どうにでもなれと水を飲む

目を離した隙に動き出すから、秒針を見守っていて

薬が腑に落ちるまでを数えて過ごす

それが日課になって、

感覚は摩耗して、

秒針は早くなる

飲み続けてきた薬だったものは

いつの間にか呪いへと変わっていて

幽霊の手が握りしめる花束に

自分の首を差し出しているのだ

9月を思い返すあの歌が聞こえる頃に

名前も知らないあの子のことを思い返して

あの子は苦しんでいたんだね、

それでも美しかった、

でも、

聞こえなくなった糸電話を見つけて、

開かなくなったコインロッカーの前に立っていた

あの子が摘んでいたクローバーが

私の首周りを彩って

液晶の中にだけ広がる幸福を眺めていた

秒針はまだ進んでいる

等しく、

誰にでも平等に、

金太郎飴を裁断しているあの動画

微分係数を求めよ、

なんで時計を身に着けないの?


解なし