2017年夕陽を見る会「西淀川デルタ地帯を歩く」報告(1) | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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恒例の12月30日の天保山で夕陽見る会は
2017年は「西淀川デルタ地帯を歩く」コースでした。
阪俗研会友にレポートをお願いしました。
まず今号はお二人のレポートを載せます。

 

①田中和雅さんからの西淀川ツァーの感想
 港区、大正区、此花区と大阪の湾岸を歩きましたが、
 その見た目の景色は
 西淀川のデルタ地帯も同じような景色が続きます。
 防波堤に水門などは似たところがありますね。
 ところが内に向かって目を向けますと
 農村地帯であったという痕跡が残っていて
 興味深く、楽しく歩くことができました。

 

②浅埜彰三さんからの西淀川ツァーの感想
 当日は良い天気に恵まれ、

 ウオーキングにうってつけの日でした。
 私は参加する前からワクワク感で一杯でしたが、
 というのも阪神なんば線に乗るのは初めてで、
 出来島、福、伝法等々の付近は

 どんな所か興味深々でした。
 また、以前 田野さんのブログで読んだ
 中島、布屋、五社神社、外島保養院などを

 実際に歩いて確かめてみたいと
 長らく考えていました。
 歩いてみると、住宅地や工場が見えましたが、
 以前は農村地帯で青物市場や牛舎があったとは
 今の風景からは全く想像出来なかったです。
 大阪湾岸の神崎川、淀川のデルタ地帯は
 古くは元禄年間の町人請負新田から始まり、
 1934年の室戸台風後、工業地帯に変容し、
 今後どのようになっていくのか気になりますが、
 このフィールドワークを通して
 過去を振り返ることができ有意義でした。
 ありがとうございました。

 

以下、田野による書き込み。
お二人に共通する指摘は、
西淀川のデルタ地帯も、かつては
「農村地帯」だったということです。
これは厳密に云えば「新田地帯」のことです。

本ブログ「大阪って新田の街?:2017-07-22 07:44:10」に
『大阪春秋』167号 特集「新田開発と新田会所」を
取りあげました。
   ↓ここをクリック
https://ameblo.jp/tanonoboru/entry-12294798653.html

 

◇藪田 貫「総論 大坂の新田開発と新田会所」の記事中に
 近世都市大坂とその周辺が
 幾筋もの河川に囲まれ、
 まるで大小の島の集まりのように見えるとあります。
 これらの島々を公儀の都市大坂の新田開発と見ます。
 
この島々が農地となるには
莫大な資金が投入されなければなりません。
その点、公儀の都市大阪には財力を有する町人が
大勢、控えていたから開発が行われたのです。

 

浅埜さんが挙げられた「牛舎」ですが、
たしかに今日、物置のようになっていましたが、
牛馬の小屋は、カドグチ近くにありました。

写真図 牛小屋のあった農家

写真の正面が母屋、左側の物置が
かつての牛小屋
撮影:2017年9月19日

 

糞を下肥にしていた時代は
取り出しやすい場所に設置されていたのです。

 

本会会友でもある

森 隆男氏(前関西大学文学部教授)の著書に
『クチとオク―住まいの民俗学的研究の一視座―』

(清文堂2017年)があります。
    ↓ここをクリック
https://ameblo.jp/tanonoboru/entry-12318273591.html
「『クチとオク―住まいの民俗学的研究の一視座―』を読む(1)」
 2017-10-10 09:35:05

 

同書の「マヤ(馬屋)の消滅」に次の記述があります。
◇かつて農家ではクチに当たる戸口の前に小便所をつくり、
 戸口を入った土間に牛や馬を飼うマヤと
 風呂場を設けている住まいが多かった。
 これは使用後の風呂の湯や牛馬の糞尿を便槽に集めて
 田畑で使用する下肥を確保するためで、
 その事例は第三章第一節で紹介した広畑家にみることができる。
 化学肥料が普及し衛生観念が浸透していく中で

 このような構造は不要になり、
 便所と風呂は住まいのオクに移動した。
 また農作業の機械化は畜力利用の農具を不要にし、
 牛馬の飼育も行われなくなってマヤが消滅した。

 

もはや西淀川区中島には農家はみられません。
それでも農家の遺構が認められるのです。
「フィールドワークを通して
 過去を振り返ること」は
実に楽しいことです。

次回は、今回撮影の写真をまじえて報告します。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員 田野 登

 

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