4/3(水) 令和 読売新聞記事スクラップ | そんな感じ。 since March 28, 2005

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日常生活の中で、ふと感じたこと。

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その時の感性のおもむくままに気ままに書き留めています。

2019年04月03日(水)

 

4月2日付読売新聞

 

「令和」の文字がデカい!

「令和」と一緒に写っているのは、管さんではなくて安部ちゃんだ。

 

↑鎌倉時代に作られ、すべての歌がそろった写本として現存最古の「西本願寺万葉集」を撮影したフィルムから取った梅花の歌序文

天平二年(730年)正月13日は、今の暦でいうと2月8日頃。

 

 

【引用箇所】

初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香

【読み下し分】

初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す。

【現代語訳】

新春の好き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている。

(中西進「万葉集 全訳注原文付(一)」 講談社文庫 

 

こちらの序文は、王羲之(Wáng Xīzhī、303年 - 361年)の書「蘭亭序(らんていのじょ)」の形式と同じだと指摘されています。

中国では唐の初めに漢詩に序をつけることが流行し、この傾向は万葉集の中にも入り込み、独特な表現様式を持つことになったそうです。

万葉かなではなく、表意文字としての漢字を使った漢文体ですもね。

 

そして、中国文化学者の加藤徹明治大学教授によれば、「令月」と「和」という組合せは、後漢時代の張衡(ちょうこう)の詩「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」など中国の詩文集にもあるらしい。

(万葉集の引用箇所: 初春令月淑風、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香)

 

ほんとに、そっくり!

 

私は、序文後半の「梅鏡前之粉、後之香」は「離騒」の第六句の「江离和香芷,纫秋巾」(江離と辟(芷を身にまとい、秋蘭を通して佩巾とす。)と漢字が三つ一致しているなぁ~と思うんですよ。

万葉集の方は「」の漢字が「(梅が)開く」という意味で用いられ、離騒は「まとう」という意味で用いられいるし、「」も万葉集はシュンラン、離騒は秋蘭(フジバカマ)、「」と「」は意味は同じだけど、偏が違う。

こちらの方はそっくりというわけではないけど、やっぱり中国文化の影響を受けていることがしっかり感じられる。

因みにこの序文を書いたといわれる大伴旅人は、藤原氏との政争に敗れた長屋王と親しかったために九州・大宰府に左遷中だったとか。

そんな境遇も屈原に似てる。

 

「令和」は史上初めての国書からの出典による年号ということだけど、年号は漢字二文字の組合せという縛りがある限り、中国文化の影響は免れないですね。

やっぱり、日本文化を謳うなら、ひらがな年号にしないとね。

「をかし元年」とか「わびさび元年」といった具合に。

 

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【メモ】

※披(pi1 まとう、開く、広げる)江离和香芷(zhi3)兮,纫(ren4  針の穴に糸を通す)秋(qiu1)兰做佩(pei4 帯の飾り玉)巾。