ぶらぶら散歩 迷い鯉 新天地に向け旅をする


小雨の中、用水路沿いの道を散歩しました。
この時期水害対策の為に用水路の水位は下げられて、何時もは50センチ以上有る水嵩も10センチ以下に下げられていました。

水位が下がっている為に水底の様子がはっきりと見えます。
無数の小魚たちが、私が近付く足音や歩く振動で道側の岸から慌てて逃げまどう様子が見えます。

私が子供の頃は、今は無き広い田んぼの中を流れるこの用水路の水位が下るのを狙い、魚取りをして遊んだものです。
(急に水かさが増え慌てて岸に登る事もありましたが、前兆として沢山の木の葉や水草が流れて来る為に事前にある程度察する事が出来ました)
今はスマホやゲームなど他に魅力的な遊びが有るからか、安全の為からか、魚取りをして遊ぶ子供達を見かける事は有りません。

あれはハヤ、こっちにはニゴイ。
沢山魚が捕れそうだな。
昔を思い出しながら歩いていると突然上流からバシャバシャと大きめの水音が聞こえてきました。

なんだなんだ?
光る水面を目を凝らし見てみると、大きな魚が背びれを水面から出し苦しそうに泳いでいました。
大きな2匹の鯉の様です。
上流の配水池から迷い込んだのでしょう。

2匹の鯉の泳ぐ速さに合わせ、鯉の動きを観察しながら暫く歩いて見ました。
2匹の鯉は、離れる事無く仲良く泳いでいる様に見えました。恐らく雌雄つがいではないかと思われます。

1匹が水底の藻に阻まれ遅れそうになると、先を泳ぐもう1匹はぐるりと向きを変え戻って行き、寄り添っていました。
まるで何か会話をしながら泳いでいる様です。
鯉の様な魚達でも連れ合いを思いやる、優しい気持ちを持っているのでしょうか?

暫く2匹の鯉と共に用水路沿いの道を歩いて行きました。

暫く鯉と共に歩き用水路にかかる橋に出て、橋の上から下流に向けて泳ぐ2匹の鯉を見送りました。

私の子供の頃は、この用水路は広い田んぼの中をゆったり流れ、途中には支流が沢山枝分かれし、葦に覆われたよどみもありました。
今は田んぼや支流は姿を消し埋め立てられて住宅街となり、私の知る限りこの用水路は、石垣とコンクリートで固められた状態で延々と続いていきます。


常に水が流れて休む事も出来ず、餌場も無く大きな鯉が生きて行くにはとても厳しい場所に迷い込んだなと思います。
天敵に狙われたり人に採られたりするかもしれません。

ガンバレ!
2匹で何とか生き抜けよ。
思いのままに泳ぎ暮らせる場所に辿りつけ!
用水路にかかる橋の上から暫く見ていると、遥か下流の水面に水柱がバシャッと上がるのが見えました。

ガンバレ!そしてさようなら。


さあ、帰りましょうか。




去年の秋の賑やかな用水路の様子です。


以上です。