見知らぬ外国人と旅をする 南米編Ⅰ その87 | のぶろぐ

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アラフォーサラリーマン 旅の懐古日記

【パタゴニア:ロス・グラシアレス国立公園 8】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・言葉が出ない。

 

 まるで中世の王侯貴族の宮殿のように、気品に満ちた姿でたたずむペリト・モレノ氷河。

 

 展望台から見る氷河の姿は、これまで訪れたどの場所よりも壮大で美しい。

こんな光景が地球上に存在するなんて!!

 

 

 

こんな景色が見れるとは、完全に見くびってた・・・。

 

 

 

 時に押しつぶし合い、時に引き裂き合いながら、悠久の時を経てその身をこの世に二つと無い芸術品へと造形させてゆく。

しかし、その青く澄んだ彫像の最後は脆く儚い。

背後からジリジリと押し出され、仕舞いには突然の轟音と共に、一気に湖に崩し落とされてしまう。

その瞬間、彼らの長い旅は終わりを告げ、新たな彫像が湖に漂う。

 

 

 

やがては湖に落ちてゆく。

 

流氷が浮かぶ。

 

 

 

 大地を削りながら斜面を滑り落ちてゆく氷河。

その底では、地熱や自らの重みで解けた氷が薄い水の層をつくり、潤滑油の役目を果たしている。

 

 この大氷原は1日に2kmずつ前進を続けている。

そのため、鳴り響く轟音と共に20階建てのビルにも匹敵する高さから氷の塊が崩れ落ちる様を、他の氷河よりも頻繁に目にすることができる。

いざ、展望台の最前列へ! 氷河の崩落を待ってみよう!!

 

 距離感が全くつかめない。

パッと見ただけでは、それほどの大きさには感じられないのだ。

しかし、いよいよその時を迎えると、身体の奥底から震えるほどの氷河の巨大さを実感することになる。

 

 ついに氷河の一部が崩れ、湖面に叩きつけられた!

・・・が、何だ、音が聞こえてくるまでの、この時間差は!!

感覚とのギャップがありすぎて違和感すら覚える。

崩落のあった場所からここまで、そんなに距離があったんだ・・・。

 

 それまで静かだった大気が震え、水面が激しく波打つ。

ちょっとした氷塊(のように見えてしまう)が崩れただけでこの迫力。

この旅では、自然に対してずっと畏敬の念を抱かされっぱなしだ。

 

 ちなみに、崩落と共に津波のように押し寄せる波は、これまでに対岸にいる何人もの見物客の命を奪っているらしい。

スケールが大きすぎて頭が追い付けない・・・。

 

 

 

比較対照できるものがあると氷河の大きさが実感できる。

 

まだまだ規模は小さいが、崩落の瞬間。

 

氷河の先端は幅5km、高さ60mの氷の壁となる。

 

未だにこの場所以上に美しい場所には出会っていない。

 

船ってあんなに小さかったっけ・・・。

 

 

 

 

 雄大で美しく、身震いするほどの圧倒的な迫力を持つペリト・モレノ氷河。

何時間でも、何日間でもここに留まりたい!

 

 現在、地球の陸地のほぼ1割を覆う氷たち。

氷河の拡大と縮小は地球規模の気候変動と密接にかかわって、我々の生活に影響を及ぼすであろう。

温暖化などに負けず、いつまでもその姿を保っていてもらいたいし、そのための努力を我々もしなければならない。

 

 

 

旅の最大の目的地でもあったペリト・モレノ氷河もとうとう見納め。

 

 

 

 帰りのバスはセントロで降ろしてもらい、ポストカードを購入し宿の戻る。

ちょうど写真の上映会みたいなことをやっていたのだが、説明が長く、当然聞き取れない。

そのうえ、トイレにも行きたいし、やりたいこともいろいろあったので、申し訳ないが途中退室する。

 

 夕食に町でピザを食べ、帰りに氷河でウイスキーを乾杯したウルグアイの女性2人組に会う。

小さい町ならではの再会だ。

 

 さて、この現地発着ツアーも残り10日を切った。

皆と離れ離れになる日が、刻一刻と迫ってきている。

時の流れとは、斯くも無情なものか・・・。