◇聴覚に関するもの

    ①聴覚過敏

   ②聴覚鈍感

   ③音声模範

◇①聴覚過敏について

 はじめに自閉スペクトラム症と診断されている子が必ずしも聴覚が過敏であるかというと、そうではありません。自閉スペクトラム症と診断された子では、聴覚が過敏になりやすい傾向があるという事で、そのことを踏まえたうえでお話しをさせていただきますね。

 

聴覚が過敏なためにみられる行動

 

a.一定の音に反応を示す

 

b.情緒の昂ぶりによってある音が気になったり、音が大きく感じることがある

 

 

◇音によって異なる反応

 

 自閉スペクトラム症の子の中には、一般の人には聞こえない音が聞こえる子がいることがあります。

 例えば、高い周波数の音、とても聞き取りにくい小さな音などがあげられます。

ただこういった感覚は、一般の方でも持っています。

 自閉スペクトラム症の子の感覚異常は、感じたことを脳が上手に処理ができず、それに対して心身のコントロールを乱してしまうことに重きがあります。

 

自閉スペクトラム症の子が反応する音

 

・バイクの音

・金属がぶつかる音

・大きな声

・人が集まる際の声

・ひそひそばなし

・プチプチの音...etc

 

 子供たちの聴覚の過敏性に関して実体験でお話しをさせてもらいますと、

放課後等デイサービスの集団の中で子供たちの行動を観察していると、好みの音を出して気持ちを発散している子と、苦手な音に対して苛立つ子の二通りが見られるように感じます。

 

 自分の気持ちが発散される感覚を聴覚から覚えている子は、その音に快感を感じています。その子にとって心身を発散させる音なのだと思います。もちろんその音によって周りの人が気分を害する場合は、社会性を身に着けてもらうためにスタッフがその子に声掛けをします。このパターンはADHD傾向の子が多いように感じます。

 

 外からの音を苦痛に感じてしまう傾向がある子は、心身の発散がしづらい状態を保ちやすい傾向があるように思います。

 

◇②聴覚の鈍感について

 

聴覚障害と自閉症の聴覚の鈍感は間違われやすい

 

 聴覚障害を持つ子と、自閉症の聴覚の鈍感さがある子は、どちらに属すのかが判断が難しいことがあります。必ず自己の判断に任せずに新生児、小児の検診で相談をされてみてください。聴覚障害を持つ子は、早期から訓練を行うことで、自閉症の様な行動は取れてくるそうです。

 

 自閉症の聴覚の鈍感さの事例として呼びかけに応じないというものがありますが、これは脳の刺激の選択制に偏りが生じていることだとされています。

 

 人間は自分が興味や関心があるものに意識を集中させますが、例え集中しているさなかであっても外部からの刺激を感受する働きを備えています。ex)サッカーをしている時に仲間にパスを求められてそれに応じる、パソコン業務の最中に上司からの指示に応じるとかです。

 

 そういった状況では、脳の中で自分が行っている情報処理と相手から入ってくる情報を上手く分けて同時進行させているのですが、

 

 自閉症の子の場合、自分が行っている脳内の情報処理で手一杯になっており、外部からの情報を受け入れる余裕がないとされています。その時に少し強引に子供の了承を得ずに興味を持っている対象から引き離そうとする行動を起こせば、イライラしたり癇癪を起したりするきっかけになります。

 

生活雑音と心身の関係

 

 ある本で読んだ話の内容なのですが、当直の医師が、音に気にすることなく熟睡できるだろうと無音室で睡眠を摂ったところ、反って静かすぎて眠れなかったという例がありました。ある程度の雑音は、無意識的に精神の安定を図っている場合があるという事です。

 

 大きな音を鳴らしたり、大きな声で叫んだりして楽しんだりする子は、発した刺激によって興奮や満足感を得ていることがあります。

 いわゆる刺激的なものに快感を得てしまう行動です。この行動を見ていると聴覚が鈍感であるとか弱い刺激に満足できないという事を想像してしまいますよね。

 大きな音や強い刺激でしか満足感が得られない子は、心身が抑鬱的な状態に陥っていることが多いんですね。その子のそういった行動を取る前後で、感情の落差があれば間違いないです。