離乳食の目的地 | パパ小児科医のブログ

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先日、6ヶ月の赤ちゃんにイチゴを食べさせたあとに発疹が出て受診したら、医師から6ヶ月にイチゴはふさわしくないとして母親が責め立てられた件がtwitterで話題になりました。

 

 

6ヶ月でイチゴを口にしてもかまわないし、食べることが明らかにふさわしくない食事はハチミツなど一部のものに限られていますので、その医師の指導は適切ではありません。

 

責め立てられたお母さんはよく売れている離乳食本に書いてあるとおりのことをしていて、それを専門家である医師から間違いと言われたので、「信頼できる情報はどこ?」と困惑されたと思います。

 

それは離乳食情報が本によって一定ではないことがあり、医師や栄養士、保健師の中でも人によって情報がまちまちであることが一つの原因と推測しています。

 

じゃあ信頼できる情報源はどこか?ということになりますが、オフィシャルなものを2つあげます。

一つは厚生省「授乳と離乳の支援ガイド」です。(ここでは離乳ガイドと略します)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0314-17.html

 

もう一つは世界保健機関(WHO)の「補完食」(ここではWHOマニュアルと略します)

http://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/66389/WHO_NHD_00.1_jpn.pdf?sequence=2

 

補完食は日本でいう離乳食の意味で、このマニュアルが世界の離乳食マニュアルということになります。

 

驚くべきことにこの2つのマニュアルは内容がかなり異なります。

 

例えば離乳ガイドではおかゆ(米)から開始することがすすめられているが、WHOマニュアルでは主食は米、こむぎ、とうもろこし、きび、キャッサバ、ヤムイモ、じゃがいもなど多様で必ずしも米が推奨されているわけではありません。

 

3回食にする時期は離乳ガイドでは9-11ヶ月が推奨され、WHOマニュアル6-7ヶ月です。

 

オフィシャルな離乳食マニュアルでもここまで異なるもので、読む側からすると「果たして正解はどれ?」となります。

 

日本で手に入りにくい食品も紹介されているので、WHOマニュアルがそのまま日本人の子供にあてはめることは難しいと思いますが、少なくとも離乳ガイドと異なる内容のものでも世界の子どもたちはちゃんと育っているということは言えると思います。

 

その両者のどちらが正解というわけではなくて、離乳食のすすめ方は多様でありただ一つの正解があるわけではありません。

 

食文化は国や地域によって異なりますし、個人個人でもかなり異なるので一つのマニュアルにすることは難しいと思います。

 

離乳ガイドにはこう書いてあります「子供にはそれぞれ個性があるので、画一的な進め方にならないよう留意しなければならない。」

 

ほな、いったいどーすんねん!適当にすすめりゃいいんかい!?ということになりますが、

 

私の意見としては、細かな点は置いておいて、

 

まずは離乳食を食べることの目的や到達点はどこか。

 

そして個別性の高い食事の中でも、全員が気をつけるべき点はどこか。

 

これを明らかにする必要があると思います。

 

まず離乳食の目的ですがおおまかに言うと次の2点です

 

①    母乳だけでは栄養不足になるので徐々に食事からの栄養に切り替えていくため。

 

②    飲み込む、噛むといった食べるために必要な力を身につけるため。

 

以下にエネルギー必要量と母乳から得られるエネルギーのグラフを示します。

 

(WHO補完食マニュアルから抜粋)

赤ちゃんの栄養は最初母乳のみでまかなえますが、徐々にそれだけでは栄養は十分ではなくなります。そのため不足の栄養を「補完」する必要があります。

 

 

最終的に噛んで飲み込んで、食事からのみ栄養が摂取できるようになることが目標です。

 

ですので、そこに到達しさえすればその道のりは様々であってかまわないのです。

 

 

ただその道のりで危険な目にあわないために注意することをいくつかあげます。

 

感染症の点から

①    ハチミツはボツリヌス症の危険性があるため1歳未満に与えない

②    生卵や生肉、生の魚介類も感染症のリスクがあり避ける

 

飲み込みの点から

  ピーナッツ(ペーストは可)やミニトマト(カットしたものは可)、おもちなど窒息、気道異物の危険性があるものは避ける。

 

アレルギーの点から

①    本人に湿疹があったり、家族にアレルギー疾患がある場合は医師と相談しながらすすめる。

②    アレルギーの頻度が多い鶏卵、小麦、牛乳、甲殻類、そばなどは慎重にすすめる。(どのように慎重にすすめるかは後日ブログにします)

 

重要なポイントはこういったところに集約されるのではないかと思います。

 

ですので、例えば6ヶ月にイチゴダメはこのポイントからははずれるものです。

「特定のコレを食べることはNG」というものは決して多くはありません。

色んな食材を食べることは栄養の面からも味覚を育むという点からも望ましいと思います。

 

離乳食の進み方は様々です。

赤ちゃんと保護者が二人三脚で歩んできますが、目的地は皆おおよそ一緒でもそのペースはまちまちです。

 

どんどん先にすすもうとする赤ちゃんもいれば、ゆっくりすすもうとする赤ちゃんもいます。

 

二人三脚ですから保護者が慎重であるか大胆であるか、お仕事などの都合で早くすすめられないとかそういった事情もからんできます。

 

他の子が離乳食をよく食べるとか、2回食から3回食にどんどんすすんでるとか聞くと、「うちの子遅くて大丈夫かしら?」と不安を感じますが、

 

結果的に目的地に到達すればいいので、途中経過で遅いことに落胆しなくていいと思います。

 

何らかの疾患で離乳食がすすまないケースを除けば、皆ペースは違えど最終的には普通に食事をするようになります。

 

保護者の方々はしばしばこう言います。

「一人目の時は本の通りきっちりやってたけど、二人目からはそんな余裕なくてぶっちゃけテキトーでした!それでも元気に育ちました!」と。

 

これはテキトーと言いつつも、色々と悩む中で離乳食についてのエッセンスのようなものが自然と身についているのではないかと思います。

 

そのエッセンスのようなものをこの記事に書いたつもりです。(あくまで個人の見解です)

 

今回離乳ガイドと、WHOマニュアルをご紹介しましたが、簡単にでもいいですから二つに目を通していただいて、「ああ離乳食の与え方って色々あるんだね」と感じていただいたらいいかと思います。

 

これから離乳食を開始される方は本などを参考にされると思いますが、全部本の通りにすることは難しいですから、今回の記事に書きましたエッセンスを思いだしていただいて、「ああこれは別にこの通りにしなくてもいいや。」とか「これは絶対に守ったほうがいい」とか選んでください。

 

大事なポイントを押さえておけば、大失敗することはないです。

逆に離乳食における大正解はないですし、極端に偏った方法をとらない限り大丈夫です。

 

それは

「テキトー」と言いつつも離乳食の目的地を見失わなかった、多くのママ(パパ)さん達が証明してくれていることだと、私は思います。

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