晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


テーマ:

久々に大阪府立中之島図書館所蔵『浪華奇談』を
取りあげます。
本ブログは、該書についての
拙稿「翻刻『浪華奇談』怪異之部」(『大阪府立図書館紀要』第36号
2007(平成19)年3月31日発行)に基づき、
適宜、加筆、訂正しています。
「拙稿」につきましては、以下のアドレスで確認ください。
   ↓ここをクリック
https://www.library.pref.osaka.jp/uploaded/attachment/475.pdf

 

今回は「唐橋屋九郎兵衛」の続きを取りあげます。
前回は愛犬の後を追うようにして
亡くなった九良兵衛の夢うつつに辿り着いたのは
三途の川とおぼしき川で、
向こう岸に渡ったのでした。
向こう岸には、いったい誰がいるのでしょう?

 

テキストを続けます。
◇其の所に人数五六人横さまに臥して居たり。
 九良兵衛、彼のものに申すは
 「此の所は帰路を出して下されよ」と頼めば
 かの者どもこたへて
 「我らが在所へ来り、休足せられよ。
 其の後、帰る道を案内して進ずべし」といふ。

 

岸には
五六人が横たわっています。
このあたりの記述は
賽の河原の物語の世界を思わせます。
九良兵衛は請われて
彼らの在所に誘われる羽目になります。

 

テキストを続けます。
◇九良兵衛うれしくとも
 斯くもよろしく世話頼み入るといふて
 同道し五六丁行くに
 あやしき草庵あまたあり。

 

「あやしき草庵」の群がる村には
いったい、誰が棲むのでしょう?

 

テキストを続けます。
◇彼のものども
 此家の内に伴ひて食事あたゆべし。
 「是こにて暫く休息せられよ」といひすてて
 勝手の方へ入にける。
 その跡を□るに、
 庭より犬一疋尾をふりて来る。

 

犬が一匹、尾を振ってやって来る?
なんと、その犬は?

 

テキストを続けます。
◇九良兵衛よく見れば、
 わが寵愛せし前に死したる犬なり。
 「いかに汝は死したるにあらずや。
 いまだ堅固にてあるか」と申ければ、
 此の犬人のごとく言語をなして
 「君はしらずや。
 すでに死し玉ひぬるなり。
 又此の所は人間界にはあらざるなり」

 

その犬は寵愛していたでした。
それが人語を操るのです。
この所が人間界でないと言います。
それでは、どこでしょう?
不思議が続きます。
 
テキストを続けます。
◇九良兵衛、驚き
「我死したるや。
 又此の所はいづくなるや」
 犬答へて此の家の勝手をのぞけば、
 今迄人と見へたるはみな兔猿狐狸の類にて
 眼をいからし、牙をかみて
 物がたりする有りさまはいとおそろし。

 

この世界の住民は
人間ではなくて、畜生だったのです。
それも恐ろしい形相で喋っています。
はたして九良兵衛は
この畜生道から脱出ができるのでしょうか?
以下、次回にまわします。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員 田野 登

 

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