2010年IMJ(統合医療学会北海道支部)ニュースレター投稿紹介。

 

五臓六腑七情と健康

 

医学博士・陶氏診療院院長・漢方アロマ療養師育成校校長 陶恵栄

 

 2千年前、中国医学陰陽五行理論で、人類の感情が、喜怒哀楽と五臓六腑を関連し、陰陽バランスに影響することを指摘した。中国医学が「七情」と言う、「喜、怒、憂、思、悲、恐、驚」(喜び、怒る、憂い、思い、悲しい、恐れ、驚く)、最初の喜びは満足の感情で、残された六情はすべて不良感情、現実のことが、予期の期待と違い、自分の心理要求が満足できない時の感情だ。

思うことは人々の考え、思考、思量、思念、思想、それは人類特有の深層情緒活動だ。七情の表すことは、人類の正常精神活動の表現、環境、外の世界に対している反応だ。人々も七情の表現が様々で、十人十色のような、社会がその感情表現で色々なドラマが誕生する。


 人類の七情が五臓六腑と関連が、「黄帝内経」の「素問・陰陽応象大論」が書いた:「人有五臓化五気、以生喜怒悲憂恐。」(人の五臓が五気に変化し、喜び、怒る、悲しい、憂い、恐れを生まれる)。肝「在志為怒」(肝気の外在表現は怒る)、心「在志為喜」(心気の外在表現は喜び)、脾「在志為思」(脾気の外在表現は思う)、肺「在志為憂」(肺気の外在表現は憂い)、腎「在志為恐」(腎気の外在表現は恐れ)。そのため、人々の情緒活動と人体の五臓六腑が関係密接、どんな過剰的な情緒活動、関連臓腑に負担になり、傷むの対称になる。「怒傷肝」(怒ることは肝を傷む)、「喜傷心」(喜びすぎることは心を傷む)、「思傷脾」(過度の思うことは脾を傷む)、「憂傷肺」(憂いは肺を傷む)、「恐傷腎」(恐怖は腎を傷む)。中国医学の養生指導が意簡且つ明確、「喜怒不節、寒暑過度、生乃不固」(喜怒情緒が乱れ、寒暑過度に過す、疾病の原因になる)。

 

 正常の臓腑機能が、日常生活時の情緒が影響し又、支えている。正常反応を超える情緒変化が、臓腑の機能を損害し、様々な病気の原因になる。この七情の原因で病気になるのは、臓腑外来からの受けた原因ではなく、内在の原因で、臓腑の機能、気機が影響された。中国古代の医学書「素問・挙痛論」で、「百病生于気也、怒則気上、喜則気緩、悲則気消、恐則気下、・・・驚則気乱、・・・思則気結。」(病が気から、怒る時肝気が上昇する、喜びは心気を緩い、悲しくなると肺気が弱まり、恐怖を感じると腎気が沈み、・・・驚きなら腎気が乱れ、・・・思いをし続けると脾気を詰まる。)と明記された。


 「怒則気上」とは、極度の怒る時肝気(肝臓の気機)を上昇する、全身巡る、下がる血も肝気と共に逆上昇し、臨床症状として胸、脇の腫れ、疼痛、顔面朝紅、酷い時嘔血、更に失神、昏迷まで至る。「三国誌」中の「三気周瑜」(孔明が周瑜の性格を知り尽くして、心理戦と情報戦で、三回周瑜を怒らせ、周瑜の弱いところを利用して、気迫で周瑜を嘔血して倒す物語。)で、心狭いの周瑜が、気逆させ、肝臓を傷み、三回で三十六歳の若い命を落とした。

 

 「喜則気緩」とは、大喜び時に気を緩すぎる、心気緩くなると、心気の「神」が自分自身守ることができなく、軽い症状は、不安不眠、進むとぼんやりして狂い、乱れ、失神に至る。「儒林外史」中の范進、十年「中挙」(古代中国の科挙に合格する。科挙:中国伝統的に官僚へ登用する為の手続き)、大喜び過ぎて、瘋癲状態になり、一すくいの人糞が頭から浴びて、心神とも落ち着いて、冷静に戻った。


 「悲則気消」とは、悲しくなると肺気が弱め、特に悲しい過ぎると、肺気を傷め、気持ちを重くて、終日憂鬱し、うつうつとして楽しまなくて、元気がない、呼吸が浅い、息苦しい。「紅楼夢」の中林黛玉が悲しくて考えすぎる、美人薄命になって、「香魂一縷随風散」(香ばしい魂が一吹き風に散り去った)。


 「恐則気下」とは、恐怖を感じると腎気が沈み、極度の恐怖が腎気を傷め、腎気を陥没し、血が共に下がり、人の顔色が蒼白なり、大便と小便が失禁し、酷くなると気絶する。子供の時、暗い角に隠し、臆病や胆小さい同級生にビックリさせ、時には相手が失禁になり、それは「恐則気下」の結果。