ホゾ穴手彫り | 谷本雅一の日々一筆

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石材加工・石積・石張り国家検定1級技能士、平成26年度現代の名工最年少受賞・技能グランプリ金賞の谷本雅一が綴るブログ。
石の魅力や職人の技を紹介します。

灯籠の火袋を製作するときに、深く掘るため、市販のノミでは

彫れません。

 

その時に長ノミをオーダーで作ってもらっていました。

 

 

今回のホゾ穴を彫るのに、今回役に立ちました。

 

 

ホゾ穴の大きさは、15㎝丸の17㎝深さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

同期が工場へきてホゾ穴を見て

「機械で穴を開けたみたいにキレイ彫れてる!!

機械で穴を空けてから彫ったんでしょ?」

 

 

「機械は全く使ってないよ。全てノミで彫った」

 

 

と伝えると本当に驚いていました。

 

 

数年前に、大変お世話になっている文化財の山川均先生とご一緒させて頂いた時に、

一針薬師の磨崖仏(鎌倉時代)の笠石のホゾ穴を見せてもらいました。

 

 

その時に気になる部分があり、ホゾ穴の彫る工程途中で

止まっている部分があり、手彫りの作業の参考に頭に入れてありました。

 

 

今回の第29回技能グランプリでお手伝いに参加させて頂いた時に、

年配の職人さんに聞いてみました。

 

 

なるほど。謎はすべて解けました。

 

そして彫りあがったのがこの穴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホゾ穴も太くしっかりはまるように14㎝丸の12㎝、あとの遊びに

写経を入れていただけるように空間を作りました。

 

 

全てノミでの手加工。機械は一切使っておりません。

 

 

蓮華(反花)は細川忠興(三斎)のお墓(利休から頂いた石灯籠)を

参考に、どのような蓮華にしようか色々考えましたが、

お施主様が茶道をされているので、茶人の関係のあるところからと思い、

大徳寺高桐院に足を運び、写真に納め、

お施主様に了解を得、この蓮華になりました。(大和型反花)

 

 

 

 

地震の多い地域に施工するので、少しでも強くなるように

反花座と基壇を一つ石で製作しました。

 

 

 

時間をかけて丁寧に、心を込めて製作させていただいています。

 

 

 

完成まであともう少し。

 

 

最後まで気を抜かずに、喜んでいただけるものを作らせて頂きます。