小さなお話Ⅲー⑦ ー | 帰郷の人

帰郷の人

居住いを正して お迎えする


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〜 魔法の種 〜 【前編】



「これでよし、忘れ物はないな。
では出発! 今年もよろしく頼むよ、トナカイたち!」
サンタが プレゼントを詰め込んだ大きな袋を肩に掛け
そりに乗り込もうとした時でした。
「愛しい我が子よ」
透き通るような声が 背後から聴こえます。
振り返ると目の前に サンタのお母さんが降り立っていました。


「今日はあなたにプレゼントがあります」
「プレゼント? わたしに?」
「そうあなたにですよ。
これは、願いを込めて空高く放り投げれば、どんな願い事も叶う魔法の種です。
長きに渡り、夜を徹して、大勢の子どもたちに笑顔を届けてきたあなたへ
わたしから感謝の気持ちです。どうぞ受け取って下さいな」


そう言うと サンタのお母さんは 降る雪にスッと消えてしまいました。
サンタは自分の手の中に どんぐり程の大きさの種がひとつ
入っていることに気づきました。
「どんな願い事も叶う魔法の種か……。
サンタクロースのわたしがプレゼントをもらえるとは。
親とは有難いものだ。さて、行くとするか」
サンタは種をポケットにしまうと そりに腰掛け
深い雪山を トナカイたちと滑り降りて行きました。


東の空が白々し始めた頃
すべての子どもたちに プレゼントを届け終えたサンタは
来た道をそのまま 引き返しているところでした。
目覚めた子どもたちの 喜ぶ顔を見ながら帰るのが
何よりの楽しみなのです。


ところが ある一軒の家の前を通った時
プレゼントのおもちゃを前に うつろな目をした
青白い顔の少女がいました。
「どうしたんだろう? ちっとも嬉しそうじゃないなぁ」


理由はすぐにわかりました。
少女は家が大変貧しく いつもお腹を空かせていたのです。
けれど サンタの袋の中はもう空っぽ。
困ったサンタは少し考えると 思い出したようにポケットに手を入れました。
そう 家を出る時に お母さんからもらった種……。


取り出した種をギュッと握りしめ サンタは言いました。
「魔法の種よ、わたしはプレゼントを間違えてしまったようです。
どうか 少女と家族の笑顔をわたしに見せて下さい」


そして種を 雪空高く放り投げました。
一瞬 上空に閃光が走ったかと思うと次の瞬間
少女の家の小さな庭いっぱいに 畑が現れたではありませんか。
カボチャや大根、お芋、リンゴにミカン……
降りしきる雪の中 立派に育った野菜や果物がたっくさん!


それを見たサンタは 微笑みながら ひとり大きくうなづきました。
そして 少女の部屋の窓をそっとノックすると
トナカイとともに 銀世界に見えなくなりました。


〜 つづく 〜






プレゼント
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