草萌ゆる
草萌ゆる一歩踏み込みまた一歩 今井豊:黒田杏子選
今日の日経「俳壇」黒田杏子選
今井豊氏の句。大病を克服、生還という言葉を噛みしめている作者だ。一歩踏み込みまた一歩という表現に、試歩にゆだねてゆくこころもちが出ている。黒田杏子(転載)
そっかー。「一歩踏み込みまた一歩」たった17音なのに「一歩の重複」これは「一歩」「一歩」がいかに作者にとって重い意味を持つかということなのだなあ・・・。
「草萌ゆる」で生命感の躍動が感じられる気がする。そこを一歩踏み込む「草萌ゆる」と「一歩踏み込み」が微妙に共鳴しているようにわたしには感じられる。
俳句は17音である。
短歌は31音である。
短歌は冗長になりやすい。
俳句の場合、17音ですぱっと決まった場合、柔道の「大外刈り」1本勝ち。という快感があるような気がする。
ほかにわたしの好きな句としては、
菜の花や村中の戸があいている 小鹿静子
がありました。
のどかな菜の花の咲く風景と、ほとんどみんな知り合いの村の人を迎え入れるためにどの家の戸も開いている、のどかさと平穏を日常として疑いなく暮らしている人々の風景が美しいと思いました。