晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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本ブログは、前回に引き続き
2017年11月4日、上海で都市民俗学シンポジウムにおいて
島村恭則氏(関西学院大学社会学部教授)による
基調報告「都市民俗学の消長―日本の場合―」を
私的な関心から紹介するものです。


島村報告《4 内省型都市民俗学》に
拙著2007年『水都大阪の民俗誌』和泉書院を
紹介しています。

 

写真図 『水都大阪の民俗誌』チラシ表

 

 

今回は、発見したと報告された「多くの研究課題」のうち、
拙著の《第一編 大阪の都市民俗誌研究の領域》を
取りあげます。

 

構成は2章から成ります。
 第1章 近世大阪の都市民俗誌
 第2章 近代大阪の都市民俗誌 

歴史民俗に属する記事です。

 

〈1 近世大阪の都市民俗の展開〉は、
郷土研究誌『上方』にみえる記事を軸に 
農村に囲繞され、堀川によって画された
近世の水都大阪の民俗空間を示したうえで、
この都市を中心とする空間に繰り広げられた
商都の年中行事、物見遊山などの遊興などの
商人たちの旺盛な経済活動と表裏一体をなす
豊かな民俗文化を論究しました。

 

その暮らしぶりを江戸と比較したのが             
〈2 『道中膝栗毛』浪花見物の都市民俗〉です。
『道中膝栗毛八編』に登場する江戸っ子・弥次郎兵衛喜多八の
大阪逗留の記事は虚構ですが、
この記事を大阪の習俗「坂俗」に刮目した
『守貞漫稿』(別名『近世風俗志』)に照らして、
衣食住に亘って東京一極化する以前の、
地方色豊かな都市民俗を論究しました。

 

マチバに接するムラにおける年中行事
〈3 梅田の牛の藪入りの都市民俗〉には、
農夫と町屋衆にみられる互酬性が認められ、
農耕儀礼から派生した都市民俗とみなされます。

 

近代に至って、
〈5 近代大阪の都市民俗の展開〉では、
郷土研究誌『上方』にみえる記事を軸に
明治時代においては、
文明開化当時の風俗、浪花情趣の名残、改変された民俗、
創成された生業、大衆娯楽の誕生を取りあげ
衣食住に亘って生活様式の変化を記述しました。

 

昭和初期においては、
市中における前近代的伝承、拡大する都市圏の民俗文化、
祭りの再生、縁起物ブームについて論究し、
近代化する民俗を記述しました。

社寺の由来を現存するモノで語ろうとする姿勢には
まやかしの「歴史主義」とは異なるもので、
今日、「現代民俗学」がとりあげている
民俗の再生・創成・フォークロリスムスといった
都市民俗学の重要な研究課題がすでに昭和初期において、
論究されないまでも
好事家の好奇心をそそっていたことに気づかせられます。

 

〈6 堀江の子供の民俗空間〉では
旧市街の商業地に住む商人の暮らしを記述し、
近世浪花の伝統的な風情を残しつつ、
現代に繋がる近代大阪の都市民俗を見出しました。

 

〈7 此花「奴隷島」の近代女工の都市生活〉では
場末の工場街に住む女工・職人の暮らしを取りあげ、
賃金労働に追い立てられる
農村出身の女性たちの趣味・娯楽を通じて
「大衆文化」に耽る都市生活者の暮らしを論究しました。
そこにとりあげられる生活様式からは、
「近代」の持つアンビヴァレンス・両面価値が感じ取られます。
彼らは、商品経済に組み込まれた都市生活者であって、
柳田民俗学の死角となっていた人たちを
研究対象に組み入れるものです。

 

〈8 阪急室町住宅の都市民俗〉では
郊外の住宅地に住むサラリーマンの暮らしを、
〈9 池田チンチン坂から見た都会〉では
近郊農村に住む農民の暮らしをとりあげました。
これらにより、近代における都市の民俗について、
旧市内から郊外に至るまでの全体像を追究しました。
以上が、拙著《第一編 大阪の都市民俗誌研究の領域》で
通時的に都市民俗をみた歴史民俗篇です。

 

次回は、周辺から都心部に及ぶ
現代篇を記述します。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員 田野 登

 

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