深層心理学の基礎 -コンプレックス 2- | 内閣官房、教授 田中誠一です!

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少し話が難しくなってきましたので、ここで軌道修正します。本シリーズはユングが何を伝えたかったのかについて論じていく場としてシリーズ化しておりますので、この線に沿って話を進めていこうかと思います。前回は私の新たなる仮説に言及することになり、誠に申し訳ございませんでした。コンプレックスについては前稿においても河合隼雄博士が既に詳しく論じられていることを言及したのですが、先んずその著書をお読みになるのが早いかと思います。また、ユングが自分の声で論じたコンプレックス論を知りたいのであれば全集にあたるか、翻訳書も出ておりますのでそちらをご覧ください。

 

コンプレックスとはもともと統合失調症の研究をしていく途中段階で発見された症状であります。つまり、ユングが若かったころは統合失調症の治療の途中で発生する心の現象を観察していくうちに発見された現象であります。これは公開されているものでありますが、ユングの博士論文にはある女性のオカルト的な現象についての観察結果が記されております。ユングとしてはこれがなぜか?というのが問題の出発点となっているのですが、医師になって独立して研究できるようになった時、これもある女性の患者と散歩しているとき、その女性がスカーフを落としたので拾おうとしたユングに対し激怒した現象をみて「コンプレックス」を悟ったと、これは別の論文でありますが記述されております。なんといいますか、親切心で拾おうとしたことに対しまさに「逆ギレ」されたわけですから、相当にショックも大きかったとの記述もありますが、しかし天才ユングは驚いただけにとどまらず、その現象を「コンプレックス」と概念化したわけですから、ここに大きな評価があってしかるべきだと思っております。

 

私が主張したいことは、皆様方にも一緒になって考えていただきたいのですが、逆ギレされたときにどのように感じるかであります。嫌な感じですよね。そしてあくまでも相手が悪いように考えますよね。もう少し深く考えてみますと、コンプレックスという言葉がこれほどまでに広まっているにも関わらず、逆ギレをコンプレックスと思えない現代人にいささかながら危機感を覚えるのであります。河合隼雄博士による『コンプレックス』の初版が1971年ですから、日本に大々的にコンプレックスが伝えられてから約50年近く経過しておりますが、それでもうまく伝わっていないのが残念だと思う反面、これが現実であります。ここからしますと、ユングはコンプレックスを発見することに大変な苦労をしたのですが、既にコンプレックスの定義は確立されており、その現象をいとも簡単に目の当たりにすることができる現実もあるわけで、ユングは実際に口にしなかったけれども感じてもらいたかったこととして、「コンプレックスは身近なこと」であることをいいたかったのではないでしょうか。

 

コンプレックスは無意識ゆえにその存在を科学的に立証することは不可能であります。しかしながら、逆ギレという現象を目の当たりにしてその存在を認めないわけにはいきません。ここに大きな対立がうまれ、結果として「コンプレックスは身近なこと」などはあくまでも「空想」でしかないと評価されてしまい、ユングとしても相当な圧力を感じていたものと想像するには簡単であります。

 

コンプレックスとは元型を発見するまでに至る大切な概念でありますので、深層心理学を志す学生諸君は是非とも自分なりのコンプレックス論を発見していただきたいものです。私はコンプレックスを笑いの観点から研究している学者でありますから、ユングとは立場が逆であります。しかしながら、目指すところは同じ「コンプレックス」であり、人間は結局のところ違っていても共通する部分があるという結論に至ります。

 

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