■ 「高齢者雇用」はどれくらいコロナショックの影響を受けたのか… | タマちゃんの暇つぶし

タマちゃんの暇つぶし

直ぐに消されるので、メインはこちらです→ http://1tamachan.blog31.fc2.com/ 

講談社:2024.03.10 「高齢者雇用」はどれくらいコロナショックの影響を受けたのか…意外と知らない「実態」より転載します。
 
貼り付け開始、

https://gendai.media/articles/-/124630
 
 



人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。

※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです。また、本書は2021年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

非正規雇用の高齢者は、わずか1万人増

高齢者雇用の悪化も、コロナ禍が顕在化させた課題の1つだ。

実は、統計データが示す数字とは裏腹に、コロナ不況が一気に広まりを見せた2020年の高齢者をめぐる雇用環境は痛手を受けていた。経営が悪化した企業に、高齢者を解雇や雇い止めにしたケースが少なくなかったのだ。

具体的な数字で確認しよう。総務省の「労働力調査(基本集計)」によれば、2020年平均の就業者数は6676万人となり、前年と比べて48万人減少した。だが、65歳以上に限れば906万人と14万人増えた。一方で、35~44歳は51万人もの減少であった。

これらの数字だけを見れば、高齢者の雇用はコロナ不況の影響を受けなかったこととなるが、実態はそうではない。65歳以上人口は前年と比べて30万人増え、35~44歳は43万人も減っていたのだ。

関連記事日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や…


次ページ:高齢就業者数をどう読み解くか

2020年の高齢者雇用の悪化は、65歳以上の人口増加幅と就業者の増減幅の関係を過去にさかのぼって確認すれば、さらに明確になる。2019年は、65歳以上人口が前年比33万人増え、就業者は30万人増だった。

2018年の場合には、65歳以上人口が前年に比べて45万人増だったのに対し、就業者はそれを10万人も上回る55万人増だ。これは雇用延長で働き続ける人や、いったんリタイアした人などの再就職が多かったということである。

すなわち、2020年の高齢就業者数は「14万人も増えた」のではなく、「14万人しか増えなかった」と解釈すべきなのである。ちなみに65歳以上の完全失業者は16万人で、前年と比べて2万人増えている。

高齢者の労働環境の厳しさを窺わせるのが、完全失業者の内容だ。「定年又は雇用契約の満了」を理由に挙げる人が、前年比4万人増の20万人となった。2011年からたどってきた下落傾向に終止符が打たれた形だ。コロナ禍による企業経営の悪化を受けて、希望通りの雇用延長がなされず、実質的な解雇のように職場を追われた高齢者もかなり含まれているだろう。

次ページ:非正規雇用における数字のトリック

あたかも就業者数が増えているかのように見えた“数字のトリック”は、高齢者が大きなウェイトを占める非正規雇用においても見られる。「労働力調査(基本集計)」によれば、全体では前年比75万人減の2090万人となったが、年齢別では15~64歳が76万人減、65歳以上は1万人増だった。

ところが、2019年の65歳以上の伸び幅は前年比31万人増、2018年は42万人増である。高齢者の非正規雇用は2014年から毎年30万人のペースで増え続けてきたのである。マイナスにこそならなかったが、コロナ禍で急ブレーキがかかったのだ。

非正規雇用の高齢者には、年金の不足分を補うべく、自分の体力に合わせて週に2~3日だけ働くという人も多い。こうした年金収入を得ながら働く高齢者が真っ先に解雇の対象にされたというケースが少なくなかった。

「労働力調査(詳細集計)」(2020年)によれば、就業を希望しながら求職していない高齢者は2020年平均で47万人に上る。この中には、感染を過度に警戒して「求職活動」そのものを控えたという高齢者もいるが、企業からの理不尽な解雇や雇い止め通告を受けて、心が折れてしまった人も相当数含まれるだろう。
 

貼り付け終わり、