いやあ、愉快、愉快!

評判はちらほら聞いていましたが、予想をはるかに上回る強烈な映画でした。

ブラムハウスの映画なので、しっかりホラー。

しかも、かなり野心的な作りです。

 

しかし、心に残るのは主役の女性アニーです。

この人の強烈っぷりは、本当に凄い!

迷惑系YouTuberは日本にもたくさんいるみたいですが、彼女の迷惑ぶりは段違いです。

友人の家に勝手に入る、言ったらいけない事しか言わない、ルールには基本従わない。

コロナ禍真っ只中の撮影のため、映画の中でもそうなのですが、お店でマスクの着用を求められても断固拒否、罵り合いにもなるのです。

 

彼女はライブ動画配信者なのですが、これを観ている人間も当然クズばかり。

映画ではずっと左下の方にチャット欄が表示され、彼らのクズコメントが延々と流れています。

すべてではありませんが、字幕も出ます。

不快感倍増し!

でもこの部分、スタッフロールで大活躍するのです。

 

彼女はラッパーでもあり、彼女のラップが映画を大いに盛り上げます。

基本即興ラップなのですが、歌詞の99%は下ネタ。

しかも、かなりエグめ。

やる事も話す事もラップの内容も放送禁止案件なのです。

こりゃ、注目しますよね!

 

アニーの友人の男性ストレッチは、最後まで強烈な迷惑をかけられ続けるのですが、彼には同居もしている彼女がいて、それがいわゆる「意識高い系」女子というのも面白い。

完全に反動です。

しかしこの男、家に勝手に侵入され、車を盗まれたりしているのに、仲良くラップしたりするのです。

まあ、こういう強引な人間には拒否が無効なので、付き合ってやる方が早いのかもしれませんが。

 

もうこのアニーについて書くのは十分ですか?

でも、まだ書かせてください。

このアニー、演じている人も同名のアニー・ハーディという、やっぱりミュージシャンなのです。

ただ、ラッパーではなくロックバンド(2人しかいないが)のボーカル兼ギターなのですが。

バンド名はジャイアントドラッグ・・・。

英語版のwikiを読みましたが、この人自身がかなり破天荒で無茶な人っぽいですね。

これが素だったら凄いですよ・・・。

 

 

さて、長くなりました。

そんな彼女が、とんでもない怪異に襲われるというのが、この映画の内容です。

終わり。

 

もうちょっと書きましょうか?

もう満足はしたのですが。

いわゆる「POV視点ホラー」というのがあります。

一人称のカメラ視点で映画が語られるもので、「REC/レック」が有名です。

画面が見辛い、酔うといった理由で苦手な人も多いですが、僕は結構好きです。

 

本作は、この「POV視点ホラー」で徹底的にやれる事をやってみた感じが面白いです。

何が起こっているのか分からない場面も少なくないのですが、意外にも派手な展開も次々に起き、あんなところに映っている!的なサプライズもたっぷり用意されています。

本当にアイデアは満載です。

 

そもそも、この作品の監督は「ズーム 見えない参加者」で、ずっとズームの画面の中だけでホラーを撮ってしまった人ですから、これはその正当進化版と言えるわけです。

あの作品も低予算ながら、アイデアだけで楽しませてくれました。

あと、映画の後に蛇足があって、これで余韻が帳消しになるのも一緒。

「ズーム」はマイナスでしたが、本作の蛇足は超楽しいスタッフロールなので、是非最後まで見届けて欲しいです。

恐さは消え失せますが。

 

 

あと、同時期に公開されている「ブギーマン」というホラー映画もこの人の監督作品です。

こちらはスティーブン・キングの短編を映画化したオーソドックスなホラーらしく、作風は全然違うそうです。

出来れば比較したかったのですが、残念ながらそちらはタイミングが合わず観られませんでした。

 

とにかく、何かとんでもない作品を観たい人にはオススメです。

無茶苦茶ですが、完全に振り切った作品です。

下品で汚いシーンも多いので、耐性のある人向けですが。

アニーは絶対体験して欲しい最強ヒロインですが、性格だけじゃなく本当に強かったりするのがまた凄いので、是非。

笑ったりビックリしたりと、本当に楽しい映画だよ!