ある地球上の異次元世界 | 3年前のしこうの楽しみ

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タジキスタンのパミール高原を旅しました。
4WDの車で、延々1000km以上の道のりでした。
おそらく、東京ー福岡くらいの距離かと思います。

パミールハイウェイという名はついていますが、もちろん日本でイメージする高速道路のようなものではありません。
特に前半はほとんどが悪路とも言えるような未舗装路でした。
ある時は1000匹以上いるのではないかと思われる放牧の羊の群れの行列に車が囲まれ、またある時は道が封鎖されていて崖のようなオフロードを車体を傾けながら下り、そして何度となく検問のようなゲートがあってパスポートチェックを受けなければならないという様子でした。

この前半部分で印象的だったのが、200km強の間、国境である川を沿って走ったことです。
その対岸は、アフガニスタンでした。
時折あらわれる村々の様子から、そこでの生活が垣間見える感じがしました。

といってもこちら側と大きくは変わらないようなイメージでした。
ふと、そこでは素朴で淡々とした日常に十分満たされているようにも感じました。
後半部分はこの道のハイライトともいえるパミールの核心部です。

標高2000mのパミールの中心都市から一気に標高4200mくらいまでのぼりきり、そこから500km弱くらいの距離が標高3500m以上の高地となります。
その間に5回ほど4000m超の緩やかな峠を越えていきます。
もし高山病になったら救いようもないでしょう。

ここまでの距離を高地の平原が続いている場所は世界でも稀有なように思います。
そして、途中にそれなりに集落も見受けられます。
よくここまで過酷な地域で暮らす人々もいるものだと感心しますが、そこでの風景と空気はその過酷さを凌ぐもののようにも思います。

パミール越えはシルクロードの最大の難所だったと聞いたことがありますが、想像を遥かに越える厳しさだったことが推測されました。
地球の脈動が実感できる人智を超えた領域に足を踏み入れた印象は、消えることのない鮮明さでトラウマのように脳裏に焼きついたのでした。

谷孝祐
2014.10.2 19:45