食わず嫌い

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ずいぶん昔になりますが、先輩との会話でこんな失礼なやり取りをしてしまいました。

『相撲は見る?』
という先輩からの質問に
『相撲ですか。あまり見ませんね』
と答えたところまではまだよかったのですが
『そうか、俺は結構相撲が好きでね』
と言う先輩に

『いやぁでもアレじゃないですか?何かこう、暑苦しいっていうか。僕は見ながらメシが食えるかどうかが基準なんですよ。ボクシングとかなら食えるんですけど相撲は無理っすね』

極端な偏見。しかもわけのわからない持論を持ち出し、目上の人が好きだと言っているものを即座にこき下ろす暴言ぶり。
これはもうゲンコツでやられてもおかしくなかったのではないかと思います。

先輩は『そうか(苦笑)』と言ってそれ以上その話はしませんでした。

あの時スマホをいじりながら話しかけてきた先輩は、きっと相撲の取り組み結果を見ていて隣にいる僕とその話でもしようと考えたのでしょう。
世間話のひとつとして何気なく相撲の話題を振っただけなのに、まるで握手を求めたらヒザ蹴りが飛んできたぐらいの無礼な仕打ちです。しかし先輩は怒ることなく寛大に応じてくれました。


あれから数年経って、
手のひらを反すように相撲に興味を持ち始めたのが今の僕です。

きっかけは先ほどとは別の先輩でした。
『最近習得した顔真似やるから誰か当ててみてよ』
と言われ見せてもらったのですが全くわからなかったので答えを聞いたら

『稀勢の里よ』

それを聞いてもわかりませんでした。名前からして力士であることは察知しましたが顔を知らないので似てるかどうかもわからなかったのです。

それ以来何度も稀勢の里の顔真似を自信たっぷりにやるので、
これは確認するしかないということでネットで調べたらとりあえず似てなかったので先輩にそう伝えたところ

『違う違う、花道から入ってきて土俵のそばで出番待ちしてる時の顔だから』

…そんな場面場面で顔変わるか?と疑問に思ったのですが、だったらその時を見てみなきゃということで相撲中継で確認することにしたのです。


当時、稀勢の里はまだ大関でした。顔真似する先輩は『もうじき横綱になるから』と明言していました。横綱になりそうな力士なら知っておいたほうがいいかなという気持ちもあり普段見ることがない相撲中継を見ました。

実際のところ、その時点で僕が知っている力士は白鵬と豪栄道ぐらいでした。
幼い頃、祖父の家に行くとよくテレビで相撲をやっていて、当時は千代の富士が全盛期だったのですが幼いながらも『この人かっこいいなぁ』と思った記憶があります。

先輩の顔真似から名前を知った稀勢の里は『17:40くらいになった出てくるから』と聞いていたのでその頃合いで中継を見てみることに。

稀勢の里が登場し、土俵の近くに腰を下ろしたあとアナウンサーが横綱昇進の可能性について触れた時に稀勢の里一人がカメラで抜かれたので、さて、どんな表情をしているのかと見入ったところ



全然似てないじゃない



それはもう弁償もののレベルで似ていませんでした。
というか花道の時から表情も変わってないです。
結局先輩の顔真似が1ミリも稀勢の里に似てないことは確定したんですが
流れでそのまま相撲中継を最後まで見ました。
その日の中継は結びの一番が終わったあともまだ時間があったのか、最後の弓取り式まで放送されていました。今思えばこれが大きかったのだと思います。

弓取り式は、なにか神事を見ているような感覚になりました。
土俵の中央で化粧まわしを着けた力士が弓を振る姿は神秘的で、他には類を見ない日本特有の儀式だと感じたのです。

考えてみれば、相撲はスポーツと呼ぶほどポップな感じではありません。それは横綱土俵入りはもちろん、行司や土俵周りにいる呼出の人たちもみな最高レベルの作法を持って土俵に上がるからだと思います。小さな動き一つ一つが儀式として見れるのもそのためで、そういったところがまた日本人には心地よく映るんだろうと思います。

また、格闘技と呼ぶにも他とはかなり違うところがあります。
幕内の力士だけでも42人ほどの人数がいて、それが15日間連続で取り組むわけですから
〇月〇日〇時にゴング!といった通常の格闘技とは見方が全く違います。

国技と呼ばれるにふさわしい相撲。日本人としてその伝統と格式に敬意を持てる喜びを今頃になって感じているわけですが、ここで当然思うのが


一度生で見てみたい


そんなわけで平成最後の九州場所というプレミア感もあって行ってきました‼






初めての観戦はちょっと遠くの椅子席から



今回最大のポイントは

横綱全員休場

なんでこうなるかね…ある意味あの横綱土俵入りを見に来たみたいなところあるのに。
3横綱の中では特に鶴竜を見たかったです。顔が優しそうでやわらかい感じがあるし、食べたらおいしそうです。
横綱全休は残念でしたが、相撲のいいところは他にもたくさん魅力的な力士がいることです。
今回は九州場所なので、九州出身の力士が出てくると会場が大いに沸きます。

琴奨菊は福岡の出身なのでなおさら声援が多かったです。
この人も優しそうな顔つきなんですよね。



ただ、立ち合いになると



怖い…でかい…


今回は西側の席に座ったのですが、よく考えたらこの角度で見る景色は初めてです。テレビは正面の画しかないので新鮮でした。
東側の力士の表情は良く見えます。そこまで相撲に興味がなかったころから知っていた豪栄道が出てきた時はちょっと感動しました。





豪栄道は、『豪栄道豪太郎』というそうです。豪太郎は本名。もう名前からして強い。


戦う豪太郎




勝った豪太郎




力士には品格が求められるとよく聞きます。
ですので勝っても負けてもポーカーフェイス。そういう凛とした姿が見られるのも相撲の魅力ですね。