永井路子先生とは
歴史小説をたくさん発表された小説家です。
残念ながら2023年1月27日に他界されました。
その作品の数々は、私の歴史観に大きな影響を与えました。
そのきっかけが、大河ドラマ『草燃える』でした。
この原作となった「つわものの賦」「炎環」「絵巻」「北条政子」の原作者、として私は認識したのでした。
その頃はまだ原作小説を読んでいなかったのですが、
のちに大河ドラマ『おんな太閤記』は実は橋田寿賀子が永井路子先生の「王者の妻」を参考にしている(つまり、実質的には大河ドラマの原作小説であった)と知り、がぜん興味を抱いたのでした。
当時仲の良かったクラスメイトが永井先生の「歴史をさわがせた女たち」が面白いと薦めてくれたのがきっかけでエッセイ集を手にし、文章の読みやすさやその新鮮な歴史観にすっかり魅了されたのでした。
「この世をば」とは
娘を4人天皇へ嫁がせた平安中期の実力者・藤原道長のサクセスストーリー。
道長だけでなく、正室の倫子、姉の藤原詮子など、道長が成功の道を進むために絶妙なサポーターとなった女性たちの姿もかっこよく、読んでいるこちらまでがワクワクソワソワしたものです。
個人的には、蔵人頭・藤原行成が好きでした。
作品を理解するために挿絵のように系図が入っていたので、おかげで一条天皇の周辺についてちょっとだけ詳しくなりました。
ちなみに、この作品の中には清少納言も紫式部もほんの少し登場しますが、それは本当に「ほんの少し」だけ。噂レベルのエピソードでした。
大河ドラマ『光る君へ』では、ヒロインのまひろ(後の紫式部)と、道長はソウルメイトという深い関係という設定だそうで…。
私は道長のサクセスストーリーだけでも十分に面白い内容になると思うのですが、世間ではラブストーリーの要素がないとダメなのでしょうかね。
宮中の内外で、貴族たちが暗躍するアレコレは興味が尽きません。
一番興味をひかれたのは、現代では「宮中歌人」と認識されている人物も、当時は自分のことを「歌人」と認識していなかったとか。だって、歌は詠めて当たり前。宮中に務めるものとしての当然の教養の一つだったから。官位を得たり昇進したりするのにも、そして恋愛にも大変に役立ちました。もちろん、「あの人は歌が上手い」と褒められるのは誇らしいことなので、ドヤ顔でマウントする素材にも。当時貴公子としてあこがれの的だった藤原公任のさわやかなマウントっぷりも楽しみですね。
そして、現代人が思うよりも、平安貴族はしたたかだったという視点。魑魅魍魎・呪いを「恐ろしい」と震える袖の影で、実は平然と政治利用していたとか。
ここも大河ドラマではどのように描かれるのでしょうか。
ということで、是非に「この世をば」をお読みください!
漫画「あさきゆめみし」とともに、私にとっての平安時代を理解するバイブル的な作品でございます。
ちなみに、後半は「三條院記」という作品も大いに参考になりますよ!
※「この世をば」に感化されて30年ほど前に描いた作品です(^^ゞ
※「この世をば」が好きすぎてゲットした本