第396回【住友銀行秘史を読んで】
元住友銀行の幹部の著書『住友銀行秘史』を読んだ
467ページの大作であるが10万部以上売れているという
1990年に日本の経済史に衝撃をあたえたイトマン事件
イトマンは住友銀行がメインバンクであった
このイトマン事件を著者は手帳に克明にメモをしていた
このメモを実名入りで公開したのが『住友銀行秘史』である
なぜ企業に不祥事がおこるのか
その要因を知るための教訓が詰まった著書といえる
例えば
トップに誰も意見ができない
社長の周りがイエスマンしかいなくなったら破滅の道を進んでしまう
そうならないためにはどうすればいいのか
松下幸之助さんをお手本とすればいいと思う
松下さんは
総大将になると今まで友人だった人も家来になってしまう。誰も本当のことを言ってくれなくなる。だからこそトップに立つ者は声なき声に耳を傾ける謙虚さがきわめて大切だという
実際に松下さんほどこのことを実践した経営者はいないと思います
松下電器の広報の責任者が松下さんに悪い情報を報告すると、身を乗り出して熱心に聞き、ひと通り悪い情報、耳障りな話を終えると、さらに身を乗り出して、『君なあ、まだほかに悪い情報はないか?』と心から熱心に聞いてきたという
また、取材にきた記者に対して最後に
「何か松下電器についての悪い噂を聞きませんか」と聞くことがよくあったという
あるいは
「あのお坊さんがいつも批判している」といった噂が松下さんの耳に入ると
そのお坊さんを会食に招いて
「私に反省すべきことはありまへんか」と尋ねることもあったという
トップのこの謙虚な姿勢こそが不祥事や大企業病を防ぐことになると思います
最後に
ローマの大政治家、キケロの言葉を紹介しておわります
「地位はますます高くなれば、いよいよ謙虚にならなければならない」キケロ(雄弁な政治家)