グルック バレエ音楽「ドン・ファン」 | 翡翠の千夜千曲

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Chistoph W. Von Gluck (1761) Don Juan - fandango

 

Combattimento - Gluck Fandango

 

Gluck Don Juan ballet Gianandrea Noseda

 

 

 

 

   今日は、グルックとアノン(ハノン)の誕生日にあたります。ハノンと言えば、腕がつりそうになる退屈極まりない、けれども確実に指が回るようになる練習曲を書いたハノンです。一方、

グルックといえば、オペラ改革「オルフェオとエウリディーチェ」(1762)で有名ですが、バレエ音楽を「改革」する作品も発表しています。ウィーンで初演された、モリエールの戯曲に基づくバレエ「ドン・ファン」そしてバレエ「セミラミス」です。この2つのバレエ作品は、ひとつの一貫したストーリーで構成され、その音楽では、オーケストラのすべての楽器や要素が場面の表現に役立てられている、という点で革新的でした。そんな意味もあって、今日の音楽はグルックのバレエ音楽を聴きます。

 最初の動画は、踊りの入った「ファンダンゴ」ですが、問題は楽器の響きです。籠ったような響きがするのは、古楽器(ピリオド楽器)の音です。オーケストラピットや袖で弾くとこんな感じの響きになります。太鼓も現在のものとは少し違います。

 2つ目の動画は、これもやはり古楽器の演奏ですがマイクで音を拾っていますので、幾分クリアーになっています。そして、3つ目の動画は現在の楽器で演奏しているものです。

 尚、題材になっている「ドン・ファン」(Don Juan)は、17世紀スペインの伝説上人物で、ティルソ・デ・モリーナの戯曲「セビリアの色事師と石の客」が原型となっているものです。好色放蕩な美男として多くの文学作品に描かれています。プレイボーイ、女たらしの代名詞としても使われますが、「ドン」はスペイン語圏等で使われる男性の尊称です。

 キャラクターの設定が際立っていることから作品として扱いやすいということもあって、音楽や文学でも様々な作品が私たちを楽しませてきました。

  • セビーリャの色事師と石の招客(戯曲)、ティルソ・デ・モリーナ(1630年)ドン・ファン・テノーリオ
  • ドン・ジュアン (戯曲) - モリエールの戯曲。1665年発表。
  • ドン・ジョヴァンニ(オペラ)、モーツァルト(1787年)
  • ドン・ジュアン(評論/小説)、E・T・A・ホフマン(1814年)
  • ドン・ジュアン(詩)、バイロン(1819-24年)
  • 石の客(『小悲劇』中の一編)、プーシキン(1830年)
  • ドン・フワン・テノーリオ(戯曲) 、ホセ・ソリーリャ(1844年)
  • ドン・ジュアン(戯曲)、A.K.トルストイ(1862年)
  • 石の客(オペラ)、ダルゴムイシスキー(1872年初演)
  • 交響詩「ドン・ファン」(管弦楽)、リヒャルト・シュトラウス(1889年) 

※ これまでの記事

① フルートの出番です97 グルック《オルフェオとエウリディーチェ》より「精霊の踊り」

② グルック「6つのソナタ」《グルックの表現》古典派の音楽①

③ フルートの出番です115  グルック「フルート協奏曲」ト長調 

 

 

『グルック: ドン・ファン、セミラミス』
【曲目】
C.W.グルック(1714-1787):
・バレエ≪ドン・ファン≫ Wq.52(1761年)
・バレエ≪セミラミス≫ Wq. Anh. C/1(1762年)

【演奏】
ジョルディ・サヴァール(指揮)
ル・コンセール・デ・ナシオン(コンサートマスター:マンフレート・クレーマー)