ヒナシスの丘攻防戦 | 太平洋戦争の傷痕 次世代への橋渡し
2009-09-08 16:28:44

ヒナシスの丘攻防戦

テーマ:サイパン戦の経過

16日、第31軍の井桁参謀長は軍司令部から第135連隊をタポチョ南斜面に移動するよう命じました

次はタポチョ山が第二の戦場になると予測したのです


第135連隊は17日の朝にはタポチョ山北側の電信山まで移動していた


斉藤師団長は17日午後5時にオレアイ・チャランカノアに上陸した米軍部隊に総攻撃をかけ、一気に壊滅する計画を立て、参加する部隊である136連隊・河村隊・18連隊第1大隊・旅団316大隊と315大隊・戦車第9連隊の残存兵に総攻撃命令を出した

無傷の135連隊も計画に入っていたが伝達不備と移動に手間取り、結局は間に合わなかった


一方、海軍では南雲中将の命を受け、辻村少将は陸軍の総攻撃に歩調をあわせ、落下傘部隊唐島大佐に同時刻総攻撃に加わるように命令した

唐島隊はガラパンより海岸線を進みオレアイの米軍基地の突撃する作戦となった


総攻撃作戦にはどうしても戦車隊の出動が必要であったため、師団幹部は戦車隊五島大佐を呼び寄せた

南興神社指揮所にて総攻撃作戦の詳細を説明した第43師団鈴木参謀長であったが、戦車第9連隊五島大佐は猛烈に反対した

「戦車は歩兵に合わせて攻撃すると機動力がなり、まして夜の攻撃は視界が無くなる上に敵からは良い標的になるだけである」と五島大佐は主張し、「突撃するなら米軍陣地が整っていないうちに、すなわち今すぐにでも攻撃するべきだ」と1歩も引かなかった

戦車隊だけでも今すぐ突撃すれば米軍陣地は充分に破壊できると自信満々であった

しかし参謀長としては、すでに命令後のため作戦変更は考えられず、二人は今にも刀を抜く勢いで言い争った

遂には斉藤師団長が中に入り、師団長命令により同時攻撃と決まった


17日午後5時、米軍上陸部隊が防御陣地を構築し部隊整備をするまでに総攻撃を加えたい作戦ですが、各部隊間の連絡が取れず、深夜になっても攻撃命令は出ず、2時半になってやっと攻撃命令が出た


米軍資料によれば、この日、部隊整備が整わないうちに総攻撃されるのが怖かった

そして一番恐れていたのは明るいうちに戦車隊に攻められることだった

15、16日の二日間で米兵は3500名まで死者が出おり、肝心の対戦車砲が未だに陸揚げされていなかったため米兵は浮き足だっていたのです

17日は何度も何度も艦隊司令部に向けバズーガ砲と75ミリ対戦車砲の陸揚げを催促していました


言うまでもなく、戦車第9連隊は夜中になっても攻撃合図が出ないことにイライラが頂点になっていた


海軍の唐島隊は、いち早く突撃準備を終えていたため、突撃命令がなかなか出ない理由を考えて待つしかなかったが、日が変わって2時を過ぎたころ、唐島隊長は戦闘が起これば陸軍は後に続くであろうと考え、全員に対戦車用の爆弾を持たせて突撃して行った


戦車第9連隊は午前2時半に歩兵隊が揃い、遂に30両の戦車は縦列となって山を降りて行った

しかし、そこに待っていたのは1600挺ものバズーガ砲の集中砲火でした

ロケット式のバズーガ砲は今まで見たことの無い破壊力がありました

それでも敵陣地を撹乱し指揮所近くまで猛攻撃をしましたが、M4型シャーマン戦車を繰り出し、照明弾で昼のようにされ、機銃の嵐、バズーガ砲の威力、対戦車砲などの反撃に大半が破壊・炎上していきました


唐島隊のすぐ横にて待機していたのは136連帯であった

唐島隊の突撃による騒動の音を聞き、「みんな遅れるな。我らも突撃する」の合図で突撃していった


海岸からヒナシスまでのオレアイ地区では4時間にわたる攻防であったが、勇敢な日本部隊の健闘は一時的なものしかならず、米軍の兵器の威力の前に悲しい死体を積み重ねていった


午前6時には戦闘は挫折し18連隊第1大隊はほぼ全滅、河村大隊はススペ湖北側に四散、五島大佐をはじめ各隊の指揮官はほとんどが戦死した


総攻撃作戦は失敗に終わり、防衛線をタポチョ山南斜面まで後退させた


日本軍の強さは、的確な作戦と連絡網の確保と余裕を持った陣地構築があれば、この時の米軍の上陸作戦はもっと困難なことだったでしょう

言い換えれば、米軍機動艦隊の居場所の把握が出来ず、現地のことなどは知ったかぶりをし、はるか遠い大本営から無責任な絶対的指示を送っていた

第31軍司令長官が視察先からサイパンに戻れなくなったあと、軍指揮は井桁参謀長に任せられたが、大本営は徹底的にこの井桁参謀長を責めるのみでした

現場に派遣された兵士も無念ですが、現場指揮官もそれ以上に無念だったでしょう


なまくら二等兵の戦地調査-水際陣地

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