第226回_ 日本一の適当男高田純次に学ぶ
「的確な言葉と、ほぼ的確な言葉には、稲妻と蛍ほどの差がある」
マーク・トウェイン(アメリカの国民的作家)
『トム・ソーヤーの冒険』『王子と乞食』などの名作を残したマーク・トウェインのこの言葉に出会ってから、私がこの偉人列伝のブログを書くにあたって心掛けていることが、偉人のエピソードと偉人が残した名言・格言・語録とをマッチングさせることである。
偉人のエピソードに的確な偉人の言葉をマッチングさせることによって稲妻がほとばしるような内容の記事にすることが出来るのではないかと考えたからである。
そのエピソードに対して的確な偉人の言葉をマッチングさせるには、まずは偉人の言葉をどれだけ多く知っているかが鍵となるだろう。そこで私は偉人の名言格言集 http://bit.ly/o1ny2l
というサイトを作って毎日、偉人の言葉を紹介している。その多くがもう埃をかぶって誰も読まないような書物や自伝、他伝、名言集、格言集、インターネットなどで調べて集めたものである。朝は5時前に起き記事を書いてから出勤し、仕事から帰ってきたらまた記事を書く。こんな生活を一年ぐらい続けている。現在までに813人の偉人の5439語録を収録している。
書こうと思っている偉人のエピソードに最も的確な言葉をこの5439の語録の中から探し出してマッチングさせているわけである(まだまだ力不足でとても稲妻がほとばしる内容とはいえませんが!(^^)!)
最近、お笑いタレントで俳優である高田純次の著書「適当論」という本を読んだ。この本を読んで頭の中にググッと思い浮かんだ言葉がある。それはドイツの格言で「苦さの味を知らぬ者は甘さも分からない」である。
高田純次といえば「オレは180から200歳までは生きるよ」とか「キミ、松嶋菜々子に似てるって言われない? 言われないの? じゃぁ、似てないんだね」など、この「適当さ」「無責任さ」のギャクが魅力となりファンになっている人が多い。高田純次のようにこんな陽気で気楽な生き方が出来たらいいと憧れる人も多いだろう。
ではこの高田純次とドイツの格言がどう結びついたのかといえば、「適当論」の中に書かれていたこの一節である。「一番うれしかったことは、あれだな、住宅公団の抽選に当たったことだな。生きてきて一番うれしかった。・・・中野の安アパートに住んでて、風呂もなかったから、女房と娘と銭湯に行ってたんだけど、公団の団地だから風呂つきなの。それがうれしかったなあ」
高田純次は言わずと知れた苦労人である。タレントとして世間なみの給与を稼げるようになったのは30代後半である。それまでは紆余曲折。俳優を志すも挫折し一旦はサラリーマンを経験する、そして再び劇団に入ってからは、女房、子供がいたから劇団の稽古が終わってから朝方まで工事現場や、港などで肉体労働をしながら生活費を稼いだ。
中野の風呂なしのアパートにはサラリーマンン時代に女房と知り合い住んでいた。そして娘が生まれる。風呂がないので、皆で銭湯に行く。ただし毎日3人で銭湯に行くとお金がかかるので、自分だけ部屋の流しで体を拭くだけという日もあったという。
生きていて一番うれしかったことが風呂付の住宅公団に住めたことというところに衝撃とともにドイツの格言が思い浮かんだ。そしてさらに二人の作家と詩人の言葉が思い出される。
『蟹工船』を書いた作家の小林多喜二は
「闇があるから光がある。そして闇から出てきた人こそ、一番本当に光の有難さが分かるんだ」という。
またアメリカの詩人ホイットマンは
「寒さにふるえた者ほど太陽を暖かく感じる。人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る」という。
今、世の中不景気、仕事や生活が厳しいという人が多くいるだろう。
しかし「止まない雨はない」
「夜明け前が一番暗い」
そして「朝の来ない夜はない」
苦しい境遇にいる人ほど朝が来た時にはそれだけ多くの喜びが待ち受けているといえるであろう。
関連サイト
高田純次語録 http://bit.ly/OsJuEj
マーク・トウェイン語録 http://bit.ly/zrQocm