阿吽の呼吸

吐いても吸っても、開けても閉じても、同じものが見えるまで書きつづける


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〜 魔法の種 〜【後編】



「今年最後のイベントに、このようにたくさんの方が
ご参加くださったことを大変嬉しく思います。

この活動がいつの日か、日々の生活に溶け込んだものに
変わることを願ってやみません。

ここで、わたしがこのような活動を始めたきっかけを
少しお話しさせて下さい。

私の家は貧しく、幼い私はいつもお腹を空かせていました。
あれは私が7歳だった、クリスマスの朝のことです。

目が覚めると枕元に、きれいなピンクのリボンが付いた
プレゼントが置かれていました。

けれどその時私は、降り続く雪とひどい空腹のせいで
体中がガタガタ震えていたのです。

かじかんだ指先でリボンをほどくと、中からは
当時流行っていたおもちゃが出てきました。

(サンタさん、プレゼントをありがとう。でも私はとてもお腹が空いて
とても寒くて、今はこのおもちゃで遊べないの。ごめんなさい)

そうつぶやいた時でした。部屋の窓がコツコツという
音を立てたのを聞き、窓際から外をのぞいてみると

枯れ木ばかりだったはずの庭一面に、
立派に育った野菜や果物の畑が、目に飛び込んできたのです。

興奮の余り寒さも忘れ、私は裸足で表に飛び出しました。
あの日母が作ってくれたかぼちゃスープの温かさを、生涯忘れることはないでしょう。

それ以後、植えてもいないのに、季節の野菜や果物が一年中
育つようになった不思議な畑のおかげで

病弱で床に伏すことの多かった両親は見る見る元気になり
働きに出られるようになりました。

我が家の野菜と果物は、ご近所で評判になり、魔法の種と呼ばれ
株分けの連鎖が始まりました。誰でも手軽に美味しい作物を収穫出来ると。

そして今ではこのように
町を挙げてのプロジェクトにまで発展したのです。

来年は、この町が他の町のモデルとなっていけるよう、人と自然の息づかいが
聴こえる暮らしを、皆さんと一緒に造って生きたいと思います。

最後に、あの日我が家に最高のプレゼントを届けてくれたサンタクロースに
この場を借りて、感謝と喜びの気持ちを伝えたいと思います。

あなたのおかげで20年が経った今でも、私と両親、そして町の人たちも
とても元気に毎日を過ごしています、と」


同じ頃……


昼寝をしていたサンタは お母さんの夢を見ていました。
お母さんは言いました。
「もうすぐ叶いますよ。あなたの願いごとが叶いますよ」
とその時 呼び鈴が鳴りました。


寝ぼけ眼で玄関の扉を開けると
山のような手紙を抱えた 郵便屋さんが立っています。
「サンタさん、お礼の手紙、今年もすごい数ですよ」
郵便屋さんは こぼれんばかりの手紙を そのままサンタの胸に預けました。


「ありがとう、郵便屋さん」
そう言って よろけながら そおっと歩くサンタの胸元から
ハラリと一枚 床にすべり落ちます。
それは 庭の豊かな畑を前に 一人の若い女性と初老の夫婦が
笑顔で写っている セピア色の写真でした。


〜 おわり 〜


いつもお読み下さり、ありがとうございます。
お顔は見えませんが、この巨大な網の目でお逢い出来たご縁に
いつも感動し、またそれが励みとなっています。
いつかこの星の庭にも、魔法の種が放り投げられることを願いながら、
新しい年も、書き続けていけたらいいなと思います。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。〜 澪 〜







晴れ
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