2008-12-30 15:46:25

第19回_福沢諭吉_不人気業界への人材の流動化

テーマ:福沢諭吉

先日、大手警備会社の幹部と会う機会があり色々と意見交換をしてみて、この業界では警備員をする人材を確保するのにとても苦労をしているということが分かりました。せっかく採用出来ても長続きする人が少なく、この会社では新卒者も最初の一年間は警備員の制服を着て現場を経験するそうなのですが、それがいやで一年以内に会社を辞職してしまう人が多いという。


それは何故か?要するに警備員という仕事の世間体が良くなく、かっこ悪い、遣り甲斐も誇りも持てないので長く続けられる人材があまりいないということらしい。




この話を聞いた時に私は、慶応義塾を創設した福沢諭吉のことが思い浮かびました。


19世紀、欧米列強を模範とした明治政府にとって近代的産業の勃興は絶対的な条件でした。


しかし当時、賤商観、いわゆる官尊民卑の思想が根強く、若くて有能な人材は商工業を敬遠し皆、政・官・軍へ就職しました。


実業を目指す人材がいなければ日本の産業の発展はあり得るわけがなく、このことに危機感を感じたのが福沢諭吉でした。




福沢はビジネスに対する根強い反感と闘い、慶応義塾の弟子達にビジネスの意義、重要性を教え学問を実業に活かすことを促し、卒業生に官吏などにならず民間のビジネスマンになることを奨励しました。


福沢諭吉の大きな功績の一つが実業界への啓蒙活動、ビジネスマン育成、企業家の輩出であると思います。


福沢が育てた人材を思いつくままに記すと、三井の大番頭、中上川彦次郎(山陽鉄道社長、三井銀行理事)、三菱の大番頭、荘田平五郎、鐘淵紡績・社長、武藤山治、日本初の百貨店、三越を造った日比翁助、大日本精糖・社長、藤山雷太、久原鉱業・社長、久原房之助、王子製紙・社長、藤原銀次郎、阪急創業者、小林一三、電力王、松永安左エ門等、皆福沢の門下生であり、日本の近代的産業の発展に貢献していきました。




不人気といわれる業界で人材を確保しようと思うと福沢諭吉が行ったように、その業界の重要性や役割、遣り甲斐等を啓蒙していき魅力を伝えるところから行う必要がありそうです。


今、このことが最も必要とされる業界の一つが農業であると思います。就農人口が年々減少しておりますが、これは戦後アメリカの民主主義導入の代わりに失われたものの一つに農業教育があり、農業教育の空白が招いた当然な結果でしょう。就農人口を増やすにはまずは農業教育から始める必要がありそうです。

 


文責 田宮 卓                                                  










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2008-12-23 15:43:44

第18回_石坂泰三_地位は求めてなるものではない

テーマ:石坂泰三

麻生首相が誕生してから3ヶ月になりますが、これほど身内からもボロクソ言われる総理大臣は今までいなかったのではないかと思います。ここまで総理大臣の椅子も軽くなったかと情けなく思います。



昔は周囲から押されて地位に就くケースがただありましたが、近年は能力も覚悟もないのにただ自分がなりたいから地位につくというケースが多いように思います。 



私は麻生首相の祖父にあたる吉田茂首相が大蔵大臣を要請しても、それを断った石坂泰三のことを懐かしく思います。



当時石坂泰三は第一生命の社長をしていましたが、戦後GHQによる公職追放の憂き目にあい第一生命の座を追われておりました。昭和23年いち早く追放を解除され、他の人はまだ追放が解除されていないという背景はありますが、東大の同期の親友、五島慶太から東急社長就任の要請が来ましたがこれを断ります。他数社の社長の就任の要請、吉田茂首相から大蔵大臣、国鉄総裁就任の要請が来ましたがこれも辞退し、結局、東芝の社長を引受たのですが、当時の東芝は激しい労働争議に見舞われ、資金問題、経営問題で問題山積みの会社でした。



東芝の再建が出来るのは石坂しかいないと周囲から押されてのことですが、石坂が東芝の社長を引き受けた理由が、「月給も貰えず、家も売らなければいけなくなるかもしれないが、東芝の再建は日本復興の一手であり、特に労働問題は、一東芝の問題ではなく、わが産業界の代表問題であり、資本主義と共産主義の問題であるからだ」というのである。



社長に就任するや、石坂は労働争議を解決し、朝鮮動乱による日本経済に特需が起きるという追い風もありましたが、どん底の東芝をものの見事に再建しました。



昔は石坂のように周囲から押されてトップの座に就く人材が綺羅星のごとくおりましたが、現在はどうであろうか? 政治家であれ経営者であれ、この不況の難局を打開出来るのは人望があり命をかけて事にかかる覚悟のある人材ではないだろうか。



文責 田宮 卓

                                                                                   
















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