晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


テーマ:

 

今回も大阪府立中之島図書館所蔵『浪華奇談』を
取りあげます。
本ブログは、該書についての
拙稿「翻刻『浪華奇談』怪異之部」(『大阪府立図書館紀要』第36号
2007(平成19)年3月31日発行)に基づき、
適宜、加筆、削除しています。
「拙稿」につきましては、以下のアドレスで確認ください。
   ↓ここをクリック
https://www.library.pref.osaka.jp/uploaded/attachment/475.pdf

 

今回から「天狗清兵衛」を取りあげます。
◇安永の頃、浪花に
 天狗の清兵衛といふ者あり。
 天狗に仕へし故
 しか名付たり、
 此のもの傘張りを業として
 予が父天狗の説をこまごまと問ひしに
 清兵衛いふ。

 

「安永の頃」とあります。
著者である小倉敬典の
生年は安永3 (1774)年です。
以下の話は
著者の父が
清兵衛から聴いた話を記録したものです。
「天狗の清兵衛」という渾名は、
天狗に仕えていたからとのことです。
天狗は信仰の対象になっていたのでしょう。

 

その清兵衛の生業が傘張り職人というのですから、
さぞかし日和を気にかけて
空を仰いでばかりいました。
そこで天狗と遭遇したのでしょう。

 

以下、本文を続けます。
◇「初め誘引せられし時
 虚空を飛行して
 大ひなる高堂の甍の上に
 我を置けり。
 
この清兵衛の天狗と遭遇する場面は、
まるで鳶か烏が
人を浚ったかのような話です。

 

以下、本文を続けます。
◇『此の所はいづくなるぞ』と問へば、
 『京都の大仏のやねなり』と答ふ。
 次に住所へ伴ひて俗身を改め易へて
 我を飛行、夜刃神と成せり、 
 所かへ使者に仕わりし事なり。
 夫れ故大坂の我が宅のやねへも時々来れり。

 

「京都の大仏」とは、*Wikipediaによりますと、
方広寺(現・京都市東山区)にかつて存在した大仏で、
初代は豊臣秀吉による造営、
安永年間当時は三代目です。
大仏殿は二代目で高さは49mとされています。
 *Wikipedia:ja.wikipedia.org/wiki/京の大仏
       最終更新 2017年9月4日 (月) 05:37
通天閣の半分ぐらいの高さです。

 

「我を飛行、夜刃神と成せり」の
「夜刃」は
偶々、中之島図書館に
居合わせました野高宏之氏(奈良県立大学教授)に
訊ねましたところ「やしゃ」と教示されました。

*『広辞苑』の「やしゃ」の記事は次のとおりです。
 『広辞苑』:新村出編2008年『広辞苑第6版』岩波書店
 やしゃ【夜叉】
 〔仏〕(梵語 yaka)インド神話で、森林に住むとされる神霊。
 人を害する鬼神である反面、財宝神としても信仰された。

  (以下略)

 

「森林に住む」となれば、
天狗の属性とも重なりそうです。

 

以下、清兵衛が
わが家を飛行するところからは
次回にまわします。

次回は少々パワーアップします。

図書館で充電してきました。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員 田野 登

 

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