薮入りの時空間(4) | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


テーマ:

久しぶりの「春風馬堤曲」です。
前回《薮入りの時空間(3)2018-05-19 16:28:28》では、
虚構の時を薮入り娘が
毛馬に里帰りする春正月を確かめました。

 

この作品は回想の時が
入れ籠になっていると述べました。

回想の時が挿入されるのは、
第5段:春草路の場面(⑩~⑯)です。
路傍のタンポポの液汁から
垂乳根の母を連想します。
⑫憐みとる蒲公莖短して乳を浥
⑬むかしむかししきりにおもふ慈母の恩
 慈母の懷袍別に春あり

 

13章での回想の時は、幼少期です。
作品はすかさず、14章において、
「浪花」での時を叙します。
⑭春あり成長して浪花にあり
 梅は白し浪花橋邊財主の家
 春情まなび得たり浪花風流

彼女にとっての「浪花」での時間は
奉公先での時間です。

 

回想に耽るのは、ここまでで、
15章では帰郷する現在の心境が吐露されます。
⑮郷を辭し弟に負く身三春
 本をわすれ末を取接木の梅

「接木の梅」は出郷した娘の換喩です。
郷里を離れ、都会に花を咲かすのは、
所詮、接ぎ木なのでしょう。
どこか蕪村自身と重なりそうです。

 

以下、故郷の生家への歩を進めます。
⑯故郷春深し行々て又行々
 楊柳長堤道漸くくだれり

 

次回は、薮入りの時空間のうちの
空間に焦点を絞って
俳詩「春風馬堤曲」を読むことにします。
「都市民俗」の発想によって分析を試みます。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員
大阪あそ歩公認ガイド 田野 登

 

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