(連載になっています。初めてお読み下さる方は、PLAYERS' PRAYER〜序章〜からお読み頂ければと思います。)



「御前はそれも、人間の持つ能動の力で出来ることをご存知なのよ」
「下界にいる人間が、どうして眼に見えない悪をやっつけられるの?」
「こちらの世界はね、眼に見えないからといって、下界から遠く離れた場所にあるわけじゃないのよ。同じ空間に存在しているの。発せられる振動数の違いで、人間からは見えないようになっているけど」
「本当は、お互いにすごく身近な存在……」
「そうよ。だから下界の影響は下界だけでなく、こちらにまで及ぶわ。良いことも悪いこともね」
「良いことも……」


「ええ。今、葵ちゃんから他の人へ、そのまた他の人たちへ広がっている振動は、これまで地上界に一度も出現したことのない磁力作用があって、歪んだり、衰弱してしまった細胞に影響を与え、正常化させる威力を持っているの。その力があちらこちらで連鎖反応し、ある一定量を超えて統合された時、エネルギーに転換され大気中に照射されるのよ。すると地上の振動数が底上げされて、驚くような宇宙現象を引き寄せると言われているわ。そしてそれは、可視と不可視の壁を突破して、逃げ出し下界で仲間を増やそうと、悪さを続けている者たちを溶かし始める。善と悪の境が無くなった下界は、こちらの世界をも照らし出し、御前の胎内太陽化が始まる。そしてその光は、多くの魂が温存される心臓部へと上昇し、それを受けた御前の頭頂部の鍵が開くのよ」


「……開いたら……どうなるの」
少年は瞬きひとつしない。
「御前の……完成よ。その実現を目指して前進するという約束を、御前と人類は交わしているのよ。私たちはその橋渡し的存在、でしょう?」
「う、うん。でも本当にそんなことが人間に出来るなんて……いつ頃になるの?」
「誰にもわからないわ。人類の動向、すまり思考によって遅れる場合もあるから。でもそう遠くないことだけは確かよ。最近あの塊へ入る人数が減少しているの」


「そう言えば、あの塊に行かない人たちはどこへ行っちゃったの?」
「方々へグループを作って集団生活しているわ。坊やもかつてはそうだったのよ。今は最上級生だから、グループ化せずに個別指導を受けながらの生活だけど」
「あそっか。でもいつか、下界の善と悪の境界線が無くなったらグループは……」
「いいこと気づいたわね。そう、グループも学年も、もう必要ないということよ。上下界が共存しながら、自由と責任と慈しみが統合された、新世界が始まるわ」


「御前の完成は、ゴールじゃなく始まり……」
「その通りよ。人類が長きに渡り、苦難の道を乗り越えてきたからこそ、見ることの出来る世界よ。そんな素晴らしい惑星、この広い宇宙のどこにもありはしないわ」
女性の深い海のような眼が潤んでいる。
「お姉さん……あ、葵ちゃんかのパパだ!」
神妙な少年の顔がパッと明るくなった。


<つづく>





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