なんとか基の金の半分を取り返した私は
通天閣の方向に歩いてきた。
しかし、歩いている途中で考えが変わった。
途中のコンビニで新聞を買った。
(そうだ・・一度社会勉強で、デリバリーを頼んでみよう・・)
そう思い立った私は、スポーツ新聞の広告欄に目を通した。
広告には、沢山の3行広告が並んでいた。
「人妻OL 癒し系」
ニャニャンコクラブ
なんだか目に付いたのでこれに決めた。
道頓堀にあるホテルの前で非通知で電話を入れてみた。
「はーいい、ニャニャンコです」
女性の声が返ってきた。
「あの・・・道頓堀の文楽劇場の後ろのホテルの前にいますけど」
「あっ・・ハイハイ・・国立文楽劇場ねわかりますよ。」
「細身で小柄で30前後の女性いますか?」
「はいはい、いますけど、問い合わしてみるから30分ほど時間
くれますか?電話番号教えてくれたらこっちからかけますけど」
「電話はちょっとね・・。こっちから30分後にかけます」
「それやったら、困るねん、冷やかしとかもあるから
電話は教えてもらうことになってんねんけど・・」
「あとでかけて来られたらかなわんやないかいな」
「うーん・・困ったなぁ、そしたら20分後にかけてきて。
こっちも連絡とって了解とっておきますから、
必ずかけて来てね。」
「わかった、必ずかける。よろしくね」
私は近くのセルフのコーヒー屋で時間を潰した。
20分たって、もう一度電話をした。
「○○ですけど」
「はいはい、こっちも見つかりました。早速行きますから。
そこ動かんといてな」
「わかった、服装は・・・・・・・」
しばらく待っていると、黄色い車が来た。
(これじゃー本当のイエローキャブじゃないか・・・)
タクシーではなかったが、黄色い車は珍しい。
車の色ですぐにわかったので手を振った。
相手も私をすぐに発見した。
車には運転する男と後部座席に女性が座っていた。
私が、「ひょっとして車にのるのかなぁ・・」
と車に近づくと、運転手が慌てて
「ぅわっとっ・・ちょっと・・・まってぇな」
怯えたように私を車に乗せようとはしなかった。
それも当然である。
悪質な客はいくらでもいるだろう・・・。
運転手は女性を送るアルバイトだった。
車ごと襲われてはたまらない。
車は自腹なのだ。