「サイバー攻撃ですか、同士」
「そうだ。我が愛すべき兄は、市民運動員をフル稼働させて日本に攻撃を仕掛けている。相当の成果がありそうだ」
「そこで我々も同じ作戦に乗り出そうというのですね」
「まあ、日本国民の士気を下げるという意味では、同じ作戦だろうと思うが」
「それはどういうことですか、同士」
「我が国の国民すべてがインターネットを使っているわけがないだろう。それに、我が本部から接続可能なインターネット回線の数を考えてみろ、攻撃をかけられるスペックがあるわけがない」
「それでは、どうやって兄と同じ成果をあげられるような、作戦を実行するのですか」

「簡単なことだ。ドラクエ最新作の発売が中止になったとデマを流してやれ。きっとその日の為に働いていた若者たちが一斉に仕事をやめる。日本の産業は一気に衰退するだろう」


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「おめでとう!通算10000ポイントだよ!」
 目の前に煙がたちこめ、それが消えると木の杖をついた老人。
 まるで神様みたいだな。そう思っていた男に、老人は言う。
「わしはご覧のとおり神。さっき、君は車にはねられそうになった子どもを助けたね。それで10000ポイントなんだよ」
 神と名乗る老人の言葉を、男はさっぱり飲み込めない。
 神はまるで小説の種明かしをする筆者のごとく、説明じみた台詞をはく。
「人間の振る舞いに、神はポイントを与えているのじゃよ。それが節目になった時、わしらの出番なのじゃ」
 よくわからないが、自分が何かの恩恵にあずかれるのだろうと言うことはわかった男。
「さあ、10000ポイントだと、お前の望むことを1つだけかなえてやろう。多少制限はあるがな」
 多少? 男は鋭い目線を神に向ける。
「ただし、何でもかなえてくれとか、何回でもかなえてくれとか、そういうのはだめだ」
 神は予防線を張りつつ、男に返答を催促した。

 男は少々考えると、神に願いを告げた。
 ポイント100倍でどうだ、と。
 そう、今日以降の善行に、ポイントを100倍でつけてくれ、と。
「むむ、そんな抜け道があったとは・・・回数を増やすわけではないし・・・むむむ」
 やむを得まい。わしの説明が悪かったのだ。よかろう。
 神は脂汗を浮かべながら、男の願いをかなえることを約束した。

 神が姿を消してから、男はなんだかよくわからない気分であった。
 だが、目の前で神が神らしく一瞬で姿を消したことを見て、懐疑的な気分は薄れていた。
 そして、早く善行を積まねばと、都会の喧騒の中をきょろきょろ見回していた。

 すると、目の前で老婆が荷物を抱えて困っている。
 これはすごいポイントになるぞ。男は手前の横断歩道が赤信号なのもかまわず疾駆した。
「おいおい、そこの旦那」
 老婆にたどり着く直前に、男はいきなり右肩を叩かれた。
 男は怒り心頭の面持ちでその方向に振り返ると、黒いコートを羽織った男が、八重歯を出して笑っている。
「あんた、悪いことしたね。俺は死神さ。罰を与えに来たぜ」
 罰? 何を言うんだ? 男は死神に食って掛かる。
「お前、さっき信号無視したろ。それでポイント達成だ。お前さんの悪行、死んで償ってもらえとの裁定だよ」
 死ぬ? 悪行? 信号無視で?
 男は死神の首をつかみ、渾身の力で締め付ける。
「何をやっても無駄さ。お前さんのポイントは100倍だったからな」
 
 100倍?
 さっき神は約束したが、それは善行ポイントのはずだ!
 男は死神に食って掛かった。
「ああ、100倍だろ。善悪ポイント。お前さんの悪行も100倍になるんだよ。神の野郎、ちゃんと説明しなかったのか?」


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「これがそうなのか」
「そうです。博士が偶然培養されていた菌の中から発見されたものです」
「これが、あのスーパー耐性菌をも死滅させることができる、スーパー抗生物質と言うのか」
「そうです。ですから博士、一刻も早く世界に発表しましょう」
「いやまて、急いては事を仕損じる」
「とは言われますが、長年の博士の苦労が報われるんですよ。まずは発表しましょう」
「こんな貧乏科学者に付き合ってくれた助手の言うことは、理解しているつもりだ。しかし、1つだけ確認させて欲しい、ほれ」
「わっ! 何をするんですか! スーパー抗生物質を私にかけてどうするんですか・・・うっ、うっ、うー!」

「やっぱりそうか。こいつはあらゆる生命体を死滅させるんだな。発表しなくて良かったよ・・・う、ううううっっ・・・」

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「こんな谷が生まれるとは、思ってなかったんだろう、兄さん」
「でも、君の方がジャンプ力があるんだろう、設定では」
「違うよ、俺のはジャンプ力じゃなくて、ややこしいことから逃げる、逃げ足が速いんだよ」
「まいったな、そうじゃなくても深い谷なのに」
「兄さんこそ、そういう時に何か助けてくれる方法・・・いや、けむに巻くような能力を持ってるじゃないか。今こそ使うべきだよ」
「そんな、結果がどうなるかもわかんないんだぞ。君はいいが僕が名誉を傷つけられたらどうするんだ」
「なんだよ、そんなことこの前言ってなかったじゃないか。僕に任せればどうにかなるって、偉そうに言ってたじゃないか」
「やっぱり僕たち兄弟は、分かり合えないようだね・・・」

「このゲーム、そんなに面白いか? 谷を越えるのにキャラチェンジがこんなに時間がかかるなんてよ」
「スーパーハトヤマブラザーズ・チャイナだからね。中国は難易度が高いんだよ」


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「スポンサーですか・・・このご時勢ですからねぇ」
「そこを何とかお願いしますよ。広告効果も確実にご提供できますし」
「テレビCMって言っても、みんなテレビなんか見ないでしょ」
「そんなことはないですよ、ワンセグがありますからね。逆に隙間時間でテレビを楽しむ人口が増えてるんですよ!」
「そういう見方もあるんだけどね・・・お宅の会社はねぇ」
「うちの放送局が、何か問題でもありますか?」
「いえいえ、なんだか・・・きな臭そうな香りがするんですよ、失礼なことを申し上げるようだけど」

「何か違法そう・・・なことはないですよ。うちは健全な南海放送です」

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