以下の表に、条件を満たした銘柄10社の概要を示します(2025年6月現在)。いずれも東証上場銘柄で、2025年予想配当利回りが5.5%以上、PBRが1.2倍未満、PERが12倍未満となっています(数値は最新予想ベース)kabutan.jpkabutan.jp。
| 銘柄名(コード) | 業種 | 現在株価(円)* | 予想利回り(2025年) | PBR(倍) | PER(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| クレハ (4023) | 化学 | 約3,100 | 6.6% | 0.57kabutan.jp | 11.9kabutan.jp |
| ニッピ (7932) | その他製品 | 約10,000 | 6.3% | 0.72kabutan.jp | 11.1kabutan.jp |
| 三信電気 (8150) | 卸売 | 約2,200 | 6.2%kabutan.jp | 0.68kabutan.jp | 7.6kabutan.jp |
| 新家工業 (7305) | 鉄鋼 | 約4,650 | 6.46%kabutan.jp | 0.71kabutan.jp | 10.5kabutan.jp |
| プレス工業 (7246) | 輸送用機器 | 約530 | 6.15%kabutan.jp | 0.47kabutan.jp | 11.6kabutan.jp |
| 青山商事 (8219) | 小売業 | 約2,180 | 6.2%kabutan.jp | 0.59kabutan.jp | 11.1kabutan.jp |
| スクロール (8005) | 小売業 | 約1,050 | 5.6%finance.yahoo.co.jp | 0.99kabutan.jp | 9.0kabutan.jp |
| トピー工業 (7231) | 輸送用機器 | 約2,300 | 5.8%minkabu.jp | 0.41minkabu.jp | 6.5kabuyoho.ifis.co.jp |
| ダイキョーニシカワ (4246) | 化学 | 約640 | 5.9%kabutan.jp | 0.52kabutan.jp | 8.7kabutan.jp |
| 日本冶金工業 (5480) | 鉄鋼 | 約3,850 | 5.7%kabutan.jp | 0.56kabutan.jp | 6.0kabutan.jp |
*株価は2025年6月9日時点の概算終値(利回り・指標は会社予想ベース)。
上記銘柄は配当利回りが高いだけでなく、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)といったバリュエーション指標でも割安水準にあります。それぞれの企業について、事業の将来性や成長戦略の観点から中期投資に適したポイントを簡潔に解説します。
クレハ (4023) – 化学
現在株価:約3,100円|予想利回り:6.6%|PBR:0.57|PER:11.9kabutan.jp
総合化学メーカーのクレハは、高機能樹脂や炭素製品で強みを持ちます。特にリチウムイオン電池用バインダー材料「PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)」で世界トップクラスのシェアを有し、車載電池需要の拡大を追い風に生産能力増強を進めていますreuters.com。実際、2026年3月完成予定で約700億円を投じ国内工場のPVDF生産を年8千トン増強する計画ですreuters.com。こうした積極投資により、電池材料分野での成長が期待できます。また、主力の食品包装用樹脂など安定事業も堅調で、高配当を維持しつつ企業価値向上が見込まれます。
ニッピ (7932) – コラーゲン・化粧品等(その他製品)
現在株価:約10,000円|予想利回り:6.3%|PBR:0.72|PER:11.1kabutan.jp
ニッピはコラーゲン素材やゼラチンの老舗メーカーで、化粧品原料や健康食品向けが主力です。近年は再生医療分野にも注力しており、iPS細胞を用いた新技術開発にも取り組んでいますkabutan.jp。コラーゲンは医療・美容で応用拡大が期待され、ニッピは培ってきた独自技術で市場をリードできる立場です。実際、同社は世界で初めてコラーゲン由来の人工真皮を開発するなど実績があります。また、化粧品事業では高付加価値商品の投入で収益性が向上中です。財務体質も健全で、配当性向も約70%と利益還元に積極的diamond.jp。安定高配当を享受しながら、新規事業の成長による中長期的な株価上昇も狙える銘柄です。
三信電気 (8150) – エレクトロニクス商社
現在株価:約2,200円|予想利回り:6.2%|PBR:0.68|PER:7.6kabutan.jp
三信電気は電子部品の専門商社ですが、近年は単なる部品卸売から情報通信分野のソリューション提供へビジネスモデルを転換中です。具体的には、従来のデバイス事業で収益基盤を強化するとともに、ITインフラ構築やIoT支援などサービス提供型ビジネスの拡大に努め、デジタル技術の活用や顧客基盤拡大に注力していますkitaishihon.com。実際、同社は企業のDX需要を捉えてソリューション事業が伸長しており、直近の業績予想でも両事業の増収を見込んでいますkitaishihon.com。配当は安定的で、予想配当性向も50%未満と余力十分kabutan.jp。電子部品の在庫調整局面を乗り越えれば業績回復が見込まれ、中期的な収益成長と株価の見直し余地があります。
新家工業 (7305) – 鉄鋼(二次製品)
現在株価:約4,650円|予想利回り:6.46%|PBR:0.71|PER:10.5kabutan.jp
新家工業(しんかこうぎょう)は鋼管など鉄鋼二次製品のメーカーで、建設資材や配管向け鋼管に強みがあります。業績は市況に左右されますが、直近期(2024年3月期)は市況低迷で減益だったものの、2025年3月期は経常利益が前期比+62.7%増の31億円と大幅増益予想と発表されましたkabutan.jp。鋼材市況の回復やコスト改善が寄与する見通しです。実際、直近の決算でも在庫評価損の一巡で利益率改善が示唆されていますkabutan.jp。PBRが0.7倍台と自己資本割れの水準でありつつ業績は底打ち反転局面のため、株価の上昇余地があります。配当利回りも高く(予想配当性向約68%)diamond.jp、インカムを得ながら鉄鋼需要回復によるキャピタルゲインも期待できる銘柄です。
プレス工業 (7246) – トラック部品製造
現在株価:約530円|予想利回り:6.15%|PBR:0.47|PER:11.6kabutan.jp
プレス工業はトラックや商用車向けの車体・シャーシ部品を主力とする部品メーカーです。小型~大型トラックのフレームで国内トップクラスのシェアを持ち、海外展開も進めていますrakuten-sec.co.jp。近年は電動車両(EVトラック)向け部品の開発・受注にも注力しており、スウェーデンの大手商用車メーカーScania社からEVトラック用衝撃吸収部品の受注に成功し現地量産を開始しましたnetdenjd.com。また北米向けEVアクスルやタイでのEVフレーム生産など、次世代車関連への対応を強化していますrakuten-sec.co.jp。足元では国内外の商用車需要が堅調で、生産効率改善策も奏功して利益体質が向上中です。低PBRながら自己資本比率は50%超と財務も安定しており、高配当(予想配当性向約71%)diamond.jpを享受しつつ、EVシフトに伴う事業拡大による株価上昇が狙えるでしょう。
青山商事 (8219) – 紳士服小売
現在株価:約2,180円|予想利回り:6.2%|PBR:0.59|PER:11.1kabutan.jp
「洋服の青山」を展開する紳士服大手の青山商事は、コロナ禍で苦戦したスーツ需要が徐々に持ち直しつつあります。2025年3月期は主力のメンズスーツこそ伸び悩んだものの、カジュアル衣料やレディース分野の強化により増収を確保しましたseventietwo.com。同社は中期経営計画で主力以外の新規事業開発にも取り組んでおり、全社員からアイデアを募って事業多角化を進めていますsenken.co.jp。実際に、新たな取り組みとして店舗余剰スペースを活用したシェアオフィス事業「BeSmart」を開始し、コロナ後のテレワーク需要を捉える戦略も展開中ですfashionsnap.com。さらに店舗縮小跡へのコンビニ誘致など異業種提携も図っていますitmedia.co.jp。保有不動産の有効活用や構造改革で収益体質は改善しており、業績回復に伴う株価の再評価が期待されます。高利回り配当を得ながら、ポストコロナの消費動向に乗った業績改善メリットを享受できる銘柄です。
スクロール (8005) – EC通販・カタログ通販
現在株価:約1,050円|予想利回り:5.6%|PBR:0.99|PER:9.0kabutan.jp
スクロールは、通信販売(通販)事業を展開する企業で、カタログ通販からスタートし現在はオンライン通販やEC支援にも注力しています。中高年向け衣料・生活雑貨の自社通販サイト運営に加え、近年はM&Aにより化粧品や健康食品分野にも事業を広げました。例えば、近年子会社化した化粧品メーカーの商品を通販チャネルで販売するなどシナジーを創出しています。また、他社EC支援(eコマースソリューション)事業も手掛け、EC市場全体の拡大トレンドの恩恵を受けています。業績は堅調で2025年3月期も増収増益見込み、自己資本比率も高水準です。株価は純資産並みで配当利回りも5%台後半と割安感がありkabutan.jp、堅調な通販需要を背景に安定配当を得つつ中期的な企業成長が期待できるでしょう。
トピー工業 (7231) – 鉄鋼・自動車部品
現在株価:約2,300円|予想利回り:5.8%|PBR:0.41|PER:6.5kabuyoho.ifis.co.jp
トピー工業は、自動車ホイールと鉄鋼事業を二本柱とするメーカーです。自動車用スチールホイールで国内トップシェアを誇り、日本製鉄の関連会社として素材から一貫生産体制を持つ強みがありますweb.fisco.jp。近年はアルミホイールや建設機械用部品にも注力し、収益源の多角化を進めています。鉄鋼事業では電炉を活用した高級鋼材の生産で、インフラや建機向け需要を取り込み安定収益を確保しています。EV(電気自動車)の普及によって車両重量増への対応として高強度・軽量ホイールのニーズが高まる見込みであり、同社の開発力は評価できます。また海外展開にも積極的で、北米やアジアでの拠点展開を進めています。業績は足元で原材料高の影響を受けたものの、利益率は改善傾向にあり、PERはわずか6倍程度と過度に割安ですkabuyoho.ifis.co.jp。高配当を享受しながら、景気回復局面での株価上昇ポテンシャルが大きいバリュー株と言えます。
ダイキョーニシカワ (4246) – 自動車プラスチック部品
現在株価:約640円|予想利回り:5.9%|PBR:0.52|PER:8.7kabutan.jp
ダイキョーニシカワ(DNC)は自動車向け樹脂部品の大手メーカーで、バンパーやインパネ等の内外装部品を手掛けます。主要取引先はマツダで、同社向けが売上の約7割を占めますkabutan.jp。マツダが今後投入する新型EVやハイブリッド車には、軽量化ニーズから樹脂部品の採用比率が高まると見られ、DNCにとって受注拡大の好機です。また、マツダ以外の国内外自動車メーカーへの営業も強化しており、取引先の多角化による成長を図っています。実際、北米トヨタとの協業案件など徐々に成果も出ています。利益面では、原材料樹脂価格の安定や生産効率向上により改善傾向です。財務は自己資本比率が高く健全で、配当も維持されています(利回り約6%)。株価は依然としてPBR0.5倍台と解散価値以下に低迷していますが、自動車業界のEVシフトを追い風に中期的な業績拡大が期待できる割安優良株です。
日本冶金工業 (5480) – 高機能特殊鋼メーカー
現在株価:約3,850円|予想利回り:5.7%|PBR:0.56|PER:6.0kabutan.jp
日本冶金工業(日本冶金)はステンレス専業メーカーで、ニッケル系特殊鋼の一貫生産体制を有しています。高機能材料の開発に注力しており、耐食・耐熱性に優れたステンレスや高ニッケル合金など最先端分野向け製品を手掛けますkabutan.jp。例えば半導体製造装置や航空機エンジン向けの特殊合金、水素エネルギー関連部材など、今後成長が見込まれる分野で需要拡大が期待されます。実際、海外でも評価が高い高純度金属粉末や高強度ステンレスを開発・供給しており、脱炭素社会に向けた新素材需要にも応えられる体制です。直近業績はステンレス市況の好転もあり大幅な増益となり、PERはわずか6倍前後と低水準ですkabutan.jp。自己資本比率も高く財務基盤が安定しているため、高配当(利回り5%台後半)を維持しつつ余剰利益を成長投資に回す余裕があります。株価は依然割安圏にあり、今後の特殊鋼需要拡大や新規分野参入による企業価値向上が評価されれば、大きなキャピタルゲインも狙えるでしょう。
【注】 上記の情報は2025年6月時点の会社発表および市場データに基づいてまとめたものですkabutan.jpkabutan.jp。株式投資においては、市況や業績の変動リスクがある点にご留意ください。各企業の最新開示資料や決算短信も併せて確認し、中長期的な視点で判断することをお勧めします。
参考資料: 高配当利回り銘柄のランキングdiamond.jpdiamond.jp、各社の決算発表・ニュースリリースkabutan.jpreuters.com、企業IR資料・報道kitaishihon.comnetdenjd.comなど。