「馬の耳に念仏」(うまのみみに ねんぶつ)とは、
馬に、ありがたい念仏を聞かせても無駄であることから、いくら意見
をしても全く効き目の無いことのたとえを言います。
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先週は親戚に不幸があって、葬式に出席していました。長く入院され
ていて、葬儀は身内だけで送る「家族葬」でした。
坊さんは一人だけで、木魚を叩いたり鐘を鳴らしたり忙しそうでした。
いつもボーとして聞いていたので気にとめていなかったのですが、
お経の中に「朝は鳥になってさえずり」「夜は星になってきらめき」「
風になって空を舞っている」というようなフレーズがあって、「ああ、こ
のお経から、あの大ヒットした歌が来ているんだな」と思いました。
(上のフレーズはメモしたワケではないので、正確ではありません)
後になって調べたのですが、お経にはそんなモノはありませんでした。
オリジナルの経だったのでしょうかね?
お経が終わって、「最後に少しだけ話させて下さい」と、坊さんが話し
始めました。
いわゆる「説教」というヤツです。
説教は遺族の悲しみを和らげたり、生きて行くにあたって考えさせら
れる話が多いです。
今回は「戒名」についての話でした。
宗派によって少し違うかも知れないのですが、戒名は、お釈迦様の
弟子になる為に付けられるそうです。
たいてい亡くなってから付けてもらうのですが、坊さんはすでに釈迦
の弟子なので、生きているのに戒名があるそうです。
戒名は階級があって・・(死んでしまったら、皆、お釈迦様の弟子で、
上下関係は無かったように記憶してるんですがね)信士・信女。居士
大姉。院居士・院大姉などがあります。
戒名を付けてもらうには戒名料が必要です。階級によって値段は
違っていて、30万円程度。50万円程度。100万円程度がそれぞれの
階級の目安の金額だそうです。
(坊さんは、上の金額の話はしてませんよ。調べると相場として載って
ました)
ネットで調べて見ると、今は「お坊さん便」と言うモノがあって、全ての
宗派に対応していて、法事でのお経は通常の1/10。
戒名も1/10くらいで、最高級の院居士・院大姉でも1/5くらいで付けて
くれるそうです。
電話かメールで申し込んで、担当の坊さんから電話があって打ち合
わせをし、指定口座にお金を振り込むと正式依頼となり、戒名と授与
証が郵送されて来るそうです。
便利な世の中になりましたが、完全に価格破壊ですね。
・・・話が飛んでしまいました・・・。
坊さんの「説教」の続きですが、坊さんは話の中で戒名の付け方に
ついて話してくれました。
その中で「知らない人の戒名は付けられない」って、言っていました。
これって、「お坊さん便」を意識した言葉じゃないですかね。
「お坊さん便」は、電話で故人のことを聞いて戒名を付けてくれるので、
全く知らなくても、それで事足りるようですね。
檀家の坊さんと言っても、普段それほど深く関わっているワケでも無
いので、「お坊さん便」でも、なんら問題ないように思えます。
さて、ウチのオヤジは耳が悪くて、一階でオヤジがテレビを見ている
と、二階にいてもハッキリとテレビの音が聞こえるくらいなのですが、
坊さんの素晴らしい「説教」が終わって、全員が坊さんに頭を下げた
時に、「しん」とした静けさの中で、オヤジのつぶやきが聞こえました。
「耳が悪いから何を言うとるのか
さっぱり分からんわ!」
一瞬の沈黙の後、大爆笑が起きました。
坊さんも笑っていました。
どんなに良い話をしてもらっても、聞こえなければ何にもなりません。
落語のオチの後の「お後がよろしいようで」が聞こえて来そうな気が
しました。
「馬の耳に念仏」ということわざがありますが、これは「つんぼに説教」
とでも言っておきましょうかね。
はい。本日は、これまでとします。
追記:
お寺には檀家(だんか)があって、法事や葬式などに来てもらった坊
さんに、お金を渡します。
墓の移転などは法外な費用を請求されることもあるそうですが、料金
はキッチリ金額が決まっていなくて曖昧だそうです。
本文に書いた「お坊さん便」は、何がいくらと、ハッキリ料金が決まっ
ていて、その上、驚くほど安い金額です。
昔はボウズでメシを食うのは、檀家が100軒とか150軒必要と言った
そうですが、坊さんも厳しい時代に突入してたようです。
あなたの知っている坊さんはどうですか?良い車に乗っているなら、
まだ「お坊さん便」はやって来ていないようですね。
来るのは時間の問題かも知れませんがね。