Tanaka-KOZOのブログ

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★ついにデビュー13周年!★2013年5月3日2ndアルバムリリース!★有線リクエストもOn Air中!



 1986年10月
僕のバンドでは、未だベーシストが不在のままであった。

そこでバンドメンバーの募集をする為、ロッキンS誌に載っていた人物へ、僕はコンタクトを取ってみる事にした。

当時は、個人情報の保護などという概念はあまりなく、雑誌のメンバー募集頁には、住所や電話番号が普通に載せられていた時代であった。

数日後、Kさんと名乗る大人の男性から、僕の自宅に電話が掛かって来た。
Kさんは、CBSソニーと関係のある方なのか?、本人に当時は訊いてなかったので分からないが、尾崎豊のデビューに関わっている様な感じであった。

初めて電話で、Kさんと話した時であった。
僕からの手紙を読んで、「何か、他のやつとは違う、面白そうなやつだな(笑)」と思い、直接電話を掛けてみたとの事であった。

「君は、これからの音楽業界は、どうなっていくと思う?」
Kさんは、その時、僕へこんな質問をした。



「え…?、そうですねぇ…、CDの時代になるんじゃないでしょうか…」
僕がそう応えた。

※当時は、アナログレコードが主流で、それに次いでカセットテープが、音楽を聴く手段であった。
CDは、80年代初頭から出て来たもので、まだ一般的には認知度が低かった。

「ふふ…、その通りだ(笑)、やはり君は面白いな…、尾崎豊も、僕に同じ事を言っていたよ…(笑)」

「そうなんですか…?」
1ミュージシャンとしてしか、尾崎豊を意識していなかった僕は、別に舞い上がる事なく、そう言った。

 尾崎豊は、現在では伝説のロックシンガーと云われているが、当時の肌感覚からしたら、そこまで売れているという感じではなかった。

数曲ヒット曲を出した後、低迷期が訪れ、薬物スキャンダル、そしてデビュー後、わずか数年での自死。

こういったショッキングな出来事を、連日マスコミやワイドショーが大きく取り上げた事によって、多くの人々が尾崎豊を知る様になり、死後、彼の曲が現在の様にブレイクしたというのが、率直な感想である。

 さて、このKさんなのだが、彼が“ロッキンS誌”のメンバー募集の頁に載せていた内容は、Kさん自身が、バンドのメンバーを募集するという内容のものではなかった。

当時の僕の様な若者たちへ、バンドメンバー募集のコミュニティを、ボランティアで提供してくれ、それに参加しないか?と呼びかける人なのだ。



目的は分からない?
ただ音楽が好きで、若者と交流をしたいだけなのか?

僕はこれが縁で、Kさんとはメンバー募集の会が終わった後、何回か飲みに行ったりした。
特に怪しい人というワケでもなく、どちらかというと、気さくで話しやすい、アニキ的な人であった。
年齢は、当時で30歳くらいな感じがした。

そのメンバー募集をする会は、月イチで行われ、場所はいつも同じ喫茶店で行われた。
場所は、渋谷駅から徒歩10分くらいで行けるところで、昔からこの地でやっているのだと容易に想像できる、店内がとても広い純喫茶であった。

その場所をKさんが3Hほど貸し切り、100名くらい集まった全員が、珈琲一杯だけは必ず注文する約束で、参加できるシステムだった。

そして会が始まると、順番に一人一人が皆の前に立って、募集内容を伝えていく。
それが終わると、今度は気に入った者へ、参加者たちがアプローチをしていくという流れであった。

僕は運良く、1回目の参加でベーシストから、加入希望を受けられた。
年齢は1つ下で、浪人生の柳沢くん。
沿線も一緒で、4駅しか離れていなかった。

後日、彼の家にも遊びに行き、音楽談議にも花を咲かせ、相性も良かった。
そして何よりも良いのは、柳沢くんは、デイヴィッド・リー・ロスバンドの1stアルバムに収録されている「エレファント・ガン」を弾ける程のテクニシャンであったのだ!



そして、「シャイボーイ」のベースプレイも、お手のものだった。
つまり、スーパーベーシスト「ビリー・シーン」と、同じにベースを操れるメンバーが加入したのである!



 僕は早速、スタジオ練習を予約して、ギターのカズと会わせる事にした。




 11月初旬
彼は柳沢を連れて、新宿にあるSTUDIO“P”へ、バンド練習に入った。
そこでギターのカズとドラムのリキへ、初めて柳沢を紹介する。

柳沢には、彼が前以ってデモテープと、コード進行が書かれた歌詞を渡しておいたので、オリジナル曲の練習はスムーズに始められた。



そしてカズとリキは、柳沢のアドリブの対応力や高等技術に、驚きを隠せないのであった。

「こーさん!、歌上手いですね~♪」

数曲セッションした後、初めて彼の歌声を生で聴いた柳沢が、彼に言う。
この頃には、彼の歌も大分上達しており、人から上手いと云われる様にまで成長していた。

そこへカズが、すかさず横から口を挟む。

「そんな事ねぇよ…、まだまだだな…」(カズ)

「そんな事ないですよ…、自分が今まで組んだ中でも、1番上手いと思いましたよ…」
柳沢がカズへ、彼のフォローをする。



この頃のカズは、バンドとは、自分ありきものじゃないと嫌だという考えが強かった。

自分以外のパートは、お飾りでよくて、ドラムは最低限リズムが刻めれば良しと考え、ベースに関しても、ただのルート弾きだけでОK!、アレンジなど必要と考えなかった。

ボーカルも音程さえ狂わなければ、歌唱力も望んでいなかった。
とにかく、ただ自分だけが目立ちたく、周りからスターとして崇められたかったのである。←ヤな奴だなぁ…(笑)

「いや…、俺は分かる…。なんせ俺は今まで…」
カズが柳沢へ、自分の考えの方が正しいのだと、講釈をし出した。

これはいつもの事で、新しいメンバーが入る時は必ず、相手に対してマウンティングを取り、自分の方が格上だという事を知らしめる行為をした。



「おい…、いいよそんなハナシは…、練習しようぜ…」

カズのマウンティングに、やや引き気味の柳沢を見た彼は、カズにそう言って止めさせた。

※今回は、ここまで書きました。続きはこの記事に文字を追加しながら更新して行きます。