2023年12月12日(火) 雨後曇一時晴
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国宝 ⑤【屏風土代(びょうぶどだい)】
小野道風(おののみちかぜ) / 延長6年(928) / 紙本墨書
三跡の一人、平安時代の小野道風(894~966)35歳の書で、醍醐天皇の勅命で新調された屏風の色紙形(しきしがた)に書く漢詩の下書き(土代)。
随所にみえる書き入れや訂正に推敲の跡がうかがえる。
政治家・井上馨の旧蔵品で、井上家から大正天皇に献上された。
林塘避暑(林塘に暑を避く)
入林斗藪満襟埃 (林に入り 斗籔す 襟に満つる埃)
看取香蓮照水開 (看取す 香蓮の水を照らして開くを)
池上交朋唯対鶴 (池上の交明 唯だ鶴に対(むか)うのみ)
樹問鋪設不如苔 (樹間の鋪設苔に如かず)
境閑客熱辞身去 (境閑にして客熱身を辞して去り)
葉密松風払面来 (葉密にして松風面を払ひて来る)
林中に入り身に纒う俗塵を払い落とし、
香ぐわしき蓮花が水に照り映えて咲くのを伺い見る
池のほとりに交わる友と言えば唯だ差向いの鶴ばかり
木々の問に敷き展べられているのは苔
何とも閑静で、訪れる人の身から暑苦しさが消えてゆき、
木々の葉がびっしりと繁り、松風が涼やかに顔を吹き払う
※山林斗藪(さんりんとそう): 山などにこもり仏道の修行をすること