先日ROVE STの新車シェイクダウン(ライド記事)を行った結果から、我儘言い放題のインプレと、今後改善していく点を挙げておきます。
ROVEまたはアドベンチャーバイクに興味ある方の参考になれば幸いです。
 
 
     ①'17/04/20追記:本件にて洗い出した問題点の改善結果は、こちら
 
     ②'17/11/27以降随時追記:ROVE STその後の改造記録
       Ver.4.0 上ハン偏平化
 
 
 
 
  ──── まずはインプレの前提となる関連スペック紹介を ────
 
  バイクKONA ROVE ST(ローブST) 2017  54サイズ
 
  ライダー:身長179cm、体重71kg、50代
       平均出力100Wそこそこの貧脚
       自転車歴10年
       ロードバイク、CX、フラットバー、フルサス・ハードテイルMTB、
       折畳み小径車、シングルギヤ車
       と多様なバイクに乗ってきており車種に対する偏見は無い(つもり)
 
  装備:  バイク11kg、ボトル&サドルバッグ3kg、ウェア3kg、リュック5kg
       以上より車両総重量93kg程度
 
 
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■ROVE STの全般的な印象■
 
以前アルミCXバイクJAMIS NOVAに乗っていた経験から、フレームがクロモリに代わった程度で、大きな違いは無いだろうと予想していましたが、いい意味で裏切られました。
レースで速く走ろうというような気概は微塵もなく、穏やかな挙動で安定志向であり、安心して取り回せます。
太い低圧タイヤで瞬発力こそありませんが、気が付くと速度が乗っていて気持ちよく走ります。
悪路は、砂利のダブルトラックぐらいまでが守備範囲。
それ以上も頑張れば走らすことができるでしょうけど、そこはMTBに任せましょう。
道路と呼べるようなところならば、体力が続く限りどこへでも行けそうです。
太めのタイヤとフロントシングルによる素早い変速により、
路面ギャップやストップ&ゴーの多い市街地でも予想外の適応性を感じましたが、
車体色のオリーブカラーが溶け込む自然の中を走るのが一番似合うと思います。
 
 
 
■個別のパート毎の印象■
 
フレーム
見た目は同じKONAのツーリング車SUTRAに比べ、柔らかめに調整したとのことですが、キャリアダボが有って積載前提、ダートを走る想定もされたフレームなので、結構がっしりしています。
同じクロモリでもRNC7の2倍程度ありそうなシートステーからもそれは窺えます。
路面からの衝撃は、タイヤで大部分を吸収させ、残りをフレームの局部というより全体のしなりで吸収させている感じです。
↑で瞬発力は無いとしましたが、パワーを充分に受け止められるフレーム強度(≒剛性)から、ダンシングは思いのほか良いです。
 
 
 
フロントシングル  SRAM 1x11システム
  チェーンリング X-SYNC 40T
  カセット11速  11-13-15-17-19-22-25-28-32-36-42
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フロントシングルを使ってみたかったのがROVE ST購入に至った動機の一つです。
 
アドベンチャーバイクとして、路面状況の変化が大きい道を走る際に、その都度トラブルリスクが高いフロント変速をする必要がなく、リヤだけなので咄嗟の場合も安心して変速できます。
 
42Tと大きなカセットで、隣接ギヤ間の歯数差が気になるところですが、
9速34TカセットのMTBからこの世界に入った私は、さほど気になりません。
だらだら登り区間や向かい風の直線など、上のギヤでは重すぎ、下では軽すぎといったシチュエーションも出てきますが、そんな場合は迷わず軽いギヤを選んで気楽に走りましょう。
 
40×42の1対1以下のギヤ比は、当初必要ないかとも思っていましたが、実際に走ってみると、活躍する場面が出てきました。
不整地を走る場合、荷物が多い場合、さらには脚が終わってしまった場合(笑)にとても有効です。
 
もう一つ気になる40Tチェーンリングの高速対応性ですが、計算上リヤ11Tにケイデンス80rpmで38km/h出るので、一般人の巡航速度には余裕があります。
下り坂のトップスピードも、終わっている脚でも60km/h(=一般道の法定速度=自転車で出して良い最高速度)は出たので、サイクリング用途としては充分でしょう。
 
 
 
ダブルタップレバー SRAM Rival1
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インナーレバーだけでアップ(1速)&ダウン(1~3速)を行うSRAM独自の変速レバー。
初めて使いましたが、10分も走れば誤操作はしなくなりました。
 
アップシフトは秀逸で、本当に軽くタップするだけで、カチッと小気味良い感触と共に変速します。アップだけに関して言えば、電動変速なんか要らない気がします。
 
ただしダウンシフトは、内側の力が入りにくいレバーでチェーンを持ち上げることになり正直かったるいです。
レバーも重く、リヤなのに5700系のフロント変速並の重さがあります。
変速量は押込み量の調節で行い、1速だけなら狙って変速できますが、2速と3速は力いっぱいエイヤッと動かすしかないので、何速変わるかはその時の運次第(笑
 
操作性のデメリットもあり、薄い手袋ならば中指&薬指の2本が使えて力が入りやすいですが、0℃対応の厚いグローブでは中指1本だけしか押し面に当たらないので、指先がかじかんでくるとしんどくなります。
 
また誤操作時に、あってはならない反応をすることも・・・
最ローギヤで登坂中に、さらにもう1段落としたくなり誤ってレバーを押し込んでしまうと、あろうことかアップシフトする場合があり、悶絶させられます。
 
いろいろ悪口を書きましたが、SRAMの独創性は嫌いではないです。
MTBでは親指操作のサムシフターを好んで使っていて、こちらではシマノが追従する形になりましたし・・・
ダブルタップレバーも、アップダウンが連続するような場所を走り抜ける場合、同じレバーをリズミカルに操作するだけで変速していけるノリの良さは、使った人にしか判らないと思います。
 
また10万円台の完成車で、レバーの重さうんぬん言うのは酷かもしれません。
ケーブル類まで細かい配慮が行き届いているとは思えず、PTFEインナーワイヤーを使いケーブルグリスをたっぷりと塗って組み直してやれば、かなり改善するはずであり、早急に行う予定です。
 
 
 
ディスクブレーキ TRP Spyre 160mm
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純機械式ディスクブレーキでは、おそらく最高峰のSpyre。
対向ピストンで、効きは申し分なく、機械式の弱点である鳴きも出にくかったです。
ただしタッチは、あまり良くありません。(私の標準であるBB7+フローティングローターに比べて)
指先に返ってくる微小パルスが感じられなくて、ヌメーッと効く感じ。あまりに静かすぎて気持ち悪いです。
 
タッチの悪さは、プレス打ち抜きの安っぽい純正ローターの影響もありそうで、フローティングローターに交換するつもりです。
熱容量も考慮した絶対的な制動力を求めるなら、シマノのアイステクノロジーローターの選択肢もありますが、アルミスパイダーは横方向の剛性が高すぎて機械式との相性が良くないから、私は使わない方針です。
 
 

タイヤ Clement X'Plor MSO Tubeless 700x36c
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細かいブロックパターンのタイヤは初めてですが、転がりの良さに驚き!
同じ太さ・圧力ならば、路面にべったり接地するスリックより良いかもしれません。
ただしこのタイヤ、同名称で60TPIと120TPIが存在して、付いているのは60TPIの方。
120TPIは耐圧6Barらしいのに対し、60TPIは4.1Barしかありません。
今まで様々なタイヤを使用した経験上、内圧6Bar以上あれば転がりに大差ありませんが、それ以下では急激に悪化します。
従って圧力が低い分、絶対的な転がりはそれ程良いわけではなく、巡航速度はロードバイクの1~2km/h落ちぐらいになります。
 
グリップに関しては、サイクリングペース程度ならば、アスファルト路面のコーナーリング時にブロックタイヤ特有のヨレ感もなく安定して走れます。
ダートのグリップに関しては、経験浅く不得意な分野ですが、今回走った砂利道や多少の苔で滑ることは無く、悪くはないと思います。
 
追記:
シェイクダウン時は、3.6Bar入れて路面追従性が良好でしたが、富士三湖行きの際に、登坂が多いからと3.8Bar入れたら途端に突き上げが多くなり、乗り心地良くないのに転がりもそれなりの中途半端なタイヤになってしまいました。
6Barまで入れられるならまた世界が変わるかもしれませんが、純正タイヤでは圧をあまり上げすぎず、乗り心地と場合により不整地グリップを追求した方が良さそうです。
 
 
 
ハンドル KONAオリジナル品
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とってもアメリカンなサイズが付いています。
ブラケット部でC-C460mm、バーエンド部に至ってはC-C520mmの超幅広仕様。
数字ではピンと来ないでしょうから、緩いジャケット着用の身体と比較でこんな感じ。
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初めてサドルに跨って乗車ポジションを取った際に、
なんじゃこのでかいハンドルは?!即交換!と思いました。
しかし実際に走らせてみると、このバイクのキャラクターを決める大事な要素であることが判ります。
広いハンドル幅は、小刻みな修正など不要な安定志向のジオメトリーと相まって、落ち着いたハンドル操作を約束してくれます。
とりわけ悪路走行時には、クロカンMTB並みのハンドル握り幅ですから、路面からのキックバックに負けることなく、思う方向に進めます。
将来付けるかもしれないサイドバッグ装着時にも、重量に負けず安定したハンドリングが得られそうです。
 
 
 
サドル WTB Volt Compコナ専用品
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ロードバイクとしては、クッションの効いたサドルが付いています。
良好なアスファルト路面だけなら、軟弱な私の尻も悲鳴を上げることなく100km余裕で走れています。
ただしこのバイクが真価を発揮する、田舎道の割れや穴ボコだらけの路面をシッティングのまま進もうとすると突き上げが強く、ペダリングがままなりません。
腰を浮かせば良いですが、長距離を走るときは出来るだけ楽したいですよね。
私の持論ですが、衝撃吸収のバランスを取るために、タイヤの太さとサドルの柔らかさは比例すべきと思っています。
ROVEの36cタイヤに対しては、もっとコンフォート寄りのサドルが合う気がします。
まずは私の統一化サドルVL-3141に交換してみるつもりです。
 
 

ホイール Alex CXD4
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一見すると、黒一色でステッカーも無く、完成車にありがちなおまけホイールのようですが、実は部品単価4万円台の高級ホイールです。
10万円台の完成車としては贅沢なパーツが奢られています。
重量も1536gとディスクホイールとしてはかなり軽量な部類で、価格以上の軽さです。
タイヤで感じた転がりの良さも、実はホイールの寄与度が大きいかもしれません。
とにかく乗った印象は、ホイールに関してネガティブな部分は無く、スタンバイしていた手持ちの700c(29er)ディスクホイール4セット(XT完組、XTRオープンプロ、クランクブラザーズコバルト、スピナジーザイロン)の出番は無さそうです(苦笑
 
 

チューブド?
タイヤもホイールもチューブレスレディで、当然チューブレスになっていると思い、
人生初のチューブレス、さすがチューブレスは転がりが軽い♪と勝手に喜んでました。
 
しかし走行後にバルブをよく見ると、見慣れたチューブのバルブそのものであり、
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しかも取説類と共に付属品としてチューブレスバルブが添付されています。
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気になってバラしてみると、チューブがしっかりと入っていました(汗
 
しかしリムテープはチューブレス対応品が巻かれていたので、バルブをチューブレス用に交換して試してみましたが、それだけではダメでした。
4Bar入れてみても、あちこちからエア漏れする微小な音が聞こえ、1分程度で2Barまで落ちてしまいます。
チューブレス用のシーラントを入れる必要があるようです。
 
でもタイヤの中に液体を入れるのは、メンテナンス性やパンクした際の手間から、少々抵抗があります。
単なる食わず嫌いで、やってしまえばどうってことないのかもしれませんが・・・
チューブを抜いて200gの軽量化&転がりの軽さを取るか、このままにするか・・・
一度やってしまうと後戻りが大変そうなので、しばらく迷うことにします。
 

*    *    *    *
 

長々と書きましたがROVE STは、いろんな可能性を秘めた面白いバイクと思います。
見た目はタイヤが太いロードバイクですが、性格的にはドロップハンドルの付いたリジッドMTBと言った方が的確かもしれません。
コンポーネント類は必要十分な物が付いていて、もうあまり手を入れるところはないですが、それでも自分専用仕様にしたくなる我儘な私。
どうカスタマイズしていくか、妄想だけは膨らんでいきます。