2011-04-24 08:19:29

第177回_二宮金次郎に学ぶ(大災害から立ち上がった男達⑧)

テーマ:農業

東日本大震災が起きてからはや一ヶ月が過ぎた。テレビなどの映像で見渡す限りの瓦礫の山を見ると、いったいいつ元通りになるのかと気が遠くなりそうになるが、この惨状を見る度に思い出すとてつもない偉人がいる。それは二宮金次郎(にのみやきんじろう)である。二宮金次郎と聞くと薪を背負いながら読書をしている銅像を思い浮かべる人が多いと思うが、意外と何をした人か知っている人は少ないかもしれない。



金次郎が生まれたのは1787(天明7年)で現代の神奈川県の小田原で農民の長男として生まれた。亡くなるのが1856年(安政3年)になるのでちょうど米国のペリーが黒舟で浦賀に来航する頃まで生きたことになる。ではその間何をしたかといえば農村の復興である。多くの農村や藩の貧困を救ったがその数が600余村に及ぶというから驚きである。金次郎は農民一揆を起こすことはなく、藩や幕府に楯つくことも頼ることもなく次々と自力で農村の復興を手掛けていった。金次郎が行ったのは報徳思想(ほうとくしそう)という道徳思想を説くことであった。経済と道徳の融和を訴え私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元されると、それを自ら実行し説いて回った。この二宮金次郎の生き方や、教えが今海外で注目されているという。それも中国で熱心に研究されているらしい。



私が二宮金次郎に興味を持ったのは3年ほど前であるが、まずその経緯から述べてみたい。小田原には二宮神社があり、そこで二宮金次郎の直系のご子息様とその関係者が一同に集まる大祭があり、その大祭に知人を通じて招待され参加したことがきっかけであった。金次郎の直系のご子息様は今7代目、8代目になる。




私は招待してくれた知人から二宮金次郎のことは、今日本人より海外の人の方が良く知っているという情報を聞いていたので、大祭に参加する当日はある一冊の本を鞄に忍ばせた。それは学生時代に読んだ内村鑑三(うちむらかんぞう)の「代表的日本人」(岩波文庫)という本である。この本が予想通り当日大活躍した。




二宮神社の大祭には兄(http://profile.ameba.jp/ktamiya/ )と地元小田原のベンチャー起業家(http://www.strapyanext.com/ )の友達である樋口社長と3人で参加した。午前中の儀式が終わり、昼食の時間になった。会場には丸テーブルが幾つもあったが、この大祭に招待してくれた知人が気を使ってくれて特別に二宮金次郎のご子息様がいるテーブルに座らせてもらうことが出来た。




テーブルに座ると、ご子息様が開口一番に「今、二宮金次郎の教えは日本より海外で注目されています。昔、内村鑑三の代表的日本人という本がありまして、この本に二宮金次郎のことが紹介されています。その本にある肖像画が金次郎の唯一の肖像画です・・・」と話し出した。その瞬間に、私は鞄に忍ばせていた「代表的日本人」の本を取り出し「この本ですね」と見せてみた。




すると、ご子息様は驚いて「あ、これこの本です。この本に金次郎のことが紹介されていて、この肖像画が唯一のものです。あなたどうしてこの本を今日持っているのですか?」と一気に話が盛り上がった。驚いたのはご子息様だけではなく同じテーブルに座っていた兄も樋口社長も同じであった。まるでマジックでも見ているようであったであろう。兄に後で「何であの本持ってたの」と聞かれたが「今日必ず話題になると思ったから」とだけ答えた。お蔭様でご子息様にわれわれは一発で名前を覚えてもらうことが出来、その後も都内の隠れ屋でパーティがある時などは呼んでくれて、お会いした際はご子息にだけ伝わっている金次郎伝を良く聞かせていただいた。


私が内村鑑三の「代表的日本人」の本が当日、何故話題になるか分かったか種を明かすとこうだ。


この本には5人の日本人が紹介されている。西郷隆盛、上杉鷹山(うえすぎようざん・江戸時代の政治家)、二宮金次郎、中江藤樹(なかえとうじゅ・陽明学者)、日蓮上人(仏僧)の5人である。


1961年(昭和36年)、第35代米国大統領に就任したジョン・F・ケネディが、日本記者団から「あなたが、日本で最も尊敬する政治家は誰ですか」と質問を受けた時、「上杉鷹山です」と答えた。しかし日本人記者の中で上杉鷹山を知っている人がいなかったようで、皆、上杉鷹山て誰だ?と顔を見合わせた。上杉鷹山は江戸時代の米沢藩の藩政を建て直した名政治家であったが、何故日本人も知らないような政治家をケネディが知っていたかといえば恐らく内村鑑三の「代表的日本人」を読んでいたからだといわれる。この本は英訳され新渡戸稲造の「武士道」の次に世界中で読まれた本である。




このケネディの話を知っていた私は、知人から二宮金次郎が海外で知られていると聞いた時に、恐らく内村鑑三の「代表的日本人」を読んで知っているのだなと思ったわけで、当然、当日もこの本が話題になるなと予想が出来たわけである。


                                 

以上



次回に続く




偉人列伝【昔の創業者、名経営者、政治家の秘話、エピソード大公開】          -代表的日本人


内村鑑三の「代表的日本人」岩波文庫

右上の肖像画が二宮金次郎の唯一の肖像画である




文責 田宮 卓




参考文献


内村鑑三 「代表的日本人」岩波文庫

童門冬二 「小説二宮金次郎」 人物文庫 学陽書房

船井幸雄 監修「歴史二学ぶ勝つためのセオリー」三笠書房

三戸岡道夫「二宮金次郎から学んだ情熱の経営」栄光出版社


































































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コメント

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22 ■Re:コメントいただきまして有難うございます。

>セレーナ前田さん

そうでしたか。それは良かったですね(^u^)
『代表的日本人』は結構薄っぺらい本なので何処に置いたか分からなくなりますよね。

本を読むとどこでどう役に立つか分からないので面白いですね♪♪♪

今後ともよろしくお願いします(*^_^*)

21 ■なんと!!

田宮さん!
本棚を探してみたら、『代表的日本人』がありました!積ん読になっていました。

こうやって、丁寧に書物を読むことは大切。時間を取ってなんとか読みたいです。
ありがとう!

20 ■Re: コメントいただきまして有難うございます(^-^)

>merryさん

戦前は各小学校に二宮さんの銅像があったようですが、戦争が始まると銅が足りなくなり全国の小学校の二宮さんの銅像が没収されたようですね。

昔は教科書にも二宮さんのことが詳しく出ていたようですが、それもいつのまにか消えてしまったようです。

銅像の没収は仕方がなかったとしても二宮さんの勤勉性、生涯、教えや偉業なども消してしまうのはあまりにも惜しいと思います。

またお伝えが出来ればと思います。

どうぞ宜しくお願いいたします。

19 ■Re:コメントいただきまして有難うございます!

>京都で働くやさしい社長:高橋さん

素晴らしい趣旨でブログをされていらっしゃいますね。私も見習おうと思います。

是非、ブログを拝見させていただき私も勉強させていただこうと思います。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

18 ■Re: コメントいただきまして有難うございます(^-^)

>構成作家 大谷更生さん

大谷さんコメントいただきまして有難うございます。とても嬉しいです(^_^)

私も「代表的日本人」の上杉鷹山の項を読み直しているところです。

若きケネディ大統領が当時まだ東洋の小国にしか過ぎなかった日本の国の日本人もあまり知らない政治家の名を知っていたことに驚かされますね。

この本に登場する5人はインテリの外国人は皆知っている可能性がありますので、この5人は聞かれても答えられるようにしっかり勉強しておこうと思っております。正直、二宮さんと西郷さん以外は何をした人か覚えてないです(ー_ー)!!

また宜しくお願いいたします。

17 ■無題

父から、『昔は、どこの小学校にも、薪を背負って寸暇をおしんで、本を読み、勤勉な二宮さんの像があったけどなぁ、、、勤勉な、日本人はどこへいったのやら。。。』

と、、、。

私も、勤勉になるように、、、再度喝入れられた気がしました。。。
田宮さん、ありがとうございますぅ。


16 ■読者登録ありがとうございました!

ブログを通じてこのような素敵なご縁ができてとっても嬉しいです。

私のブログは、もちろん継続することは一つの目標ですが、ブログを続けることが目的ではありません。
ブログで常にこだわっている事は、自分の実践経験・実体験・気付き等を中心にまとめ、読者の皆様に何か一言でもお役に立てることや心に響くメッセージが文章の中にあるように意識することです。
またお気付きの点等がございましたら、ぜひお気軽にコメント下さい(^_^)/ 

読者登録いただいた感謝の気持ちを込めて。
今後ともよろしくお願い致します。

高橋 山治

15 ■素晴らしい本をご紹介ありがとうございます

田宮さん

こんにちは。
大谷更生 です。
お久しぶりです。
ケネディが上杉鷹山を知っていたのは
「代表的日本人」を読んでいたから
なのですね。
素晴らしい本をご紹介、ありがとう
ございます。
私も先ほど注文しました。
GWじっくり拝読します。
いつもありがとうございます。

14 ■Re:コメントいただきまして有難うございます。

>ケーオーこと大武賢治さん

おはようございます。
農業は国造りの土台だと思っております。
また、農業を疎かにした国も滅んでいると思います。

そう考えますと今こそ二宮金次郎ですね。
日本の農業を活性化させるための最大のモデルですね。

いい気付きをいただきました。
有難うございます。

13 ■Re:コメントいただきまして有難うございます。

>日本初・ミスインターナショナル出場の大学の先生さん

おはようございます。
左様でございますか。
二宮尊徳さんの銅像が地域の有志によるプライベートなお金で作られているんですね。

勇気づけられるお話です。
二宮尊徳は決して忘れてはいけない日本人だと思います。

今こそ尊徳から学べきことが沢山ある、そう感じておられる方が結構いらっしゃるのですね。私も伝えていこうと思います。

twitterもフォローさせていただきました。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

12 ■次回を、

次回を楽しみにしています。

二宮金次郎が注目されるのは、日本的な意味で農村の活力化を目指した社会企業家モデルということではないでしょうか。


11 ■私も

私も、震災があって、すぐに、ブログで、
二宮尊徳のことを、ご紹介しました。

私は、全国の学校にある二宮尊徳の銅像が、

地域の有志による、プライベートなお金で作られていることも、書いたのですが、
それこそ、日本の誇りだと思っています。

多くの方が、あの銅像は、公のお金や、学校と一緒に、作られていると思っているようですが、違います。

世界に、そんな人は、いないと思います。

10 ■Re:今晩は

>おさむしさん

コメントいただきまして有難うございます。
左様でございましたか。私は大学を卒業出来なくて留年することになり、いじけていて、何気なく目にとまり読んだのが「代表的日本人」の本でした。内村鑑三の名前も知りませんでした。

しかし読書というのは何時どこで活用されるか分からないので面白いなと感じます。

読書家といわれる人ほどチャンスも多いのではないかと感じます。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。



9 ■Re:あはは(^u^)(*^_^*)(●^o^●)

>ナミのほろ酔いブログさん

いーところに目をつけてくれて有難うございます。痒いところに手が届くとはこのことですね。

この技はカーネギーの「人を動かす」の本の「関心のありかを見抜く(ルーズベルト大統領のエピソード)」の応用です(^_^)

モテはしないですが、人脈作りには有効。数々のチャンスに恵まれます。

自分のこと知っててくれて嬉しくない人はいない。たまにマニアック過ぎて何でそんなことまで知ってるのと引かれることはある(ー_ー)!!

血液型はA型。でも誰も信じてくれません(^u^)

カーネギーの本とナミのほろ酔いさんのコメントは最高!






8 ■「代表的日本人」は

私も学生時代に読みました。
読んだ動機は無教会派のクリスチャンである内村鑑三の日蓮観に関心があったからです。
昔は熱心な日蓮信者でしたが、今は違います。

7 ■ぉおーーーーーー\(≧▽≦)丿☆☆☆

凄いなっ\(≧▽≦)丿
あなた。モテますよね。
だってね、きっとこの話題が出るだろうと ヒッソリ 本を忍ばせていたなんて…
まさしく 女性との会話でも そう言う感じなんだろうなぁ(*^_^*) やっぱり 頭がいい と言うか 起点の利く (アレ笑)漢字がイマイチ分かんないや笑)
人って 魅力的だなぁ☆☆☆

あなた 血液なに型? まさかもしや これでBとかABだったら 驚きます。
いやぁあたしは ABですがね 。クックッッ☆

6 ■Re:コメントいただきまして有難うございます(^-^)

>島子さん

私も、日本人より海外の人の方が金次郎のことを詳しいと聞いて軽くショックを受けました(+_+)

昔は学校の教科書に金次郎のことがのっていたようですが最近はそうではないようですね。

金次郎をこのまま風化させてしまうには余りにも惜しい人物だと思います。

今こそ、日本人こそ学んだ方が良い人物だと思いますね。

また宜しくお願いいたします。

5 ■Re:コメントいただき有難うございます(^u^)

>程万紫さん

二宮金次郎は戦前は教科書にも出て来る人物でしたが、何時のまにか教科書から消えてしまいました。銅像も各小学校にあったものが戦争で銅が必要ということで全て没収されてしまいました。

そのせいか今、金次郎は名前は知っていても何をしたか知らない人が多いですね。

金次郎は忘れさられてはいけない日本人だと思いますので、自分なりに皆さまにお伝え出来たらと思います。

次回も宜しくお願いいたします。

4 ■Re:コメントいただきまして有難うございます。

>人事制度コンサル37年生 の「いっきょう」さん

その地方のある家には、
今でも金次郎の借用証が残って
いるそうですね。

そのようですね。
実は私を大祭に招待してくれた知人の何代か前のご先祖様も二宮金次郎にお金を貸したことがあり、この時の借用書は記念館だか博物館に今でも保管されているようです。

金次郎は若い頃は大酒飲みだったそうです。離婚の経験もあり必ずしも最初から人の模範となるような人物ではなかったようですが、ある時期から目覚めて徳を積んでいったと思われます。

多くの農民や藩主もみな金次郎の協力者になった理由も金次郎の徳以外にはないと思いますね。

今だからこそ金次郎から学べきことは多いと思います。

何時も有難うございます。

3 ■知っているようで知らない事

二宮金次郎はあまりにも有名過ぎて知っているような気分でした。どこかの財政を立て直した位しか解らなかった!こんな偉大な日本人を日本人よりアメリカ人の方が詳しいなんて…
勉強不足を恥じる私です。偉大な日本人 を誇りに勿論、私も薪は担がないけど読書に励みます!!

2 ■ありがとうございます

良い本紹介していだだいて、ありがとうございました。
これから、楽しみに読ませて頂きます。
次回のブロックも速く読みたいですね!

1 ■無題


田宮さん、
おはようございます。

二宮金次郎のお話、
興味深く拝読しました。

その地方のある家には、
今でも金次郎の借用証が残って
いるそうですね。

先祖がお金を返してもらえなかった
ことよりも、有名になった金次郎の
筆跡を残していることの方が誉であるとか。
大事に後代に継ぎたいと。

借金を返さなくても(私事に使ったのではなく、村の復興の資金として必要だったのでしょう)恨まれない徳の持ち主だったのですね。

田宮さんのお話から思い出しました。

by いっきょう

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