5/21(火) 献上された工芸品の数々 | そんな感じ。 since March 28, 2005

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日常生活の中で、ふと感じたこと。

関心したこと。

その時の感性のおもむくままに気ままに書き留めています。

2024年05月21日(火) 曇のち晴

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朝陽霊峰

横山大観 / 昭和2年(1927) / 紙本墨絵金彩

横山大観が初の御下命を受け、明治宮殿(昭和20年焼失)の豊明殿という大広間のために制作したもの。

 

 

 

明治宮殿は1945年5月25日の空襲で焼失したんだ・・・。

宮殿の消火作業に当った警視庁の特別消防隊19名が殉職したというけど、この作品は別の場所に保管されていたのでしょうか。

太平洋戦争末期の空襲が皇居にも及んでいたことを思わぬところで学びました。

 

七宝四季花鳥図花瓶

並河靖之 / 明治32年(1899) / 七宝

1900年のパリ万博に出品された、有線七宝の技を用いた並河靖之の最高傑作。

 

この作品の回りだけパーティションで区切って、漆黒の空間を演出し、桜と小鳥(うぐいす?)が浮き立つように演出した展示方法も見事です。

並河靖之の作品は以前見て、繊細で素晴らしいと思ったけど、こちらは桁違いに手が込んだ大作です。

 

 
双鶏置物
戸島光孚(とじまこうふ)他 / 大正5年(1916) / 木; 漆塗、蒔絵
等身大に近い雌雄の鶏を蒔絵で表した置物。
大正4年(1915)の※大礼を奉祝して公家出身の華族一同より献上された。
※大正の即位礼は京都で行われた。

 

蒔絵は漆で絵や文様を描き、漆が固まらないうちに蒔絵粉(金・銀などの金属粉)を蒔いて表面に付着させ装飾を行う。

粉を蒔いて絵にするところから「 蒔絵(まきえ) 」と呼ばれている。

 

まくから「まきえ」! 知らなかった!

木彫りの鶏に蒔きまくった技がスゴ過ぎる!

さすが華族一同さまよりの献上品!

 

閑庭鳴鶴(かんていめいかく)・九重ノ庭之刺繍屏風

高島屋呉服店 / 昭和3年(1928)/ 刺繍

昭和3年(1928)の※大礼に際して、京都市が献上。

※昭和天皇の即位の礼と大嘗祭

 

もう刺繍が精緻で素晴らし過ぎる!

作者は「高島屋呉服店」となっているけど、どれだけの職人さんが制作しているのだろう?

 

この岩肌の表現、見事過ぎて惚れ惚れする!

 

この入り組んだ葉の光沢も素晴らしい。

やっぱり奥側から刺していくんですよね。

根気が常人離れしている・・・。

屏風の全体像を写してないけど、今、これだけの刺繍屏風を発注したらいくらかかるんだろう?(すみません、金の話で)

その前に、職人さんが確保できるのだろうか。

 

重要文化財 萬国絵図屏風

桃山~江戸時代 17世紀 / 紙本着色

 

右隻に8人の王侯騎馬図とポルトガル地図、28の都市図を描き、左隻に世界地図と諸国の人物図が描かれている。

これらの図のほとんどはオランダの銅板画に基づき、技法も西洋から伝わったものだが、日本で開かれたイエズス会のセミナリオ(画学舎)で学んだ日本人が描いたものと考えられる。

明治天皇の御学問所にあったとされる。

 

右隻(一部)

ポルトガルの王侯騎馬図だったのね。

オスマン帝国だとばかり思って見ておりました・・・。

 

左隻(一部)

白いターバンのオスマン帝国っぽい男性とヒジャーブで頭部を覆った女性、黒いとんがり帽子の男性と白い襟が立ったドレスの女性、中国や日本の服装の人物もいます。

 

さすが皇室への献上品。

素晴らしい物ばかりで、楽しませていただきました。