久しぶりに顔を出すK君・・・
「よ~久しぶりやな~夏期休暇でも、とってたの?」
『え~実はそうなんですよ・・・父が勇退したので、二人で富士山に登って来ました!』
聞くと、以前から富士山に登るのが、親父の夢だったようだが、御年66歳で奥さんには、『私はむり』と断られたらしい?
そこで、長男のK君がお供をすることになったとのこと。
「そりゃ~親孝行やがな、なかなか出来けへんで・・・」
確かに、親父と二人きりで旅行なんて、初めての経験だという・・・・
『親父とは、話すことがないので、難儀ですわ・・・コッチやで、これ買うの、大丈夫、あんまり飲んだらアカンで・・・最小限必要な単語だけですわ・・・』
それでも、頂上まで根を上げず、這うようにして登りきったらしい・・・
『それでも、あの年で凄いですわ、高山病にもならず、ピンピンしてましたわ・・・』
自分は、筋肉痛で足が痛いが、親父は平気に見えるとか・・・
「ハハハ・・・年をとると、痛みも遅れて来るんやで・・・今頃痛んどるわ・・・」
ほとんど、無口の旅だったようだが・・・それで良いんだ!
キット、親父も多分これが、親子二人の最初で最後の旅と思っているはず・・・
「男の親子に、会話なんて要らないって・・・親子なんだから!」
『そうですね・・・』
K君の笑顔が、少年のようにキラキラ輝いている様に見える・・・
それ以上に、親父は嬉しかったはずだ!!!