ヨハネによる福音書第20章29節

『イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである」』


ノブミツの高校時代のできごと。


ノブミツのクラスにいる3人のおしゃべりなムー民(雑誌『ムー』の愛読者)によって、

常に教室は、

超常現象モノの話題でいっぱいやった。


このノブミツのクラスには大泉という前クラス委員長の女がいて、

こうした超常現象モノを完全否定するんやった。

大泉は、

「証明もされていないものなんか信じる価値はないわ!」と言い切り、

超常現象肯定派は、

「大泉!信じろ!!」と迫ったが、

大泉は、

「超常現象を信じる心こそ病んだ精神の現れよ!」と言い返した。

その為、

3人のムー民は遂にキレてしまった😠😠😠


それで大泉を含む3人のムー民とノブミツと二人の男性クラスメートの、

計7名による、

心霊スポットにあたる墓地に夜中に行くことになった。

大泉は心にせせら笑い、

「心霊スポットでユーレイ👻を証明できれば、それこそ歴史に名が残るのよ。アホタレどもが!」と嘲った。


そして約束の夜。


7名は心霊スポットである墓地に到着した。

ここで、

ムー民達の提案により、

個人探索して、

30分後に墓地前で集合ということになった。

全員了承して、

墓地にそれぞれ散った。

ノブミツは墓地を散策するふりをして、

墓地から離れて、

スマホ📱でYouTubeを見た。


一方、

大泉は、

冷め切った気分でお墓のそばを歩き、

隣に気配を感じた。

振り返ると、

喉から血があふれた若い女性が青白い顔をして立っていた。

大泉が驚愕の極致となったところを、

女は語り出した。

「あたしは2丁目3番地に住んでた矢倉夕子よ。魚の骨が喉に引っかかったので包丁で喉を刺して骨を取ろうとしたけど死んだわ」

大泉は恐ろしさに脱腸寸前やった。

矢倉夕子は、

「ユーレイ👻が怖いのね。あたしも生きていた時はユーレイ👻が怖かったわ。だけどあなたも最後はわたしのようになるのよ。怖がるだけ無駄なのよ」と言い、

重ねて、

「あたしを怖がる暇があるのなら、宇宙と人生の謎を考えた方が時間を有効に使えるのにね」とも言った。

大泉は、

「恐ろしすぎるわ!もしあたしが家に帰っても、お風呂で髪を洗っていた時や、ベッドで寝ていた時にあなたが出てきたら、恐ろしくて死んでしまうわ」と返答した。

矢倉夕子は、

「仮にあたしがあなたの言う通りにあなたのそばに出てきても、恐ろしがること自体時間の無駄よ。そんな暇があるのなら、宇宙と人生の謎を解き明かしなさいな」と語った。

更に矢倉夕子は、

「あなたがユーレイ👻を怖がること自体幸せな証拠よ。不幸のどん底にあればユーレイ👻が出ようが世界の終わりが近づこうが、だからナンなのさと開き直るのよ」と言い姿が消えてしまった。

大泉はあまりの恐ろしさに下痢をすると、

矢倉夕子の声が、

「大泉!信じろ!!あたしの言ったことを」と響き渡った。


大泉が顔を覆い座り込んでいると、

後の6人が迎えに来た。

そしてムー民のひとりである女子生徒が、

「呆れたわ!約束の時間に来ないから心配して来たら、下痢をもらしたので来なかったのね」と大泉を非難した。

大泉は顔を上げ、

「もういいのよ。ユーレイ👻もあなた方も、下痢のお漏らしも、限られた命の時間のひとこまなんだから。あたし達の命の息が続く限りあたし達は時間に縛られて生きなければいけないわ。だからこそ生と死の意味を考えるべきなのよ」と言い、

ハンカチを出して、

尻の下痢を拭き、

投げ捨てた。

風が、

下痢の付いたハンカチを飛ばし、

そのハンカチはとある墓に張り付いた。

その墓は、

矢倉夕子の墓やった。

大泉は堂々と下痢臭漂わせながら家路に着いた。


現在、

大泉は、

とある国立大学の哲学科の博士課程に進んで思索の日々を送っているという。