ事故を起すということもありました。

 蜉蝣と薄羽蜉蝣はほとんど同じものだと誤解していましたので追記しておきます。


 ちょっと想像しました。ベンベコは何も食べずに4ヶ月生きる。もし、地球が大地震で崩壊して人類も死んでしまった廃墟に、数ヶ月してフワフワとウスバカゲロウが飛び交うようになる。次第に植物が派生して、気がつくと昆虫ワールドになっていた。・・・なんて。


 頼りなく飛び、儚(はかな)く散って行く。 そんな人生のことを「かげろうの様」と例えられます。


 蟻地獄と言う恐ろしい名前なのに、その人生は蜉蝣(かげろう)・・・・いや陽炎でしょうか。

 

 穴に落ちる者、それを食うもの。どちらにも運命は与えられているということでしょうか。