東山のゴリラ親子は、「シャバーニ」 を父として、母 「ネネ」 に息子 「キヨマサ」、母 「アイ」 に娘 「アニー」 の2組です。
 
 
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「ネネ」 とその息子 「キヨマサ」

ネネ・キヨマサ親子には、母子の強いつながりを観察することができますが、アイがアニーの世話をしているところはほとんど見たことがありません。
 
 
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アニーは、母親のアイの子育てが未熟で衰弱し命の危険があったため、生後間もなくアイから離され、1歳過ぎまで人工哺育によって育てられました。
当時の新聞記事に掲載されていた担当飼育員さんのコメントを読むと、残念なことに、どうやらアイにはアニーが自分の子であるという認識はないようです。
 
それでも群れの中で、群れの一員として元気に暮らしているアニー。
 
アニーが通常困難とされている群れへの復帰を果たせたのは、群れのリーダーであるシャバーニが果たした役割も大きかったようです。シャバーニは、アニーを群れの一員として受け入れ、アニーを彼の庇護の下に置きました。
 
彼女を見ていると、自然の世界の厳しさとその優しさを感じます。
 
 
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生後9か月のキヨマサくん
 
この頃はまだ、キヨマサくんもこんなに小さく、弱々しかったのですね。
 
 
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今ではすっかり元気な腕白坊主に成長したキヨマサくんですが、ヒトも含めどんな動物にもこんな可愛らしい時期があります。
 
 
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2歳のキヨマサくん

ネネから離れると不安になるのか、ネネの後をちょこちょこついて回っていました。
 
 
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ネネが歩き出すと、急いでその後を追いかけます。
 
 
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ネネもキヨマサを自分のそばに置いておきたいらしく、移動する時によく、自分のお腹につかまるようにキヨマサを抱き寄せていました。
 
 
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これならキヨマサも楽ちんですし、ネネも安心です。
 
 
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キヨマサくん、お母さんにべったり

 
 
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子が親に温もりと保護を求め、親が子に愛情と安心を与えるのは、ヒトも動物も同じです。
 
 
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「アイ」 と 「キヨマサ」

父親は異なりますが2頭ともネネの子。2頭は姉と弟の関係です。
 
 
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キヨマサを背中に乗せるアイ
 
本当はアイとアニーのこんな姿を見たかったのですが。
アイもネネの姿を見て、次は母性に目覚めて欲しいものです。
 
 
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ネネの愛情をたっぷり受けながら、キヨマサはすくすくと育っていきました。
 
 
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屋外展示場の雑草をかじるキヨマサ
 
野生の動物たちにとって食料を得るための行動は、日々の生活の中で最も重要な行動と言えるでしょう。しかし、動物園ではそれが必要ありません。この採食行動以外にも動物たちの生活が単調になることによって様々な異常行動が動物たちに現れることが知られています。
 
こうした問題意識から現代の動物園では動物たちを退屈させないように 「環境エンリッチメント」 に力を入れています。
 
市民ZOOネットワーク
 
 
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葉っぱに塗られた蜂蜜をなめるキヨマサくん
 
蜂蜜を葉っぱに塗り、屋外展示場のあちこちに置きます。
ゴリラ舎でもこういうことを意図的に行い、彼らの日常生活に変化を与えます。また、私たち来園者も、彼らの日頃とは異なる行動をこれによって観察することができます。
 
 
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2歳7か月のキヨマサくん
 
 
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この頃になると、1人で行動することも多くなりました。
でも、こんなこともありましたけど …。
 
 
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ある日のこと。

ネネがいつものバルコニー (?) で、何かを大事そうに抱えていました。
 
何だかわかりますか?
 
 
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何と! ネネが抱いていたのはキヨマサくんでした。
 
 
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最初は具合でも悪いのかと心配しましたが、そうではなかったようです。
(それにしても、シャバーニの視線が何とも言えません。)
 
 
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だって、こんな感じでしたから (笑)
 
この時、キヨマサは3歳8か月。
キヨマサも随分大きくなったような感じがしていましたが、まだまだ乳離れができていなかったようです。
 
 
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群れで暮らす動物を、ちゃんと群れで暮らさせてあげるということは、その動物の野生本来の生活に近い社会環境を提供することであり、子どもの正常な発育にとって重要なことです。
 
 
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幸い東山では、ゴリラを "群れ" で飼育することができています。
これからきっとキヨマサは、シャバーニを手本として、群れの中で雄ゴリラとしての立ち振る舞いを学んでいくのでしょう。
 
 
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母親ネネの傍らで、安心して眠るキヨマサ
 
今はまだ、お母さんが恋しいキヨマサですが、それでも、子ゴリラから大人ゴリラへの歩みを、一歩一歩、着実に進めています。
 
につづく