第397回【松下幸之助研究の8割が事実確認】
松下幸之助さんの新党樹立のことが書かれていることもあり
雑誌『財界』の社長を務めた山口比呂志(ひろし)氏の著書を2冊読んだ
40年前の対談で竹村健一氏(評論家)が大事なことを述べている
【山口】
竹村さんは、日本人というのは一度活字になると、それが独り歩きして固定観念となってしまうと言っておられますね
【竹村】
近頃は活字になったものをそのまま鵜呑みにして引用してしまう人が多い。自分の目で確かめないと、本当のことはわかるはずがないんです
【竹村】
世評というものが何でそんなに広がるのか、その原因は前にもちょっと言ったけれども、ジャーナリストが二次資料で書くことにあると僕は思っているんです。原点に戻ったり、本人に直接当たって聞けば、そんな間違った世評はすぐ変えられるのに、そうしようとしないのは本当に困ったものです
なるほど。今一度このことを心したいと思います
私の松下幸之助研究の8割が事実確認の作業かもしれません
但し、研究対象者が故人のため
主にやり方は2つ
徹底的に1次資料にあたることと
エピソードや証言を繋ぎ合わせることで事実を浮き彫りにすることです
例えば
松下さんの大番頭であった高橋荒太郎(松下電器副社長)さんのことが昭和34年の社内報に、
「高橋専務(当時)の昼食について、リンゴを三切れほどと、牛乳をコップに一杯。よくこれであれだけの激務に耐えられるな」と書かれています
そんなに小食なのかと思っていたら
小宮和行氏の著書『松下幸之助が惚れた男 【評伝】高橋荒太郎』
には、こう書かれています
「昼食メニューを除けば、高橋は国内でも海外でもよく食べ、60歳を過ぎてからも朝から肉を口にすることはしばしばあった。いわゆる“早食い”で・・・『会食のときなど他の出席者たちによく“君ら食うのが遅いな”といっていた』。・・・まんじゅうも大好物であった」
社内報の証言だけでは小食だったと思ってしまうが
証言を繋ぎ合わせることで、昼食を除けば
むしろ大食いで早食いだったことがわかります(^^)/
だからこそ激務に耐えられるわけです
これからも徹底的に事実確認にこだわっていきたいと思います(^^)/