オラウータンと人類の起源 (ジェフリー・シュワルツ著) | 探検塾

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このブログでは勝手にオラウータンブームとなっているが、元来よく知っているわけではない。最近、ボルネオ島のオラウータン保護区に行ってみたというだけである。そして、ジャカルタ日本人会 (JJCと呼ばれている) の図書室でたまたまこの本を見つけて読んでみた。


おもしろかったが、学会では異端の書であるらしい。アメリカ人で形態生物学につよい人類学者ジェフリー・シュワルツが1987年に書いた。反響が大きかったのか、1989年に翻訳が出版された。


このような世界をしらない自分がこの本を読んでまず驚いたのは、人間はいつからどのような過程を経て現代人になったのか、まだほとんどわかっていないということだ。この人たちの学会の唯一の合意事項は、人間の祖先は数百万年前にしっぽのない現類人猿 (体の小さい順に、テナガザル、ボノボ、チンパンジー、オラウータン、ゴリラ) の祖先と枝分かれしたということ。学会ではチンパンジー、ゴリラの現アフリカ種から分岐した説が有力だが、この著者のように現アジア種のオラウータンの祖先から最後に分岐したという説もある。テナガザルの先祖から別れたというもっと異端の学者もいた。今はどうだろうか。


素人考えでは、人間の祖先が住んでいたような地層を片っ端から考古学調査すれば、すぐにわかると思うのだが。金がないのだろうか。フィールドに出るのが嫌いで、象牙の塔にこもって自説に固執するのが好きな学者が多いのだろうか。進化論をみとめない宗教保守が多いアメリカのようなところなら、仕事するだけでたいへんなのかもしれない。


学校の教科書は権威の塊のようなもので、それを開くと「現代文明は何でもわかっているから君もわかるようになれ」というメッセージばかりが飛び出してくる。本当は知識の権威主義ではなくて、ここまではわかっているがこの先はわからないとか、この辺は学会で論争していて結論がないとかを教える方が、学ぶ人間の関心が高まってよいのだ。シュワルツ博士はそのような書き方をしており、人類考古学へ関心が自然と高まった。


の原題は ‘The Red Ape (赤い類人猿)’、つまりオラウータンであり、シュワルツ博士は、本書の中であの手この手で人間の祖先は類人猿の中で最後にオラウータンの祖先と枝分かれしたという自説を述べている。


数百万人前の状態を想定して比較しなければならないので、そのころの骨の分析が主となる。シュワルツ博士によると、人間とオラウータンの歯のエナメル質は今もはるか昔の祖先の歯でも厚いが、ゴリラとチンパンジーの歯のエナメル質は薄い、これが決定的な証拠だとなる。他にも骨の話はたくさんあるが、門外漢にはどれも面白いとは思えなかった。


現類人猿の骨の比較では、ナックルウォークについては少し興味を持った。ゴリラとチンパンジーは歩くときにナックルウォークするように手の骨ができているので、手のひらは平らに伸ばせない。人間とオラウータンは伸ばせる。本書によると、オラウータンの腕は足の倍長いので、歩くときにナックルウォークしているように見えるが、必ずしも必要ないとなる。人類への進化の過程に、ナックルウォークから二足歩行があったというのは本当なのだろうか。


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ナックルウォークと二足歩行


やはり素人には、現代のオラウータンの生態が現代の人間により近いという話が一番面白い。酒の席のたわいのない話でも使えそうなネタをいくつか紹介する。


人間は霊長類で一番頭の毛が長い。オラウータンも顔が隠れるくらい長いが、ゴリラ・チンパンジーは短髪である。


人間の脳は左右非対称で、そのために右利きが多い。オラウータンも左右非対称で、母が子を抱くときに右腕を利き腕として使うことが多い。チンパンジーには利き腕がない。


ゴリラとチンパンジーには尻だこがあるが、人間とオラウータンにはない。


ゴリラとチンパンジーの雌には発情期があるが、人間とオラウータンにはなく、いつでも受け入れ可能である。


ゴリラとチンパンジーの交尾は短く後背位のみであるが、人間とオラウータンのそれは長く動物界でこの二者のみ正常位をおこなう。


なんかどんどんと下ネタにいってしまった。本のアカデミックな貢献がさっぱりわからない噴飯物の書評かもしれない。


このシュワルツ博士は、本書を世に問うてから二十数年たつが、まだ学会の異端として活躍されている。オラウータンが絶滅しないためにも、そのすばらしさや人間との近さを宣伝してほしい。



あなたはゴリラ・チンパンジー派ですか、それともオラウータン派ですか。



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