まだ結婚して間もない頃。
まだまだ娘気分で、三度三度の全然好きでも何でもない料理支度に業を煮やしていた私でした。当時は夫が大学院生だったので、一緒にいる時間が長く、よく一緒にごはんを食べていたのです。貧乏学生結婚なので、もちろん自炊です。

どのくらい業を煮やしていたかというと、当時私が通っていた英語のクラスで、例文を作成するときにしょっちゅう台所ネタを使っていて、例えば「わたしは一日に何度も料理をすることに疲れている」とか、「わたしは毎日料理を作らなければいけません」とか、そういうことばっかり言っていて、先生に「micaは本当に料理が好きじゃないのね!」とか言われちゃうくらい、そのくらいです。

ある日のランチに、チャーハンを作りました。これだけではなんだか物寂しいので、野菜スープも作りました。ランチに二品も作って偉いな自分とご満悦だった私に向かって、まだ若い夫が「これにサラダがついてたら完璧だね」と言い放ったあの日。いまだに忘れられません。夫もあの日からは成長し、さすがにそんなミスはそうそう犯しませんけどね。これがチャーハン事件その一。

チャーハン事件その二の火種は、チャーハンというとケチャップをかけたがる夫の奇癖(だと私は思ったんです)。疑問を持ちつつ数回放置してからの、試しに自分も同じようにやってみるといって、二人でチャーハンにケチャップをかけて食べてみたときのこと。私なりに歩み寄ろうとはしたんです。結論としては、まぁむっとしましたよね。というか、けっこう腹が立ちました。だって、料理した側としてはきちんと味付けして出した料理に、(そうたいした料理ではないのは事実ですけど)ケチャップをかけられた途端、それはもうケチャップ味しかしないんです。どうがんばっても、まずい料理をケチャップ味でごまかしてる感が否めません。そんなにまずくないはずなのに。素材を生かす、とか引き立てる、とか、謙虚で美しい姿勢はケチャップからすると生温いのでしょうね。すべての味をケチャップの味に!乱暴で強引でぶしつけで、だからわたしはケチャップが好きじゃないです。同じ理由でソースも。あれは要は、ただ単に砂糖でしょ?

私は一口食べた後静かにスプーンを置き、チャーハンにケチャップをかけるという行為を金輪際やめてもらいたい、と夫に要求しました。それから人のいい夫はチャーハンにケチャップをかけて食べるという愚行を一度もしていません・・・。少なくとも、私の目の前では。

そして我が家の冷蔵庫には、ケチャップ、ソース、マヨネーズは常備されなくなりましたとさ。たまにソイマヨネーズを作ったり買ったりはしますけどね。

mica