イオン飲料の多飲で脳症になることがある | パパ小児科医のブログ

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あたたかくなってきて、熱中症が心配な季節になりました。

 

熱中症の対策としてイオン飲料を飲んで水分や塩分を補うことが大事ですが、今回は飲む時に気をつけるべきことをお話します。

 

 

 

 

 

イオン飲料は例えばアク◯ライトとか、ポカ◯スエット、アク◯リアスといったものがあり、糖質とナトリウム、カリウムなどの電解質(イオン)を含みます。

 

熱中症で汗をかいて失われた水分や塩分(ナトリウム)を補ったり、胃腸炎の時に嘔吐下痢で失われた水分やイオンを補うほか、糖質を含むので食事がとれていない時の低血糖予防にもなります。

 

水分が失われますと脱水になりますし、電解質(イオン)が失われると電解質異常から倦怠感やけいれん、意識障害などをきたすことがありイオン飲料がその予防に果たす役割は大きいです。

 

ただ使い方を間違えると、まれに嘔吐や体重増加不良、けいれんや意識障害といった不都合なことが起きてしまうこともあり注意が必要です。

 

通常の熱中症や胃腸炎の時などに一時的な使用するだけでは問題になりませんが

 

日常的にたくさん飲むことにより不都合が起こります。

 

イオン飲料は甘くておいしいので、胃腸炎にかかった時などに初めて飲んで味を覚えてしまい日常的に多量に飲むようになりますと(例えばお茶やお水のかわりに)

 

イオン飲料には(一般的に)ビタミンB1が含まれていませんので、ビタミンB1欠乏症を起こすことがあります。

 

ビタミンB1は糖質を処理してエネルギーを作る時に使用されますので、エネルギー不足により神経や臓器の機能を保てなくなっていきます。

 

ビタミンB1は体内で作ることができないビタミンですので、2~3週間補充がなされないと欠乏して嘔吐や意識障害、眼球運動障害などの症状を認める「ウェルニッケ脳症」になったり、食欲低下や足のしびれ、心不全などを起こす「脚気」になることがあります。

 

イオン飲料の多飲によるウェルニッケ脳症や脚気は比較的まれですが、最近報告例が増えてきているようです(先日の小児科学会で話題になっていました)。

 

ビタミンB1は豆類や豚肉、玄米などに含まれておりお食事がとれていたら欠乏の心配は少ないですが、食事がとれていと供給不足になり、糖質を含むイオン飲料を飲むと糖質の処理のためにビタミンB1が消費されてよりいっそう不足します。

 

欠乏症は偏食や少食があり、さらにイオン飲料を1日1リットル以上常用すると発症しやすくなります。(例外的ですが1日1リットル以下での発症もあります。)

 

例えばアク◯ライトは3ヶ月から飲ませることが可能となっていますが

 

赤ちゃんが好んでたくさん飲むと、お腹いっぱいになって母乳やミルクを十分飲めないとか、離乳食を食べなくなることがありビタミンB1欠乏が起こります。

 

もちろんイオン飲料そのものが危険という意味ではなく、熱中症予防や胃腸炎の時の脱水や低血糖予防のための強い味方ですので必要な時にはためらわず使用してください。

 

健康にいいというイメージのためか多量に使用されていることがありますが、必要な時に一時的に使用することが望ましいと思います。

 

ちなみにイオン飲料にビタミンが添加されているビタミ◯ウォーターなどもありますが、必ずしもビタミンB1が入っているわけではありません。

 

ビタミンと記載されていてもそれはビタミンCかもしれないし、ビタミンB6なのかもしれず、詳しく見ないとわかりません。

 

ビタミンを添加したイオン飲料を飲んでいるからといって安心ともいかないので、やはりバランス良く食べることで欠乏を防ぐほうがよいでしょう。

 

今回のお話は昔から書こうかどうか迷っていたものでした。

それは、危険性を書くことで熱中症や胃腸炎の時に適切にイオン飲料や経口補水液を使ってもらえなくなることを心配したからです。

しかし、先日の小児科学会のシンポジウムでテーマとしてあがっており適切な「飲み方」をお伝えすることが大事だと考えなおし書くことにしました。

 

繰り返しになりますが、

偏食や少食に加え多量にイオン飲料を飲むことで欠乏症になりますので、水やお茶のかわりに常用することは避けて下さい。

 

そして熱中症や胃腸炎の時の一時的な使用は問題ありませんので、ためらわず使用してください。

 

 

 

 

 

参考:平木彰佳.イオン飲料の多飲によりビタミンB1欠乏症からWernicke脳症を発症した2例.脳と発達 2014;46:34-8

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