カンウォンランド視察記 | ためや通信

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まっとうな政治を鶴見から

林市長が急遽舵を切った横浜へのカジノ誘致、様々な波紋を呼んでいます。

半数以上の横浜市民の方々が反対の意思表示。また私の県政レポートのアンケート反応もかつてないほど、カジノ反対とその理由が寄せられています。

 

カジノの問題点は様々あり、ギャンブル依存症の確実な増加、治安悪化、などなどが真っ先に挙げられます。その際に必ず引き合いに出されるのが韓国のIRカジノ、カンウォンランド(江原ランド)です。外国人が入場できるカジノは他にもありますが、ここは自国民が入場できる韓国唯一のカジノであり、依存症問題、治安の悪化などが取り沙汰されている場所でもあります。

 

今回、そのカンウォンランドの視察に行き、関係者の方々にお話を聞く機会を得られましたので、見聞き出来たことを纏めてみます。

 

■カンウォンランドまでの道のり

カンウォンランドは、韓民は江原道旌善郡という場所にあります。ソウルの金浦国際空港から行ったのですが、高速バスで約4時間以上かかりようやく辿り着く場所でした。(イメージとすれば横浜駅から名古屋駅までバス移動、といったところ。電車でもソウル方面まで約4時間弱でしたので、あまり変わらないです。)

カンウォンランド最寄りのSABUK駅近くに宿をとったのですが、このあたりは山の中にある小さな町、といった印象。

カンウォンランドのカジノへは、町にあるこのゲートをくぐり、山に登っていきます。

2000年にできたカンウォンランドは、旧炭鉱跡を開発しカジノ・リゾートとして3つのホテル、ゴルフ場、スキー場、カジノ有するIR(統合型リゾート)となっています。

いずれにせよアクセスは非常に悪い!!ということを強調しておきます。

 

■カンウォンランド 中毒ケアセンターにてヒアリング

今回、幸運なことに現地視察はもちろん、カンウォンランドのAddiction Care Centerの職員の方々からヒアリングと、意見交換をすることができました。

 

カンウォンランドの株は、韓国鉱害対策事業団が36%。江原道政府が6%出資しているという第三セクターの位置付けですが、韓国取引所へ株式の上場をしています。

いわば公営ギャンブル場、ともいえる施設。そのカンウォンランドが2001年に中毒ケアセンターを設置しています。2000年開業ですから、これは早い段階から依存症問題を認識していた証左といえます。

 

依存症についての対策として、広報啓発、中毒経験者のカウンセラーも配したカウンセリングプログラムや、図書室を開放したヒーリングルームの設置などを行っているとのこと。

これは前述のように政府が出資している、という点が関連しています。ギャンブル依存には「自己責任」と、「供給者責任」の二つが指摘されますが、公営事業の側面もあるため、供給者責任を果たしている、といったコメントもありました。

 

外国人はパスポートがあれば、無料で入場できます。一方で、自国民は9000ウォン(約900円)の入場料を払う必要があるのと、地元の住民は月に一度のみの制限、自国民は月15回までなど、回数制限が設けられています。

 

ちなみに地元の方が月一回なのは依存症対策なのか?と質問したところ、これは地域経済を阻害してはならないと考えたからだ、という回答でした。カジノから近いほど依存症は増える傾向があり、こうして制限することで、地域の経済活動に影響を及ぼさないよう配慮した、というところ。

 

日本ではカンウォンランドは、失敗例と認識されているが、率直にどう思うか?という問いに対しては、

「失敗ですって?(困惑の表情)これには様々な視点があり、もともと炭鉱が廃坑となり産業がなくなった地域に、IRを誘致したことで地域経済活性に寄与しているし、地域振興につながっている。実際、カジノがなけれればここにこれだけ人が来ることはないだろう」

と、経済面でのメリットは一定あるとの見解。

 

治安の悪化、また自殺者も増えたのではないか、という点については、

「治安は実際に少し悪化したのは事実。またカンウォンランドで自殺した、というケースも実際にある」と、率直に話してくれました。

 

ギャンブル依存になりやすい世代、あるいは性別はあるのか?という点に関しては、

「男性6割、女性4割であり、最近では若い世代も徐々に増えている」との回答。これは利用者属性に比例していると考えられます。

 

ただし、若い世代はオンラインでのギャンブルが主流となっており、オフライン、つまりカジノの現場に来る事が減ってきている、カンウォンランドの売り上げも停滞してきており、多分にオンライン利用に流れていると考える、とも。

 

■カジノ周辺の街、またカジノの内部は…

カンウォンランド周辺の街を歩き、フィールドワーク。昼、夜と歩いた主観ですが、想像したほど治安が悪いとは思いませんでした。飲食店は圧倒的に焼肉店が多く、ネオンも光っていましたが、人の姿がほとんどありません。平日(水~木)だったのもあるかもしれませんが…。

 

街の一角には、質屋が立ち並ぶエリアがあり、このあたりはなるほど…という雰囲気はありました。

サラ金業者には断られましたが、ある質屋さんにはヒアリングできました。

曰く、

「治安はさほど悪くない。監視カメラが町中にあり、何かあればすぐに警察が対応する。また自殺等あった場合も、カジノや街のイメージダウンにつながるから素早く対処している」 なんてさらっと恐ろしいことも。

 

「利用者は、主に貴金属、時計を売りに来る。車の買い取りもやっているが、ここ数年の新しい高級車でなければ取引はしない」

「地価もあがり、財をなした人も多い。土地を売却して、他所へ引っ越したんだ」等。実際、建設前には15万人の人口だったのが、現在3万人ほどに減少している事実があります。

このように、街の姿が変わっていったことは間違いありません。

 

カジノは町から車で5分ほど、ホテル内部の地下にあります。

入り口ではパスポートのチェック、またアルコールチェックも。カジノ内でのアルコールの提供は創設時より行っていない、というのも少々意外でした。

 

カジノのエントランスフロアには、ATMも設置されています。利用者の方々は併設のホテル利用の方がほとんどでしょう。昼夜問わず時間を忘れてギャンブルに没入できるつくりとなっています。

内部は写真撮影NGでしたが、昼夜問わず、ギャンブルに興ずる人々でにぎわっていました。レートも低く、1000ウォン(約93円)から賭けができ、またスロットも多く、日本の大型パチンコ店のような雰囲気がありました。

 

見る限り、海外からの利用者より圧倒的に自国民の方々が多く、驚くような額の札束をディーラーに渡し、賭けに興ずる方に驚くばかり…。(私はやめておきました…)

先に話を聞いた質屋の人が「質に来る人は常連が多い」と言っていたのを、こうした場面で思い出した次第です…。

 

■カジノを視察し、改めて横浜への誘致を考える

カンウォンランドの方に、

横浜へカジノを誘致する計画があるわけだが、どう考えるか?と問うと、

「カンウォンランドのように小さな街にあるカジノと、大都市にカジノを設置した場合ではその影響は大きく違う。なので、重要なことは現在の横浜の依存症数などの、データをチェックしておくこと。そして時間をかけて準備することではないか」といったコメントがありました。

 

炭鉱がなくなり、雇用を守るための苦肉の策でカンウォンランドのIRカジノは設置されました。前述のように、地域経済への貢献、といったメリットもあったのは事実。しかし、街の姿はやはり大きく変わってしまったのもまた事実です。

 

カンウォンランドは山の中にある小さな街。アクセスも都市部から悪い。でも、カジノの存在は街の在り方に大きな影響をもたらしました。であるならば、大都市横浜、ましてや山下ふ頭というアクセスの良い観光地にカジノが誘致されたなら、極めて大きな影響が出るのは間違いありません。

 

ギャンブル依存症はカジノの距離と密接に関係しています。依存症の増加は確実な問題であり、依存症が増える前提でこうした施設を誘致する、というのはそもそもにおいて倫理的におかしい、私はそう考えています。

 

みなと横浜にカジノは必要ない!カンウォンランドの地域への「功罪」を見て、改めて感じております。