晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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本ブログは、前回に引き続き
2017年11月4日、上海で都市民俗学シンポジウムにおいて
島村恭則氏(関西学院大学社会学部教授)による
基調報告「都市民俗学の消長―日本の場合―」を
私的な関心から紹介するものです。


島村報告《4 内省型都市民俗学》に
拙著2007年『水都大阪の民俗誌』和泉書院を
紹介しています。

今回は、「重厚な「都市民俗誌」に結実させた」と報告された
「多くの研究課題」のうち、
《第二編 大阪の都市民俗誌研究の領域》について取りあげます。

 

謂わば現代篇で、第2章以下は、聞書調査に基づきます。
写真図 『水都大阪の民俗誌』のチラシの裏

構成は5章から成り、300頁を越す本書の中心です。
 第1章 川筋からみえる水都大阪:10~11
 第2章  川筋の伝承世界:12~17
 第3章 川筋の生業世界:18~21
 第4章 「水都」周辺のマチの民俗:22~26
 第5章 現代大阪の都市民俗誌:27~31

 

〈第1章 川筋からみえる水都大阪〉は、
本書の視角を示すもので、
大阪が「水」を治め、
それを利して発達してきた都会であって
水際空間の持つ意味を文献を踏まえて提示しました。

 

〈第2章  川筋の伝承世界〉では、
港区・大正区の波除伝承の神仏、野里住吉神社一夜官女祭の伝承、
伝法正蓮寺の川施餓鬼、福島天満宮の餓鬼島伝説を取りあげ、
川筋のマチに伝承される民俗宗教を対象として、
災厄とともに利便をもたらす河川がいかなる意味をもつものかを
民俗学の観点から論究しました。

 

〈第3章 川筋の生業世界〉では、
商都を下支えしてきた川筋に生業を営む
人たちへの聞書調査に基づき、
かろうじて生き続けている民俗宗教などの伝承から
基層文化について論究しました。

 

〈第4章 「水都」周辺のマチの民俗〉は、
福島区鷺洲の寺院の石造物調査結果を
伝説・伝承に照らすなどして、
「水都」周辺のムラが都市化する過程を
民俗学の視点で検証しました。

 

〈第5章 現代大阪の都市民俗誌〉は、
都心部に位置する上町・船場・島之内・西船場・堀江といった、
近世の大阪三郷町地を含む地区における
商人への聞書調査に基づくものです。
都市における民俗事象に関して
商人は欠かせないの存在です。
まず商人自体を取りあげました。
商人には、投機性が強く経営にリスクが伴うゆえ、
神仏の加護を期待する商人気質が認められます。
いっぽうで都市における商人の存在は、
民俗の演出者として位置づけされます。
商人による販売を軸としての催し物なども絡んで
都市に豊かな歳時習俗が展開しています。
その歳時習俗は、
現代の生活様式に沿ったものであり、
ハレとケといった暮らしの折り目・けじめがつかない、
ファジイな現代の都市生活を演出したりもします。
現代社会に限らず、
フォークロリスムスとして、
創成され続ける民俗の動きに注目し、
民俗事象を動態として捉えるならば、
このような社会事象をも対象に組み入れて
民俗原理を再構築することが可能でしょう。

 

そうとなれば、
都市に限らない問題に逢着します。
「都市民俗学」は、民俗一般に帰着します。
それが、拙著2007年『水都大阪の民俗誌』を著して
10年後のボクの結論です。

 

島村報告「都市民俗学の消長―日本の場合―」は、
ここに取りあげました《4 内省型都市民俗学》の続きは、
以下のとおりです。
 5. 多文化主義都市民俗誌 
 6.「個人的経験の語り」による都市民俗誌
 7.「都市民俗学」から「現代民俗学」「日常学」へ
 8.現代民俗学の展望

 

なお、上海での都市民俗学シンポジウムの翌日には、
若手研究者フォーラムというものも開催され、
中国の大学に所属する15名を含む
18名の大学院生たちにまじって
関西学院大学大学院の
三隅貴史氏と岡本真生氏のお二方も発表したとのことです。
若手研究者の研鑽に期待を寄せます。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員 田野 登

 

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