(連載になっています。初めてお読み下さる方は、PLAYERS' PRAYER〜序章〜からお読み頂ければと思います。)



「ねぇお姉さん、あの人たち、なぜ暴力を振るってるの?」
十二、三歳くらいの白い少年が下の方を指差し、隣にいる白い女性に尋ねた。
「肌の色が違うからよ」
「肌? あの緑とかピンクとか水色の?」
「あれはオーラよ。肌の色は私たちには見えないわ。一人ひとりに付いている守り神たちが、その人が生来持っている色を教えてあげているんだけど、騒音に妨げられちゃうのよ」


「ふーん、あんなに綺麗な色なのに、知らないなんて」
「本当ね、色と行いが不釣り合いね。ほら、あの人をごらんなさい」
女性に言われて少年が振り返ると、少し離れたところに灰色の男性が身じろぎひとつせずに、争いの様子を見下ろしている。
「あの人は、あの争いの指揮者だったのよ」
「何してるんだろう」
少年が首をかしげた。
「肌の色は見えず、全員オーラに囲まれていること、そしてその眩さとは似ても似つかない、醜悪な行いに呆然としているのでしょう。よく見かける光景だわ」
「あの人これからどうするの?」


「魂は御前の心臓部へ、今彼が感じている感情は、あの塊へと運ばれるわ」
女性が指差す先には、黒い巨大な塊が轟音とともに渦を巻いている。それを見た少年は、サッと女性の陰に隠れた。
「大丈夫よ。音色も臭いも酷いものらしいけど、振動数が違うからこちらに被害はないわ。あの塊は、下界での生活を終えた後、強い憎悪に終始した人生を送った人たちに生じた、良心の呵責が次々と運ばれていったものよ」


「良心の呵責……地獄とは違うの? 御前様が怒って投げ入れるんじゃ」
「坊や……御前が地獄行きを下すなんて、もう決して言ってはいけませんよ。地上では、地獄は落とされ焼かれる、受身の場所と思っている人が多いけど、人間には皆、自らを裁きその所業を後悔して苦しむ、良心という能動の力がちゃんと備わっているのよ。肉体のないこちらの世界では、心が丸裸になるから良心を隠し通せなくなってしまうの。彼らにとって良心は経験したことのない苦痛だから、そういう意味では地獄と言えるかもしれないけど」


「下界でどんなことをした人たちなの?」
「犯罪者から隠れ犯罪者まで様々だけど、主に憎しみと悪意に別れるわ」
「二つは違うの?」
「憎しみは劣等感から、悪意は優越感から生まれやすいの。劣等感は生育環境に恵まれなかった人、優越感はそれに恵まれた人が多いのよ」
「貧富の差だね」


「そうとは限らないわ。同じ家庭に育った兄弟でも、両タイプの人間がいるものよ。貧富に関わらず劣等感は、自分で気づいていようがいまいが、心の底に深い傷を負っていることが多いのよ。だからここに来て良心の呵責が現れると、安堵から傷は泣き崩れて、その対峙と浄化に耐えるの……本当は下界で求めていたのだと思うわ」
「ずっと耐えなきゃならないの?」
「浄化されて振動が一定数まで上がれば自ら出て行くわ。そして自分の行くべきグループへと移動するのよ。一方で優越感による悪意は……」
女性の顔が曇った。

(つづく)




セキセイインコ青セキセイインコ黄

ランキングに参加しています。
応援、よろしくお願いします。( ´ ▽ ` )
↓↓↓

人気ブログランキングへ


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ
にほんブログ村